渡辺知哉
設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。
この記事の監修者
渡辺知哉
設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。
二世帯住宅での暮らしが上手くいかないと、最悪離婚という声も聞かれます。家族が暮らすのだから大丈夫と対策をしないままでいると、後悔することになりかねません。本記事では、二世帯住宅の離婚につながるリスクを挙げ、事前にできる対策から離婚となった場合の財産分与までを解説します。
二世帯住宅では、それまで別々の世帯だった家族が一緒に暮らすわけですから、戸惑いが生まれることは少なくありません。小さな衝突が積み重なると同居解消、さらには離婚という事態に発展してしまうケースもあります。どのようなことが離婚のリスクになるのでしょうか。
二世帯住宅で起こり得る離婚のリスクは、以下の通りです。
年代の異なる2つの世帯が同居する場合、価値観の違いによるトラブルが離婚のリスクとなる場合があります。元々、二世帯住宅に同居する前から、親世代との価値観に違いは存在しているのですが、そうしたことが一緒に暮らしているうちに表面化し、両世帯の関係が徐々に悪くなっていきます。
親世帯との関係は常に安定しているわけではなく、状況や体調によって変化するものです。しかし、その変化が心地よくない程度を遥かに超えてしまうと、離婚へと向かうと考えられます。
子育てには正解がないといわれるように、子育てに関する意見の違いが離婚のリスクとなる可能性があります。子育てに関する意見が違っても、多少の相違であればお互いが譲り合うことで解決できることも多いでしょう。
とはいえ、親世代にとって当たり前のように行われてきた育児が、現代では通用しないといったケースも少なくありません。無理に意見を押し通したり、対立してしまったりすると、日常的にコミュニケーションを取ること自体が難しくなるでしょう。子育てに関する意見の違いは、離婚のリスクとなる大きな問題といえます。
プライバシーの確保があまりにも難しいケースでは、離婚のリスクが高くなります。家族それぞれ相手への関心度が同じ程度であれば問題ありませんが、どちらかが気になりすぎるとトラブルに発展しやすいのです。
何をするにも、常に監視されている気分になってストレスを溜めてしまう人もいます。また、お互いが相手のプライバシーに気を遣いすぎて疲れてしまうこともあるでしょう。二世帯住宅におけるプライバシーの確保は、共用スペースや設備が多いほど配慮が不可欠といえるのです。
生活スタイルの違いも離婚リスクとなる場合があるので注意が必要です。お正月やお盆の風習の違いから、食生活、生活リズムなど普段の生活の些細とも思えることでも、その家ならではの生活スタイルがあります。同居を始めるうちから、生活スタイルの違いを理解していこうとポジティブに受け入れられる人ばかりではありません。
それぞれに今までの生活スタイルができあがっている状態なので、双方が満足できる生活をゼロから見直すのは難しい面もあるでしょう。特に、単世帯であった時には気にならなかった生活音は、毎日発生するポイントなので対策が必須といえます。
二世帯住宅を建ててから、離婚といった事態を避けるためにも、後悔しない二世帯住宅を建てたいものです。二世帯住宅の間取りを考える上で、プライバシーの確保や生活音への対策などを講じる必要があります。また、これらの対策とともに、二世帯の要望を反映したプランを考えなければなりません。二世帯が満足できる住宅を建てることは、可能なのでしょうか。
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ここまで、二世帯住宅での離婚リスクについて解説してきました。離婚リスクのほとんどは同居すること自体に問題があるのではなく、同居したことが負担にならないか考慮されているかどうかがポイントになります。つまり、二世帯住宅の離婚リスクは、間取りによって両世帯の程よい距離感を調整できれば、ある程度緩和されるのです。
二世帯住宅の間取りで調整するポイントは、以下の通りです。
完全同居型は、1戸の住宅を二世帯が完全に共有するタイプの間取りなので、生活音の対策や動線の工夫が離婚リスクを緩和するポイントです。
生活音の主な対策には、以下のようなものがあります。
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完全同居型は、二世帯住宅の間取りの中で建築コストが最も安いため、生活音の配慮のために多少の費用をかけると良いでしょう。
動線の工夫には、以下のようなものがあります。
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プライバシーを確保しながら、共用スペース・設備を使いやすくすることが大切です。
一部共有型は、一部のスペースや設備を共用するタイプの間取りなので、共用スペースを最小限にできるかが離婚リスクを緩和するポイントです。
共用する範囲を検討する上で、キッチン・トイレ・浴室・洗面所の水回りは、利用するタイミングや生活スタイルの違いからストレスになりやすいです。そのため、玄関のみ共用し、1階と2階で生活スペースを分けるような間取りであれば、プライバシーの確保が見込めます。
共用スペースを最小限にする際に、以下の点を検討してみてください。
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どこまで共用にすべきかという点は、二世帯間の関係性や生活リズムによっても違ってきます。また、親世帯と子世帯の要望が一致しないこともあるので、まずは水回りだけでも別にするよう検討してみてはいかがでしょうか。
完全分離型は、各世帯のスペースや設備を完全に分けるタイプの間取りなので、玄関を離して設置するのが離婚リスクを緩和するポイントです。
玄関が隣り合っていると、ドアの開け閉めで音が伝わりやすいため、プライバシーをしっかり確保したい場合は、玄関を少し離して設置することをおすすめします。それと同時にインターホンの音にも配慮が必要になります。さらに、郵便物や宅配に混乱を与えないよう分かりやすく設置することも忘れないようにしましょう。
また、完全分離型には、分け方で2つのタイプがあります。それぞれの生活音の対策は、以下の通りです。
▶上下の階で分ける横割りタイプ
平屋の住宅が重なっているようなイメージです。2階からの生活音が伝わりやすいので、床全体の遮音性を高めることで、生活音を緩和することができます。 |
▶壁を隔てて左右に分ける縦割りタイプ
マンションのお隣同士のようなイメージです。左右で分けるので、親世帯の天井に音が響くことはありません。親世帯と隔てる壁全体を遮音仕様にすることで、生活音が気になりにくくなります。 |
玄関から別々になっているため、同居でありながら、自由に行き来することはできません。常に誰かが一緒にいることで気疲れしやすい方におすすめです。一定の距離を保つことができ、自発的にコミュニケーションをとるという形が、良好な関係性を構築することにつながります。
二世帯住宅の間取りは、間取りのタイプによって押さえるポイントが異なります。親世帯・子世帯がそれぞれ安心かつ快適に生活したい方におすすめなのが、sumuzu(スムーズ)です。
二世帯住宅に対して離婚の不安があるという方は、離れて暮らすのも一つの選択肢です。そのような場合、隣居や近居といった別居スタイルの選択も検討してみてはいかがでしょうか。ここでは、隣居や近居について解説します。
国土交通省は、隣居・近居それぞれを以下のように定義しています。
隣居:親と子の世帯の住宅が隣同士あるいは、ごく近くである
近居:親と子の世帯の住まいが別々で、片道1時間以内の距離にある |
住宅金融支援機構の調査によると、住宅取得に際して、親世帯(または子世帯)と同居・隣居・近居を予定している人は、全体の約4割が「予定している」と回答しました。
引用元:2020年度における住宅市場動向について|住宅金融支援機構
同居・隣居・近居を予定していると回答した人の内訳は、以下に示す表の通りです。
同居 | 隣居 | 近居 | ||
概ね1km以内 | 概ね2km以内 | 2km超 | ||
45.6% | 24.4% | 15.0% | 6.7% | 6.7% |
同居・隣居・近居を予定している人の約5割が、二世帯住宅での生活を予定しているという結果となりました。次いで、近居が28.4%、隣居24.4%と続きます。
近居であれば、行き来しやすい距離での別居のため、親と子の世帯間で育児や家事、介護などでサポートが可能です。一定の距離があるため、干渉を受けることも多くはありません。連絡すれば、すぐにかけつけられるので、お互いに安心できるでしょう。
全国の自治体では、親世帯と子世帯の同居や近居が子育ての重要な支援策であるとして、助成策を講じています。支援事業は、住宅取得費用、引越し代の助成などさまざまです。支援方法や要件は自治体ごとに異なるため、各自治体のホームページなどで確認してみましょう。
近居支援の一例として、東京都品川区が行っている親元近居支援事業を紹介します。
東京都品川区:親元近居支援事業<三世代すまいるポイント>
親元近居支援事業は、品川区内で親世帯と近居もしくは同居する家族に対し、転入・転居費用の一部を指定された店舗で使える「三世代すまいるポイント」として交付を行う事業です。転入・転居費用1円=1ポイントに換算し、500ポイント単位で発行されます。1世帯あたりの上限は、10万~15万ポイントです。
交付を受けるには、申込者が世帯主であることや近居・同居を始めた時点で1年以上区内に居住していたことなど、いくつかの要件を満たす必要があります。
すぐに必要なくても、同居や近居を検討している方は、まずは居住地域の自治体の支援について調べてみてはいかがでしょうか。
二世帯住宅で暮らすうちに、万一離婚となった場合の財産分与について考える方もいるかもしれません。離婚にともなう財産分与の割合は、夫婦の共有財産を2分の1が原則です。ただし、二世帯住宅は親世帯も住んでいるため、単世帯住宅の財産分与とは異なり、分与することが難しいケースもあります。
ここでは、以下の観点で解説します。
土地・建物ともに夫もしくは妻名義の場合は、特有財産(婚姻中に夫婦が協力して形成した資産)と認められない限り、二世帯住宅全体が夫婦共有財産となり、離婚時の財産分与の対象となります。また、二世帯住宅の一部が夫もしくは妻名義になっている場合においても、特有財産と認められない限り、その部分は夫婦共有財産となり、財産分与の対象となります。
二世帯住宅の名義によって財産分与の対象とならないケースがあります。土地・建物ともに親名義の場合は、夫婦共有財産に該当しません。二世帯住宅の所有権が親にあるためです。したがって、夫婦の離婚時における財産分与の対象にはなりません。
参照元:財産分与|法務省
二世帯住宅を財産分与する方法として、土地・建物のように公平に分けにくい財産はトラブルに発展する可能性があるため、代償分割が有効です。
代償分割とは、夫もしくは妻のどちらかが不動産を取得する代わりに、もう一方に対して代償金を支払うという方法です。
例えば、夫もしくは妻名義の二世帯住宅の持分が2,000万円とします。離婚する相手に2分の1である1,000万円を支払うというものです。この方法であれば、二世帯住宅に住みながら公平な財産分与を行うことができます。 |
このように、二世帯住宅を分割することができない場合、あるいは二世帯住宅を売却したくない・売却できない場合に採用すべき方法が代償分割です。
二世帯住宅の購入資金に、親の援助や結婚前の預貯金が含まれていることも少なくありません。親からの援助金や結婚前の預貯金は、特有財産にあたります。二世帯住宅に含まれる特有財産を考慮して財産分与しなければ、公平とはいえないのです。したがって、不動産評価額から親の援助金などを差し引いた額を財産分与することになります。
夫婦の共有財産に土地・建物が含まれている場合には、財産分与の方法以外にも住宅ローンの支払い方法、税金など複雑な問題が生じます。トラブルを回避するためにも、離婚の問題に詳しい弁護士に相談するのがおすすめです。
二世帯住宅は、そこに住まう親世帯と子世帯双方に利点があることが大切です。どちらかの世帯にストレスが大きくなると、とたんに生活することが苦痛になります。多くの場合において、間取りを工夫することで、お互いのプライバシーを確保しながら安心して生活することが可能です。
二世帯住宅は、家事や育児、介護のサポート、万一の際に助け合えるなど、親世帯・子世帯の双方に利点がある住宅です。家族それぞれの存在が、精神的な支えとなるでしょう。家族全員が快適に暮らせる二世帯住宅になるように、懸念点を排除しながら納得いくまで話し合うことが必要になります。
本記事では、二世帯住宅の離婚につながるリスクを挙げ、事前にできる対策から離婚となった場合の財産分与までを解説しました。二世帯住宅には離婚につながる可能性のあるリスクが存在します。そのリスクを知った上で、各世帯に適した間取りにすることで、快適な二世帯住宅を実現できるでしょう。具体的なご相談は住宅の相談窓口sumuzuがオススメです。
それでもなお、二世帯住宅に不安があるといった場合には、近居や隣居といった別居スタイルも検討してみてはいかがでしょうか。それとは別に、実際に離婚となった場合に、二世帯住宅が財産分与の対象になるケースがあり、離婚後の生活にも大きな影響が生じる可能性があります。そのような事態にならないためにも、双方の世帯に利点のある二世帯住宅を実現させましょう。
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