渡辺知哉
設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。
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渡辺知哉
設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。
コンクリート打ちっぱなしの住まいに、スタイリッシュな印象を抱いている方は多いでしょう。マンションや商業施設にみられるコンクリート打ちっぱなしは、最近では以前よりも一般住宅に使われるようになってきました。おしゃれな暮らしやデザイン性を重視する方に人気があります。
建ててしまってから後悔しないためには、メリットだけでなくデメリットにも目を向けなければなりません。
この記事では、コンクリート打ちっぱなしの魅力とデメリットに加え、メンテナンスや快適に暮らす方法を解説します。コンクリート打ちっぱなしの住宅を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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コンクリート打ちっぱなしのイメージはできるものの、どのように造られるのかは知らない方がいらっしゃるかもしれません。コンクリート打ちっぱなしとは何か、実現できる構造や部位について確認しましょう。
ここでは、コンクリート打ちっぱなしについて以下の観点で解説します。
コンクリート打ちっぱなしは、構造が鉄筋コンクリート(RC)造による住宅で選択できる仕上げ方法です。
鉄筋コンクリート住宅を支える骨組みとなる躯体は、鉄筋を組んだ型枠にコンクリート流し込んで造られています。このコンクリートの躯体に外壁であれば塗装やタイル、内壁はクロスや塗装などで仕上げるのが一般的です。あえて仕上げ材を施さずに、型枠を取り外したコンクリートをそのまま見せるのがコンクリート打ちっぱなしです。
ただ、型枠を取り外したままの状態では、外壁は雨などの影響でコンクリートが経年劣化し、内壁においても粉ふきやカビによる汚れがつきやすくなります。そのため、新築の時点でコンクリートを保護するための撥水剤を塗布するのが一般的です。
コンクリート打ちっぱなしにできるのは、外壁と内壁の両方もしくはいずれか片方です。好みのデザインで選択できますが、断熱方法によってはコンクリート打ちっぱなしが可能な場所に違いがあります。
断熱方法によって、コンクリート壁になるのは以下の通りです。
内断熱の場合、内壁側にラスターボードを貼って壁紙などで仕上げます。外断熱の場合は、外壁にタイル貼りあるいは塗装をすることになるので、要望に加えて断熱性能や予算との兼ね合いから検討しましょう。
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コンクリート打ちっぱなしには、どういったメリットがあるのでしょうか。コンクリート打ちっぱなしの仕上げによる美観や構造、コンクリートと鉄筋の性質からみていきます。
コンクリート打ちっぱなし住宅の魅力は、主に以下の4つです。
コンクリート打ちっぱなしの住まいは、コンクリートの質感を活かしたクールで都会的なデザインが魅力です。RC造は、曲線形状の建物を造りやすく、唯一無二のデザインが可能になります。
また、コンクリートは木材や煉瓦、漆喰、珪藻土といった異素材と相性がよい素材です。それらを組み合わせたインテリアコーディネートをすることで、よりおしゃれな住まいになるでしょう。
コンクリート打ちっぱなしの住宅は、柱のない広々とした空間を実現できます。コンクリートの壁面で住宅を支える構造だからこそ、柱と柱の間隔が広かったり、そもそも柱がない場合もあるからです。
1階よりも2階がはり出しているキャンティレバー(片持ち)の構造を採用することで、1階より広い空間となります。眺望を楽しめる上に、家族同士のコミュニケーションが円滑になる間取りが叶うでしょう。
コンクリート打ちっぱなし住宅は頑丈な造りになっているのも、自然災害の多い日本では大きな魅力です。
RC造といえば、耐震性の高さを思い浮かべる方が多いでしょう。コンクリートは圧縮強度に比べ、引張力に弱いという欠点があります。そこに、引張力に強い鉄筋を組み合わせて強度を押し上げているのです。
また、コンクリート打ちっぱなし住宅は建物全体が耐火構造であるため、火災によって強度は低下しません。火災発生時には、建物の崩壊や延焼を防げるのもポイントです。
コンクリートで造られている住宅は、遮音性に優れています。コンクリートは重量があるため、振動による音の発生を防げるのです。
木造や鉄骨造の場合は、どうしても壁内に空洞が存在します。その空洞に遮音材を充填するだけでは十分ではありません。遮音性を高めるのであれば、遮音材を充填した壁の外側に壁を造って二重壁にする必要があります。
コンクリート打ちっぱなしであれば、室内の音が漏れにくく、周囲の騒音に悩まされることはほとんどないでしょう。静かな環境で暮らしたい方や、シアタールームや楽器の演奏室を設けたいケースに向いているといえます。
コンクリート打ちっぱなしには様々な魅力がある一方で、デメリットも存在します。あらかじめデメリットを知っておくと、対策を立てられるので安心です。入居してからの後悔を防ぐためにも確認しましょう。
コンクリート打ちっぱなしにするデメリットは、以下の5つです。
頑丈といわれるコンクリートでも、時間の経過にともない劣化がみられるようになります。新築からしばらくの間は撥水剤の効果で、コンクリート本来のアルカリ性が保たれている状況です。
しかし、打ちっぱなしになっている外壁のコンクリートは雨や空気中の二酸化炭素に触れることで、少しずつ中性化して劣化していきます。大きなひび割れが生じる段階になると、見た目以上に危険な状態といえるでしょう。内部に雨水が侵入して鉄筋が錆びやすい状態になり、コンクリートの強度を保てなくなります。
コンクリートは熱伝導率が高いため、外気の影響を受けやすいのがデメリットです。熱伝導とは、熱の伝わりやすさを指します。打ちっぱなしになっている外壁の熱が伝わりやすくなると室内の温度が急激に変化するため、夏は暑く冬には寒さが厳しくなるのです。
さらに、コンクリートは蓄熱性が高いという特性ゆえに、夏は室内に熱がこもりやすく、冬は温まりにくくなります。快適に過ごすには、冷暖房をフル稼働させなければなりません。外気の影響を受けやすい状態のままでは、光熱費が高額になってしまうでしょう。
結露が発生しやすいのも、コンクリートのデメリットです。空気中には水分が含まれていて、冷たいコンクリート打ちっぱなし壁に触れると水蒸気が水に変わり、結露として現れます。
結露の要因として、コンクリートによる気密性の高さが挙げられます。気密性が高いということは内部の空気が外部と入れ替わりにくく、建物内に存在している水分を含んだ空気が外へ出ていきません。結果として、結露しやすい環境が生まれてしまうのです。
また、湿気の多い空気が滞留しやすい場所には、コンクリート壁と家具の間のほか、クローゼットや押し入れの中なども注意しましょう。
コンクリート打ちっぱなしは長年使用し続けることで、汚れが目立ちやすくなります。なかでも厄介なのが、雨水が流れた後に発生する雨だれと呼ばれる黒っぽい汚れです。雨だれは、外壁に付着した汚れが雨水で流されきれずに乾燥してこびりついて発生します。
そういった汚れには、空気中のホコリや花粉、排気ガス、雨に含まれる化学物質など目に見えないものが含まれているので、水洗いで容易に落とせません。建物の立地や気候条件によっても、汚れが目立つまでの時期に違いがあります。
コンクリート打ちっぱなしは、現場で施工する職人の技術によって、仕上がりが左右される点もデメリットです。コンクリートの打設は、基本的にやり直しが効きません。
コンクリート打ちっぱなしにする場合は、コンクリートの流し込みから締固め(余分な空気を抜いて、コンクリートの密度を高める作業)や養生といった各工程で、緻密な作業が要求されます。また、天候に応じた施工方法の調整も肝心です。
コンクリート打ちっぱなしの実績が豊富で、技術やノウハウがある施工会社に依頼しないと期待通りには仕上がらない可能性が高くなるでしょう。
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コンクリート打ちっぱなしによる外壁は、定期的なメンテナンスが重要です。コンクリート打ちっぱなしだから、メンテナンスの必要がないと考えるかもしれません。
しかし、メンテナンスをおこなわなければ、コンクリートの風合いを損なうだけでなく、コンクリート内部の鉄筋が錆びつくといった構造上の問題にも発展する可能性があります。
ここでは、コンクリート打ちっぱなしのメンテナンス方法を解説します。
コンクリートの劣化状況を確認して、適切な補修をおこなうことが大切です。それによって、長期的に美しい外観を保てるでしょう。ここでは、コンクリート打ちっぱなしの外壁を補修する方法を解説します。
コンクリート打ちっぱなしのメンテナンス方法は、主に以下の4つです。
コンクリート打ちっぱなしの壁への雨水など水の侵入を防ぐには、撥水剤の塗布が効果的です。撥水剤は無色透明のため、コンクリートの風合いを損なうことなく、防水性を高められます。
撥水剤の塗布にかかる費用は、1㎡あたり1,500円が目安です。耐用年数が3~7年程度と短いため、メンテナンスの頻度が高くなるデメリットがあります。ただし、下地の状態がそのまま反映されるため、汚れをカバーできません。したがって、新築時のような美観に戻したい場合には不向きといえるでしょう。
弾性塗料は伸縮性に優れているため、ひび割れの補修が可能です。補修痕を目立たないようにカバーできるうえに、再発防止にも期待できます。ただし、コンクリートを塗りつぶしてしまうので、コンクリートの質感は失われるので注意が必要です。
弾性塗料の耐用年数は6~15年程度で、工事費用は1㎡あたり2,700円が目安です。すでにコンクリート表面にひび割れができていて、コンクリート打ちっぱなしの仕上げから変更する場合に向いているでしょう。
カラークリヤー工法は、透明な塗料に着色剤を混ぜたクリヤー塗料を使った補修方法です。防水性が高く、水の侵入やコンクリートの中性化を抑制します。また、カラークリヤー塗料は若干の着色があるものの、コンクリートの質感を残して汚れをカバーできることがメリットです。
カラークリヤー工法はコンクリートを保護して、美観を損ないたくない場合に向いています。耐用年数は5~10年程度で、工事費用は1㎡あたり3,500円が目安です。
コンクリート打ちっぱなしのメンテナンスで主流となっているのは、ファンデーション工法です。耐久性や耐候性(日光や風雨などの自然作用に対して変化しにくい性質)の高い塗料を用いて、コンクリートの質感を復元します。
汚れや補修痕の影響で、コンクリートが著しく損傷している場合に効果的です。耐用年数は10~15年程度で、工事費用は1㎡あたり5,000円が目安です。
会社ごとに、色付けや仕上げに使う塗料などに違いがあるため事前に確認しましょう。
コンクリート打ちっぱなし住宅に魅力を抱く方にとっては、デメリットをできるだけ解消したいと考えるのではないでしょうか。ここでは、おすすめの対策を解説します。
コンクリート打ちっぱなし住宅で快適に暮らす方法として、以下の3つを参考にしてください。
外断熱工法を取り入れることで、コンクリートの劣化を防止できます。外断熱は、コンクリート打ちっぱなし住宅を包み込むように断熱材を施工する方法です。それによって、コンクリート面の温度変化による膨張や収縮から保護します。
対して、内断熱工法では柱と柱の間に断熱材を施工する方法です。外壁の保護する役割がなく、コンクリートの劣化を防止する対策にはなりえません。
コンクリートの蓄熱性を活かすことも可能になるのが外断熱です。蓄熱性とは、発生した熱を蓄えておく機能を指し、コンクリートをできるだけ露出させず、外気の影響を受けさせないことで向上します。
内断熱の場合は、コンクリートが屋外に露出しているため、外気の温度と同調してしまい、冷暖房の妨げになります。 外断熱であれば、冷暖房を切っても急激な温度変化は起こりません。天井や壁、床に蓄えられた熱量がゆっくり伝わって快適な空間を保てるのです。
コンクリート打ちっぱなし住宅の結露対策として、室内の定期的な換気が必須です。窓を開けて外の空気を取り入れることで、湿度が高くなりがちな室内環境の改善ができます。
少なくともキッチンや浴室など、多くの水蒸気が発生する場所は換気を怠らないようにし、室内を除湿して適正な湿度を保つことが大切です。換気が難しい梅雨時期は、除湿器やエアコンを上手に利用しましょう。
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コンクリート打ちっぱなしは、コンクリートの質感を活かしたデザインや大空間を実現できるのが魅力です。一方で、外気の影響を受けやすいなどのデメリットも存在します。快適に暮らすためには、それらをしっかり理解しておくことが大切です。
コンクリート打ちっぱなしを考えている方は、この記事で紹介したメンテナンスや対策方法を踏まえて検討するとよいでしょう。
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