渡辺知哉
設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。
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渡辺知哉
設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。
二世帯住宅における相続税対策として、生前贈与を行うことで相続税の負担を軽減しようと考える方も多いでしょう。贈与した財産に対して、贈与税がかかりますが、一定の金額が非課税になるいくつかの制度があります。本記事では、二世帯住宅の生前贈与で活用できる4つの非課税制度や相続税がかかるケースを解説します。
生前贈与に相続の節税効果があるということは、よく聞かれる話ですが、二世帯住宅で生前贈与をすると税金は発生しないのでしょうか。実は、条件によって、非課税での贈与も可能です。二世帯住宅の贈与では、親から子以外にも、配偶者や孫にも活用できるため、効果的に相続税を節税することができるでしょう。
本記事では、二世帯住宅で活用できる生前贈与の非課税制度について、以下の4つを解説し、合わせて相続税がかかるケースも紹介します。二世帯住宅での生前贈与を検討している方、生前贈与について知りたい方におすすめです。
<生前贈与で活用できる非課税制度>
制度 | 非課税額 |
暦年贈与 | 年間110万円まで |
贈与税の配偶者控除 | 2,000万円まで |
住宅取得資金等の贈与 | 最大1,000万円まで |
相続時精算課税制度 | 一時的に2,500万円まで |
生前贈与とは、贈与する人が生きている間に、特定の個人へ財産を譲ることです。相続のように、亡くなった後に法定相続人が財産を引き継ぐのではなく、贈与するタイミングや回数、対象者を自由に選べるという特徴があります。そのため、贈与する人の意図した通りに譲ることが可能になるのです。
また、生きている間に財産を譲るので、相続時の財産を減らすことができます。相続税の節税になるといわれるのはこのためです。ただし、一定額を超えた場合には贈与税が発生します。
生前贈与は、贈与する人とその贈与を受ける人との贈与契約という契約になります。
民法549条では、贈与について以下のように定めています。
【贈与】
当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することによって、その効力を生ずる。 |
この条文をみれば、贈与は相手方が承諾することによって成立するといえます。生前贈与は、財産を一方的に譲るのではなく、贈与を受ける人が承諾の意思表示しなければ贈与が成立しないのです。同じように考えると、贈与する人も、意志に反して贈与させられることがあれば、その贈与は無効になります。
生前贈与は、贈与するタイミングや回数、対象者を自由に選ぶことができますが、必ず贈与を受ける人の承諾を得て、お互いの意思に基づいて行う必要があります。
続いて、二世帯住宅の生前贈与で活用できる4つの非課税制度について解説します。
暦年贈与とは、子や孫に対する贈与が年間110万円まで非課税になる制度です。ちなみに、1月1日から12月31日までの暦(こよみ)の上で決めた1年を暦年と呼ぶことから、暦年贈与といわれています。
ここでは、暦年贈与について以下のポイントで解説します。
暦年贈与は、1月1日から12月31日の1年間に110万円以下の贈与が非課税になる制度です。110万円を超えた分は、その金額に応じて課税されます。財産の種類や贈与の相手に制限はなく、110万円以内であれば、申告の必要もありません。これらのことから、相続税対策の贈与として活用しやすい制度といえます。
暦年贈与は、1月1日から12月31日の1年間で贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額(110万円)を差し引いた金額に対して課税されます。
贈与税額の計算式は、以下通りです。
(1年間の贈与財産の合計額ー110万円)×税額ー控除額 |
税率は、以下に示す特例贈与財産用の速算表に記載されている税率を使います。
基礎控除の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | ー |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500円超 | 55% | 640万円 |
例えば、「直系尊属から1年で400万円の贈与」では、次の計算になります。
贈与した人:父から
贈与を受けた人:18歳以上の子 (400万円-110万円)×10%-10万円=19万円 |
参照元:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
相続財産を徐々に減少させていく効果はありますが、二世帯住宅のような不動産には不向きな点があります。土地・建物を110万円ずつ贈与するのは現実的ではありません。贈与のたびに、不動産取得税や登録免許税、司法書士へ支払う手数料がかかってしまうため、不動産を対象とした暦年贈与はあまり行われていないのが実情です。
二世帯住宅で暦年贈与を活用する際には、これから紹介する「贈与税の配偶者控除」や「住宅取得資金等の贈与」と併用することで、非課税限度額を増額することが可能です。
贈与税の配偶者控除とは、婚姻期間20年以上の夫婦に認められている贈与税の非課税制度です。本来、夫婦間であっても生前贈与には贈与税がかかりますが、この制度を活用することで、非課税になるのが特徴です。
ここでは、贈与税の配偶者控除について、以下のポイントで解説します。
贈与税の配偶者控除は、婚姻期間20年以上であれば、二世帯住宅もしくはそれを取得するための資金を贈与する際、贈与税が2,000万円まで非課税となる制度です。この制度は、通称「おしどり贈与」とも呼ばれています。
先ほど紹介した「暦年贈与:1年に110万円までの贈与が非課税」と併用できるため、最大で2,110万円までの贈与が非課税となります。
適用要件は、以下の通りです。
|
贈与税の配偶者控除によって、税額がゼロになった場合でも申告書を提出しなければなりません。贈与したにもかかわらず、申告しない場合には、2,110万円に対する贈与税が発生するので、申告を忘れないようにしましょう。
参照元:No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|国税庁
贈与税の配偶者控除は「贈与税が2,000万円まで非課税」となりますが、不動産取得税と登録免許税が別途課税されます。
不動産取得税とは、
土地・建物を購入した時に一度だけ納める税金 固定資産税評価額の3%が課せられます。 |
登録免許税とは、
住宅を購入した時に、土地・建物の所有権を登記する際に納める税金 生前贈与の登録免許税は、固定資産税評価額の2%が課せられます。 |
贈与によって、2つの税金が課税されるという点を押さえておきましょう。
参照元:地方税制度|不動産取得税|総務省
住宅資金等の贈与とは、住宅購入にかかるお金を贈与した場合に、一定の要件を満たす必要がありますが、贈与税が非課税になるという制度です。住宅資金について、親が援助するケースは少なくありません。祖父母からというケースもあるでしょう。
ここでは、「住宅取得資金等の贈与」について、以下のポイントで解説します。
住宅取得資金等の贈与とは、両親や祖父母からお金の贈与を受けて、土地・建物を購入した場合、その贈与を受けた金額のうち最大1,000万円までの贈与税が非課税となる制度です。ちなみに、住宅の増改築にも活用できます。
非課税限度額は、以下に示す表の通りです。
省エネ等住宅 | 1,000万円まで |
それ以外の住宅 | 500万円まで |
省エネ等住宅とは、①から③のいずれかに適合する住宅用建物になります。
① 断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上であること
② 耐震等級2以上または免震建築物であること
③ 高齢者等配慮対策等級3以上であること
断熱性や耐震性など、住宅のスペックが高いほど、優遇されている制度といえます。
この制度の適用には、贈与を受ける人、住宅に関するものなどいくつもの要件を満たす必要があります。まず、贈与を受ける人の要件は、以下の通りです。
▶贈与を受ける人に関する主な要件
(ただし、床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は、1,000万円以下)
(翌年12月31日までに居住していない場合は、適用を受けることができない)
住宅に関する要件は、以下の通りです。
▶住宅に関する主な要件
この制度の適用を受けるためには、確定申告が必要です。贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に申告を行いましょう。
また、暦年贈与、相続時精算課税制度との併用が可能です。より有利に活用できるようになっているので、ぜひ活用を検討してみてください。
参照元:直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁
相続時精算課税制度とは、生前に2,500万円までの贈与が非課税となる制度です。2,500万円までとなると、非常にお得な制度のようですが、「一時的に非課税」となる点に注意が必要になります。
ここでは、相続時精算課税制度について、以下のポイントで解説します。
相続時精算課税制度は、生前贈与を受けた時点で贈与税がかからないけれど、贈与した人の相続時に一括して税金を清算するという制度です。贈与した人1人につき、最大2,500万円までの贈与が非課税となります。つまり、相続発生まで一旦非課税とし、課税が先送りになるのです。
生前贈与を受けた時点では非課税でも、相続が発生すると、「生前贈与された財産」と「相続財産」の総額に対して、相続税がかかります。相続税として納めるメリットはあるのでしょうか。メリットの1つに、相続税と贈与税の非課税となる範囲の違いが挙げられます。
すでに紹介したように、贈与税は年間110万円まで課税されません。一方で相続税には基礎控除額があるため、3,600万円を超える範囲まで非課税です。
一例として、1,500万円を父母から相続した場合と贈与した場合の税金を比較してみます。
▶相続税の場合
少なくとも3,600万円を超える相続財産がある場合に限り、相続税が発生するため、1,500万円に対する相続税はゼロになります。
▶贈与税の場合
父母からの贈与の場合、特例贈与財産に該当するので特例税率は15%
贈与税は、185,000円になります。
基礎控除後の課税価格 × 税率 − 控除額
●基礎控除後の課税価格:1,500万円ー110万円=1,390万円 ●特例税率15%:1,390万円×15%=2,085,000円 ●控除額190万円:2,085,000円ー1,900,000=185,000 ●税額:185,000円 |
生前贈与はしたいけれど税金は抑えたいという時には、相続時精算課税制度を上手く活用してみると良いかもしれません。
相続時精算課税制度の適用要件は、主に以下の通りです。
暦年贈与のように、誰もが活用できるわけではありません。しかし、60歳以上の親から18歳以上の子への贈与という点では、厳しい要件ではないといえるでしょう。
相続時精算課税制度を活用すると、暦年贈与とは併用できません。制度の適用には、相続時精算課税選択届出書を管轄の税務署に提出します。一度提出すると、贈与者が亡くなる時まで継続して適用されるため、暦年課税に変更することはできません。したがって、この制度を選択した時点で、暦年贈与の併用ができないことになります。ただし、別の人からの贈与であれば、暦年贈与の利用は可能です。
参照元:No.4103 相続時精算課税の選択|手続き|国税庁
二世帯住宅を建てるのであれば、生前贈与や相続税など、トラブルのない家づくりをしたいものです。そういった税金や住宅資金を含めて、計画的に家づくりをするのは容易ではありません。「家を建てたいけど何から始めていいか分からない」「住宅会社がたくさんあって理想の会社を選べない」など悩む方も多いでしょう。
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生前贈与で相続税が課税されるケースの1つに、相続時精算課税を紹介しましたが、これとは別に「生前贈与加算」もあるので、ここで解説します。生前贈与対策として、理解を深めておきましょう。
生前贈与加算とは、贈与した人が亡くなった日を起点として3年以内に行われた全ての贈与を、相続時の財産に加算して計算するという制度です。これは、亡くなる直前の贈与が、「相続税逃れ」ではないかという観点から制定されました。
3年以内の生前贈与に対して、贈与税を払ったという場合は、税金を二重に徴収されるのではないかと心配する方がいるかもしれません。最終的には、相続財産から生前贈与の額を差し引いた額を納税するため、二重に納めることにはならないので安心してください。
決して、生前贈与がムダになるということはありません。生前贈与を検討している方は、なるべく早いうちから長期にわたって活用することが重要になるといえます。
本記事では、二世帯住宅の生前贈与で活用できる4つの非課税制度として、暦年贈与・贈与税の配偶者控除、住宅取得資金等の贈与・相続時精算課税制度について解説しました。二世帯住宅は専門知識豊富な住宅相談窓口のsumuzuがオススメです。
住宅を購入する時に、親から子へ資金援助をする方は多いです。二世帯住宅であれば、検討する方もさらに多いかもしれません。生前贈与の非課税となる制度を活用し、相続も視野に入れて検討しておくと良いでしょう。
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