二世帯住宅を建てる際に、申請すると補助金がもらえる制度があります。建築費は高額なので、少しでもお得に購入したいと考える方が多いです。本記事では、二世帯住宅に活用できる補助金と住宅ローン控除の概要と合わせて、それぞれの注意点についても解説します。
二世帯住宅の相談窓口

二世帯住宅を建てるなら補助金を賢く活用するのがおすすめ

二世帯住宅は、親世帯と子世帯が暮らすため大きな住宅が必要になります。しかし、建築費が一般的な戸建てに比べ、高額になることを懸念する方も多いでしょう。そこで、ぜひ活用したいのが補助金制度です。少しでもお得に購入できる時期を、見極めてみてはいかがでしょうか。

国のサポートを賢く活用し、理想の二世帯住宅を実現させましょう。本記事では、下記の補助金と注意点、住宅ローン控除について解説します。

補助金制度 補助額
ZEH化支援事業 55〜190万円/戸
地域型住宅グリーン化事業 70〜150万円/戸
こどもみらい住宅支援事業 60~100万円/戸

 

減税措置 内容
住宅ローン控除 控除期間:13年

控除率:0.7%

本記事での内容は、2022年11月30日現在の内容です。内容に変更がある場合もあります。あくまでも各事業のホームページや建築会社などで最新の情報を確認の上、補助金の相談・申請を進めてみてください。

ZEN化支援事業

引用:一般社団法人環境共創イニシアチブ

ZEH(net Zero Energy House:ネットゼロエネルギーハウス)化支援事業とは、ZET住宅の新築時に利用できる補助金制度のことです。日本では、脱炭素社会への取り組みの1つとして、経済産業省と国土交通省、環境省の3省が連携して行っています。2030年までに新築住宅の50%以上をZEH住宅にするという目標を掲げています。ここでは、ZET住宅の意味やZEH補助金の概要を解説します。

ZEH住宅とは

ZEH住宅について、経済産業省の定義は以下の通りです。

外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅

引用元:ZEHの定義(改定版) <戸建住宅>|経済産業省 

分かりやすく説明すると、

ZEH住宅とは、断熱性能を高め、外部環境の影響の受けにくい住宅のことで、給湯器やLED照明、エアコンといった省エネルギー性の高い設備を使い、エネルギー消費量を少なくします。さらに、太陽光発電やエネファームなどを設置し、年間のエネルギー収支を計算上ゼロにするというものです。消費エネルギーと生産エネルギーが、同程度もしくは大きくなる住宅といえます。

対象

対象となるのは、ZEH住宅を新築または新築ZEH住宅を購入する個人です。ZEH住宅の販売を行う法人も対象になります。SII(sustainable Open Innovation Initiative:一般社団法人環境共創イニシアチブ)に登録しているビルダー/プランナーが、設計・建築・販売していることがポイントです。

 

補助金の申請は、個人でも可能ですが、Sllに登録しているビルダー/プランナーに依頼することがほとんどです。住宅の新築を予定している方で、太陽光発電の設置を検討中の場合は、建築会社がSIIに登録していれば、補助金の相談をしてみると良いかもしれません。

参照元:2022年の経済産業省と環境省のZEH補助金について|一般社団法人環境共創イニシアチブ 

対象となる住宅と補助額

ZEH補助金は、住宅のスペックにより2つに分けられます。概要は、以下の通りです。

対象となる住宅 補助額
ZEH 55万円/戸
ZEH+ 100万円/戸
ZEH、ZEH+に系統連系対応型蓄電池設置に別途補助 20万円/戸
ZEH、ZEH+に低炭素化に資する素材を一定量使用など別途補助 90万円/戸

※ZEH+(ゼッチプラス):太陽光発電で発電した再生可能エネルギーの自家発電量拡大を目指したZEHのこと

 

ZEH住宅は高性能な住宅であることが条件になるため、高い建築コストが必要です。上手に補助金を活用しましょう。補助金がもらえないという事態にならないよう、建築の依頼先が登録業者であるか確認してみてください。

参照元:二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 (戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業) 交付規程

参照元:戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化支援事業(経済産業省・国土交通省連携事業)|環境省

地域型住宅グリーン化事業

引用:地域型住宅グリーン化事業評価事務局

地域型住宅グリーン化事業は、2015年から継続している補助金制度です。国が定める基準を満たした木造住宅地域の工務店(グループ)で建築する際に補助金が交付される制度です。ここでは、地域型住宅グリーン化事業の概要を解説します。

グループとは

グループとは、地域の中小工務店を中心に製材、プレカットなどの木造住宅の供給に取り組む事業者で構成される集団のことです。国土交通省が公募し、事業の活用が可能なグループの採用を決定します。

地域型住宅グリーン化事業の補助金は、このグループに交付されます。そのため、木造住宅の購入者が申請することはありません。地域型住宅グリーン事業制度を活用するためには、グループに所属する工務店などに建築を依頼する必要があります。グループに所属していない工務店や大手ハウスメーカーでは、地域型住宅グリーン化事業の補助金を活用できないので注意しましょう。

対象となる木造住宅

対象の木造住宅は、以下の通りです。

  • 認定長期優良住宅:「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に該当し、証明がされたもの
  • 認定炭素住宅:「都市の低炭素化の促進に関する法律」に該当し、証明がされたもの
  • ゼロエネルギー住宅

ゼロエネルギー住宅とは、以下の4タイプです。

  1. ZEH住宅:年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅
  2. Nealy ZEH:寒冷地・低日射地域・多雪地帯などの日射取得が困難な地域を対象とし、太陽光発電で賄える消費エネルギーが75%のもの
  3. ZEH Oriented:ZEH水準を満たす断熱性・省エネルギー性を備え、太陽光発電などの再生エネルギーの発電装置がないもの。都市部狭小地の2階建以上および多雪地域に限り適用される
  4. ZEH Ready:ZEH水準を満たすものの、太陽光などの発電システムや蓄電システムを設置していないもの ただし、設置する準備をしていることが条件

参照元:令和4年度地域型住宅グリーン化事業 グループ募集の開始について|補助対象となる木造住宅|地域型住宅グリーン化事業 評価事務局

ZEH水準とは

現行の省エネルギー基準をさらにグレードが高くなっているのがZEH水準です。

強化外皮基準(住宅の品質確保の促進等に関する法律第3条の2第1項に規定する評価方法基準における断熱等性能等級5以上の基準)を満たし、かつ再生エネルギー等を除いた一次エネルギー消費量が省エネルギー基準の基準値から20%以上削減となる省エネ性能の水準のことです。

引用元:二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 (戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業) 交付規程

木造住宅の要件

対象となる木造住宅の要件には、以下のようなものが挙げられます。

  • 主要構造部分が木造であること
  • 国土交通省の採択を受けたグループが新築すること
  • 新築着工日がグループ採択通知を受けた日以降であること
  • グループが定める地域の木材を積極的に使用すること

参照元:令和4年度地域型住宅グリーン化事業 グループ募集の開始について|補助対象となる木造住宅|地域型住宅グリーン化事業 評価事務局 

補助額と加算額

木造住宅は、住宅のスペックに応じて70万円~150万円になります。必要な性能を満たすために、性能アップや設備費用が高くなるほど、補助額が高くなっています。

住宅タイプ 項目 補助額
認定長期優良住宅 現行基準

ZEH水準

最大110万円

最大140万円

認定低炭素住宅 現行基準

ZEH水準

最大70万円

最大90万円

ゼロエネルギー住宅型 ・ZEH、Nearly  ZEH+長期優良住宅

・ZEH、Nearly  ZEH

・ZEH  Oriented

最大150万円

最大140万円

最大90万円

条件を満たすことで、補助金をさらに上乗せすることが可能です。二世帯住宅で適用しやすい「若者子育て世帯加算」「三世帯同居」が考えられます。

加算項目は、以下の5つです。

加算項目 加算額
地域材利用 20万円/戸
地域住文化 20万円/戸
バリアフリー 30万円/戸
三世帯同居 30万円/戸
若者子育て 30万円/戸

参照元:住宅・建築物カーボンニュートラル総合推進事業 地域型住宅グリーン化事業|国土交通省

補助金を活用するには、それぞれの住宅に性能を証明する認定書が必要であり、住宅性能を高めるためのコストもかかります。地域型住宅グリーン化事業の詳細な内容は、地域の工務店に確認してみましょう。

【2022年度新設】こどもみらい住宅支援事業

引用:国土交通省

こどもみらい住宅支援事業は、2021年度補正予算で創設された事業の1つです。子育て世帯や若者世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得、および住宅の改修に対して交付される補助金制度を指します。

※2022年3月28日に交付申請の受付が開始され、2023年3月31日が申請期限です。

対象世帯の要件

対象となるのは、申請時点において、以下のいずれかの要件に該当する世帯です。

  • 子育て世帯:2003年4月2日以降に出生した子を有する世帯

申請時に妊娠している場合は、適用されません。以下の若者夫婦世帯に該当する可能性があります。

  • 若者夫婦世帯:夫婦であり、いずれかが1981年4月2日以降に生まれた世帯

なお、18歳未満の子と同居するシングルの方(ひとり親)も対象になります。

対象となる新築住宅

対象となる新築住宅の要件は以下の通りです。

  • 所有者自らが居住する
  • 土砂災害防止法に基づく、土砂災害特別警戒区域外に立地する
  • 延床面積が50平方メートル以上ある
  • 未完成または完成から1年以内であり、未使用である
  • 証明書などにより、該当することが確認できる

対象となる住宅は、以下の3タイプです。

  1. ZEH住宅:強化外皮基準かつ再エネルギーを除く、一次エネルギー消費量20%削減に適合する住宅
  2. 高い省エネ性能等を有する住宅:認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、性能向上計画認定住宅
  3. 一定の省エネ性能を有する住宅:断熱等級4 かつ 一次エネルギー等級4を満たす住宅

これらの住宅には、証明書や認定証が付いています。ZEH仕様や省エネタイプのような表記の住宅では、補助金の申請ができません。必ず、証明書などの有無を確認しましょう。

補助額

新築住宅では、住宅のスペックに応じて60万円~100万円になります申請手続き、補助金の受け取り、対象となる方への還元は「こどもみらい住宅事業者」が行うため、対象世帯の方に手間がかかりません。こどもみらい住宅事業者とは、本事業に参加するために登録した住宅事業者のことです。

対象住宅 補助額
ZEH住宅 100万円/戸
高い省エネ性能等を有する住宅 80万円/戸
一定の省エネ性能を有する住宅 60万円/戸

参照元:こどもみらい支援事業|国土交通省

2022年度は、補助金申請額が予算上限に達したため、交付申請および交付申請の予約の受付を終了しています。​

補助金が活用できる建築会社を探すならsumuzuへ

建築会社をいくつか検討したものの、「補助金を活用できる建築会社はどこが良いのか」「各建築会社の比較の仕方が分からない」と悩む方も多いでしょう。そういった方におすすめしたいのが、株式会社ランディックスが運営する注文住宅マッチングサービス「sumuzu(スムーズ)」です。

土地探しから建築プランの決定までがスムーズに

sumuzuはお客様の家づくりを中立的な立場からサポートする専門家集団です。

工務店・ビルダー・ハウスメーカー・設計事務所の選び方から、お客様のご希望に合わせた間取り計画・工事見積りの減額調整まで、家づくりに関する全ての悩みについてご相談いただけます。

なお、建築会社は、厳格な審査を通過した信頼できるハウスメーカーや工務店、建築家などが参加しています。(建築会社一覧)

住宅に関する様々な面をフォロー

資金計画を立てる上で重要になる、住宅の希望条件、予算に加えて、住宅ローンの紹介といった資金面の相談ができます。見逃しがちな火災保険やアフターサービス、引っ越しについても相談可能です。さらに、インテリア、エクステリア、セキュリティなどにも対応しておりますので、住宅に関する様々な面も含めて対応できることがメリットです。

 

なお、これらの相談、ヒアリングなどは、チャット、メール、電話などで対応可能です。具体的な話は面談が必要ですが、オンラインによる面談(Zoom)にも対応しています。忙しい方にも安心の対応です。

補助金を受ける際の注意点

補助金は、融資とは異なり返済する必要はありませんが、申請すると必ず受け取れるものでもありません。

以下の点に関して、特に注意が必要です。

  1. 申請のための要件や募集期間を確認する
  2. 募集期間内であっても予算上限に達すると終了になる
  3. 他の補助金と併用できないケースがある

1.申請のための要件や募集期間を確認する

申請のための要件を、必ず確認しておきましょう。似たような制度がいくつかあるので、どういった要件で公募されているのか、今一度確認することが大切です。

また、補助金制度は募集期間が定められていますが、年度内に1度、もしくは複数回などさまざまです延長されるケースもあるため、気になる補助金制度は、各事業のホームページなどで、こまめにスケジュールを確認しておきましょう。

2.募集期間内であっても予算上限に達すると終了になる

補助金は、募集期間内であっても予算上限に達すると終了になる点に注意しましょう。先着順のケースが多く、数日の差で補助金がもらえないのは納得できないでしょう。

ほとんどの補助金制度には、救済措置や後継事業制度がありません。タイミングを誤ると、資金計画の見直しに加えて、建築スケジュールが滞る可能性もあります。想定外に早い段階で予算上限に達することもあるので、募集期間を見据えて、早めの申請準備の着手が重要です。

3.他の補助金と併用できないケースがある

補助金の多くは、他の補助金と併用できないケースがある点にも注意しましょう。申請したい補助金が複数ある場合、併用したいと考えるかもしれません。確かに、補助金が併用できれば、補助の上限額を広げることができます。

しかし、今回紹介した「地域型住宅グリーン化事業」や「こどもみらい住宅支援事業」では、補助対象が重複するZEH化支援事業といったZEH関連の補助金制度とは併用できません公募要領に、併用が可能な事業が記載されている場合があるので、詳細について各補助金制度ごとの確認をおすすめします。

減税措置:住宅ローン控除

2021年12月に令和4年度税制改正大綱が公表され、住宅ローン控除についても改正がなされました。改正のポイントは、年末の住宅ローン残高の0.7%が、所得税と住民税の一部から最大13年控除される点です。ここでは、改正された住宅ローン控除について解説します。補助金との併用が可能なので、ぜひ確認してみてください。

住宅ローン控除の要件

住宅ローン控除とは、住宅ローンの利用において、住宅取得者の金利負担の軽減を図ることを目的とする減税措置です。2022年の税制改正により、要件の一部が変更され、2025年まで延長されます。

住宅ローン控除の要件は、以下の通りです。

  • 床面積が50平方メートル以上、床面積の2分の1が自らの居住用(ただし、合計所得金額1,000万円以下の場合、床面積40平方メートルに緩和
  • 控除を受ける年の合計所得金額が2,000万以下
  • 住宅ローンの借入期間が10年以上
  • 引き渡しまたは工事完了から6ヶ月以内に入居
  • 居住用にした年と前後2年(計5年)に、長期譲渡所得の課税の特例を適用がない

参照元:令和4年度税制改正大綱|財務省

住宅ローン控除の改正点

住宅ローン控除の改正点は、以下の通りです。

改定前は1%だった控除率が0.7%に下がり、控除期間は最大13年へ延長されています。2023年末までに、新築住宅で居住開始すれば、控除期間が13年になります。

新築の場合 控除期間 控除率
2021年まで 原則10年

(特例13年)

1.0%
2022年~2023年

居住開始

原則13年 0.7%
2024年~2025年

居住開始

10年 0.7%

 

参照元:令和4年度税制改正大綱|財務省

2022年~2023年に居住開始すると最大455万の控除

2022年~2023年に居住開始した場合の、最大控除額と合計金額は以下のようになります。

控除率が下がったとはいえ、最長13年の控除があるため、住宅ローンを利用する方にはメリットの大きい制度といえます。

住宅ローン残高上限 最大控除額 合計控除額
長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円 35万円 455万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 31.5万円 409.5万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 28万円 364万円
その他の住宅 3,000万円 21万円 273万円

参照元:令和4年度税制改正大綱|財務省

2024年~2025年に居住開始した場合は最大409.5万円の控除

2024年~2025年には、控除期間が10年に変更されます。2024年以降に居住した場合、原則として省エネ基準に適合しない住宅は、住宅ローン控除の対象になりません。ここまで紹介したように、2022年~2023年の間に契約から、着工し、引越しまでを完了するのが、最もお得といえるでしょう。

住宅ローン残高上限 最大控除額 合計控除額
長期優良住宅・低炭素住宅 4,500万円 31.5万円 409.5万円
ZEH水準省エネ住宅 3,500万円 24.5万円 318.5万円
省エネ基準適合住宅 3,000万円 21万円 273万円
その他の住宅 適用なし 0万円 0万円

参照元:令和4年度税制改正大綱|財務省

申込方法

住宅ローン控除を受けるには、入居翌年の2月から3月に確定申告をする必要があります。給与取得者が確定申告するのは、1年目のみです。2年目以降は、勤務先の年末調整で手続きするだけで控除を受けられます。確定申告について不明な点があれば、納税地の税務署に問い合わせると良いでしょう。

最後に

本記事では、二世帯住宅に活用できる補助金と住宅ローン控除の概要と合わせて、それぞれの注意点について解説しました。ここまで紹介した補助金以外にも活用できる事業があります。予算上限に達し、募集が終了した補助金もありますが、今後も継続されるものもあります。新たな補助金制度が制定される可能性もあるでしょう。また、補助金以外にも減税措置があります。常に、最新の情報をチェックしておき、いざという時に活用できるように準備しておくことが大切です。