50坪の土地に建てる賃貸併用住宅の場合、建物の構造別の坪単価から建築費用の目安を算出することが可能です。実際に、どのくらいになるのか気になる方は多いでしょう。この記事では、50坪の土地に建てる賃貸併用住宅の建築費用の目安から土地の選び方、建築する際のポイントまでを解説します。

50坪の土地に建てる賃貸併用住宅の建築費用の目安

ここでは、50坪の土地に賃貸併用住宅の建築費用の目安について、以下の観点で解説します。建築費用の目安として一例を挙げて計算しているので、参考にしてみてください。

  • 50坪はどのくらいの広さ?建てられる1フロアの戸数
  • 構造別の坪単価ごとの建築費
  • 賃貸併用住宅の建築にかかる費用

50坪はどのくらいの広さ?建てられる1フロアの戸数

50坪の土地に賃貸併用住宅を建てるとして、まず50坪がどのくらいの広さなのか理解しておきましょう。

1坪は、約3.3平方メートルなので、

<3.3平方メートル×50坪=165平方メートル

長方形の整形地とすると、

11メートル×15メートル

<11メートル×15メートル>は、コンビニの駐車場に並んでいる車をイメージすると分かりやすいかもしれません。以下のように考えることができます。

  • 間口11m車4台並ぶ寸法
  • 奥行15m車3台が縦に並ぶ寸法

では、50坪の土地に賃貸併用住宅を建てると、1フロアの戸数はいくつになるのでしょうか。

●前提条件

・50坪の土地

・2階建て

・延床面積36坪

1K6畳でキッチン・浴室:1Kはおよそ5〜6坪なので3戸

ただし、廊下など共用スペースがあるので実際には2戸程度となります。

上記のことから、50坪の土地に2階建ての賃貸併用住宅は小規模になることが分かります。よって、建物構造を吟味する必要があるといえそうです。

構造別の坪単価ごとの建築費

賃貸併用住宅の主な建物構造は、木造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造です。建築費は、構造の違いによって坪単価の相場は異なりますそのため、坪単価の相場を知ることで構造別建築費の目安が分かるのです。 

賃貸併用住宅における建物構造の坪単価は、下表の通りです。

  木造鉄骨鉄筋コンクリート造鉄筋コンクリート造鉄骨造
全国平均1平方メートルあたり173,000円284,000円265,000円256,000円
坪単価570,900円937,200円874,500円844,400円
東京1平方メートル

あたり

173,000円364,000円327,000円309,000円
坪単価570,900円1,202,200円1,079,100円1,019,700円

※調査結果にある1平方メートルの単価を坪単価に換算しています。

引用元:地域別・構造別の工事費用表(1m2当たり)【令和4年分用】|国税庁

賃貸併用住宅の建築費は、上記の坪単価に延床面積を乗じることによって求められます。

賃貸併用住宅の建築費=坪単価×延床面積

ここで、50坪の土地に延床面積36坪の賃貸併用住宅を建てた場合で計算すると以下のようになります。

  木造鉄骨鉄筋コンクリート造鉄筋コンクリート造鉄骨造
全国平均坪単価570,900円937,200円874,500円844,400円
建築費20,552,400円33,739,200円31,482,000円30,398,400円
東京坪単価570,900円1,202,200円1,079,100円1,019,700円
建築費20,552,400円43,279,200円31,482,000円36,709,200円

坪単価による計算は、建築費を知る1つの目安です。実際には建物の形状や住宅設備のグレード、工事を請け負う建築会社によっても異なります。

建築費以外にかかる費用

建築費は、本体工事費を指すのが一般的です。賃貸併用住宅の建築には、本体工事費用に加え付帯工事、税金・諸費用がかかります。おおよその内容は、以下の通りです。

<本体工事費用><付帯工事費用><税金・諸費用>
基礎工事

木工事

屋根工事

建具工事

防水工事

外壁工事

設備工事費

内外装工事など

解体工事(建て替えの場合)

地盤工事(軟弱な地盤の場合)

電設工事

給水工事

ガス工事

家具工事

外構工事

植栽工事など 

契約手数料

収入印紙代

ローン関連の手数料

登記費用

登録免許税

不動産取得税

固定資産税など

付帯工事費用については、各建築会社によって建築費に含まれているケースがあるので注意が必要です。見積りを見た時に建築費にどのような費用が含まれているのか、もしくは含まれていないのか建築会社に確認することをおすすめします。

賃貸併用住宅の土地でチェックすべき要素

賃貸併用住宅の土地でチェックする要素がいくつかありますが、特に重要になるのが以下の4つです。これらの要素がクリアできれば、理想の賃貸併用住宅を建てる第一歩となります。

  1. 賃貸併用住宅にとって好立地であるか
  2. 自然災害でも安心安全に暮らせる土地か
  3. 希望とする建物の広さを確保できる土地か
  4. 土地に高低差がある場合に追加費用がかかるかどうか
  5. 隣地との境界がはっきりしているか

1.賃貸併用住宅にとって好立地であるか

賃貸併用住宅を建てる土地は、できるだけ条件の良い立地であることが重要です。以下のポイントをチェックしましょう。

  • 最寄駅までの距離と徒歩での所要時間が短い
  • 交通アクセスが良い(ターミナル駅までの所要時間)
  • 生活に必要な施設が近くにある
  • 治安が良い

賃貸経営として考えるには、もう1歩踏み込んで考える必要があります。以下のポイントを加味して検討しましょう。

  • 1つの大学や企業の需要が高い地域は撤退・移転・入居時期に左右されやすい
  • エリアのニーズにより入居者層や間取りが異なる
  • 都市計画など発展性が見込める

2.自然災害でも安心安全に暮らせる土地か

賃貸併用住宅は、予測できない自然災害を考慮し、できるだけ安全な地域に建てたいものです。水害ハザードマップに照らし合わせて、土地がどの辺りにあるのか確認することは大切ですが、それだけでは把握できないことも少なくありません。

なぜなら、現在のハザードマップは2015年の改定により「1000年に1回想定できる最大降雨」としていますが、中小河川が氾濫することまでは想定されていないからです。台風などで決壊するのは、ハザードマップに記載されていない中小河川だったということもよくあります。中小河川の氾濫については、気象庁洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)を参考にしましょう。

また、河川が近くにないにも関わらず浸水するケースがあります。代表的なものは、下水管や水路からの浸水です。雨の量が下水道の雨水排水能力を超え、河川などに放流できないことにより起こります。このような河川以外で発生する「内水の浸水」も見逃せません。そのため、ハザードマップの他にも洪水ハザードマップの確認も必要です。

各市区町村の窓口やホームページで、ハザードマップや内水ハザードマップが公開されています。持っている土地や土地購入を検討する方は、ぜひ確認してみてください。

参照元:洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)|気象庁

参照元:洪水ハーザドマップ|東京都建設局

※洪水ハザードマップは「内水ハザードマップ」と表記されることもあります。

3.希望とする建物の広さを確保できる土地か

賃貸併用住宅を建てるにあたって、希望とする建物の広さを確保できる土地であるかも重要な要素です。そこで、建ぺい率と容積率を合わせて押さえておきましょう。

建ぺい率敷地面積に対して建築できる面積の割合
容積率敷地面積に対する建築物の延床面積の割合

建ぺい率とは、敷地面積に対して建築できる面積の割合のことです。分かりやすくいうと、一階部分の面積を指します。

建ぺい率は、以下の式で求められます。

建ぺい率(%)=建築面積÷敷地面積×100

50坪の土地に対して、

  • 建ぺい率50%では、25坪まで
  • 建ぺい率80%では、40坪まで

1階外部分の面積として建てられるということになります。

容積率とは、敷地面積に対する建築物の延床面積の割合のことです。

容積率は、以下の式で求められます。

容積率(%)=延床面積÷敷地面積×100

50坪の土地に対して、容積率が100%で2階建てにする場合、1階と2階を合わせた床面積が50坪となる建物が建てられるといった具合です。

この場合、3階建てにしても1〜3階建ての合計が50坪までに制限されるので、小さな建物になるでしょう。50坪で広さを確保するには、容積率が少なくとも150%あると良いといえます。

建ぺい率と容積率の制限で、希望とする建物の広さより小さくなることもあります。加えて、立地によっては高さの制限もあるため、賃貸併用住宅を建てる際には建築会社へ確認をとるようにしましょう。

参照元:都市計画制度|国土交通省

4.土地に高低差がある場合に追加費用がかかるかどうか

土地に高低差があると、想定外の費用がかかる可能性があります。本来、道路と敷地が完全にフラットになっていることは少なく、道路よりわずかに高くなっているのが一般的です。道路上の雨が左右に流れるようにするためです。多少の高低差は問題になりません。

高低差を解消する必要がある土地は、造成工事や地盤改良などに別途費用がかかります。さらに、調整した基礎の高さによっては土留め工事も必要になります。

土地に高低差があった場合は、工事費用を確認し検討したほうが良いでしょう。また、もともと擁壁があるケースは、その擁壁の安全性を確認することが大切です。

5.隣地との境界がはっきりしているか

賃貸併用住宅の敷地と隣地との境界に境界杭があるか、現地に出向いて目視で確認しましょう。境界とは、土地の角に境界杭が打ち込まれていて、境界杭を結んだ線のことです。境界で囲まれた中の土地が自分の敷地になります。境界杭の形状は、コンクリート杭・金属プレート・金属鋲などがあります。

もし、境界がはっきりしない場合は注意が必要です。隣地の所有者に対して明確な境界線の主張が難しくなり、トラブルに発展する恐れがあるためです。

境界がはっきりしないことによるトラブルは、以下のようなものが挙げられます。

  • 面積が確定できない(ローンの借入れができなくなる可能性が高い)
  • 売却時に資産価値が下がる
  • フェンスや壁の設置ができない

契約までに、境界杭を設置してもらえるか不動産会社に確認しましょう。もし、隣地所有者が不明など境界がはっきりしないのであれば、購入を諦めるのが賢明です。

50坪の土地に賃貸併用住宅を建てる際のポイント

50坪の土地に賃貸併用住宅を建てる際には、押さえておきたいポイントがあります。ここでは、以下のポイントについてそれぞれ解説します。

  1. 収益性を重視するなら高めの賃料が見込める土地に建てる
  2. 入居者にとって魅力的な付加価値をつける
  3. 需要の多い間取りを優先する
  4. ローンの返済計画をしっかり立てる
  5. 施工実績のある建築会社を選ぶ
  6. 複数の建築プランを比較検討する

1.収益性を重視するなら高めの賃料が見込める土地に建てる

50坪の土地に賃貸併用住宅を建てる際には、収益性を重視するなら高めの賃料が持込める土地を選ぶことが大切です。50坪の土地の場合は、建ぺい率や容積率の制限から建物が小さくなりやすい上に、建築費が割高になることが多いです。そのため、好立地でないと長期的に安定した収入を得るのは難しくなります。

ただ、価格の高い土地を選ぶと土地価格が大きな負担となります。それに見合う収益を上げるには、賃貸戸数を増加し、建物自体も大きくしなければなりません。

そのため、高い賃料が見込める土地でありながら、土地・建物価格を可能な限り抑えて、コストパフォーマンスを高くすることが求められるでしょう。予算と建物の規模とのバランスを図りながら、最大限に収益性を上げられるような工夫が必要です。

2.入居者にとって魅力的な付加価値をつける

50坪の土地に賃貸併用住宅を建てる場合、魅力的な付加価値をつけることが重要なポイントです。50坪に建てるには、どうしても建物の広さで大きく制限されるためです。外装・内装のデザイン性を高め、入居者の好む設備を導入するなど、広さの制限をカバーできる付加価値が欠かせません。

それとは別に、遮音性や断熱性といった建物の性能を高めることで、入居者の快適さを確保するのも1つの方法です。賃貸併用住宅はオーナーの自宅も備えているので、オーナー自身も快適に暮らせます。オーナーと入居者双方にとって、付加価値の高い建物にする視点を持って検討すると良いでしょう。

3.需要の多い間取りを優先する

50坪の土地に賃貸併用住宅を建てる場合は、需要の多い間取りを優先しましょう。1Kや1Rの間取りで戸数を増やすという方法もありますが、需要にマッチしていなければ意味がありません。

まずは、入居者層を絞り込むことから始めましょう。その上で、単身者向けなら1Kもしくは1R・ファミリー向けなら2DK以上というように入居者層に適した間取りを優先して考えるのが良いです。需要の多い間取りにすることで、新築であれば高めの賃料設定が可能となり、空室率も抑えることができます

また、オーナーと入居者の玄関や階段を別にするなど動線を分けて、お互いのプライバシーを守る間取りも踏まえておきましょう。

4.ローンの返済計画をしっかり立てる

50坪の土地に賃貸併用住宅を建てる際には、ローンの返済計画をしっかり立てましょう。建築費は、自己資金に加えてローンでの融資でまかなうのが一般的です。家賃収入から様々な経費を差し引いて、収益が手元に残らなければ、経営の継続は難しくなるでしょう。

ローンの返済計画は、完済時の年齢も考慮し、無理のないよう立てることが重要になります。ただし、綿密に返済計画を立てても、あくまでも予測でしかありません。状況に合わせて柔軟に計画を見直すことも求められます。

5.施工実績のある建築会社を選ぶ

賃貸併用住宅を建てる際は、施工実績のある建築会社を選びましょう。賃貸併用住宅は、通常の戸建住宅、あるいはアパートやマンションとは建物の仕組みが異なるからです。建築会社のなかには、戸建住宅が中心で賃貸併用住宅や賃貸住宅の施工実績がないという会社もあります。

賃貸併用住宅を建築した経験があれば、入居者層に合った間取りの設計や立地に適した内外装のデザインなどのノウハウを蓄積している可能性があります。気になる建築会社のホームページの施工事例を参考に、実績を確認してみましょう。

6.複数の建築プランを比較検討する

建築会社の情報収集ができたら、、必ず複数の建築プランを比較検討しましょう。建築プランは、同じ条件であっても、各建築会社が得意とする分野や提案力に違いがあります。

3社ほどのプランを通じて、予算の範囲で理想の家づくりをしてくれる建築会社を選びましょう。依頼を受けた時の対応も判断のポイントになるので、丁寧にヒアリングしてくれるか、不安を解消してくれるのかも見極めることも大切です。

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最後に

この記事では、50坪の土地に建てる賃貸併用住宅の建築費用の目安から土地の選び方、建築する際のポイントまでを解説しました。50坪の土地に建てる賃貸併用住宅の費用は、2階建ての場合で木造2,000万円台から鉄骨系で4,000万円以上になります。また、建築費以外にも付帯工事費や諸経費、税金などの費用がかかる点も念頭に入れましょう。

建物に費用がかかるだけに、好立地でなおかつ希望とする建物の広さが確保できるといった点を考慮して、土地を選ばなければなりません。また、いざ建てる時も50坪という広さを最大限に活かせるような建築会社を選ぶことが非常に重要なポイントです。ぜひ、sumuzuを利用して、賃貸併用住宅のプランを比較検討してみてはいかがでしょうか。