鉄筋コンクリート(RC)住宅は、建築費がかかるイメージを抱く方は多いでしょう。たしかに坪単価をほかの構造と比較した場合、RC造が高くなります。なぜ、RC住宅の坪単価が高くなるのでしょうか。

RC住宅における坪単価の概要や坪単価が高くなる要因を押さえたうえで、建築会社の見積もりで比較するポイントを解説します。RC住宅の建築会社の選び方もチェックしながら、将来の暮らしをイメージしてみてください。

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鉄筋コンクリート(RC)住宅における坪単価の概要

RC住宅を建てるとき、耳にする機会が多いキーワードが坪単価です。RC住宅の予算決めや建築会社を比較する際に、坪単価を知っておくと役立つので把握しておきましょう。

ここでは、RC住宅における坪単価の概要を解説します。

  • 坪単価とは
  • RC住宅と他の構造による相場の違い

坪単価とは

まず、RC造の坪単価を紹介する前に、そもそも坪単価とはどのように算出するのかを解説します。

坪単価とは、土地や建物に対する1坪あたりの価格です。1坪の広さは畳2枚分になり、面積にすると約3.3㎡になります。

建物の坪単価は、以下の計算式で算出します。

坪単価=本体価格÷延床面積(坪数)

※延床面積とは、建物における各階床面積の合計

例として、建物の本体価格が5,000万円、延床面積が50坪の場合は「5,000万円÷50坪=100万円」として、坪単価が100万円と算出できます。

一般的に、坪単価には付帯工事費や諸経費が含まれません。あくまでも、建物価格を知る指標のひとつですから、坪単価と実際の総工費には差が出るので注意してください。

RC住宅と他の構造による相場の違い

坪単価はエリアや立地、間取りで異なりますが、構造によっても相場は変わってきます。

国税庁によると、2023年における構造別の坪単価は以下の通りです。

RC造(鉄筋コンクリート造)S造(鉄骨造)SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)木造
全国平均917,400円897,600円874,500円584,100円

※坪単価は1㎡あたりの単価に3.3をかけて計算

参照:地域別・構造別の工事費用表(1m2当たり)【令和5年分用】|国税庁

坪単価は、RC造が最も高く、次いでS造、SRC造、木造と続きます。RC造と木造とでは、約33万円の差があり、50坪の建物であれば1,650万円ほどRC住宅が高くなるのです。

RC住宅の坪単価が高くなる要因

国税庁の調査結果から、RC住宅の坪単価が他の構造に比べて高くなることが分かりました。なぜ、RC住宅の坪単価は高くなるのでしょうか。

RC住宅の坪単価が高くなる要因は、主に以下の3つです。

  1. 地震に強く耐久性に優れている
  2. 専門的な施工技術を要する
  3. 工期が長くなり人件費が増える

1.地震に強く耐久性に優れている

RC住宅の坪単価が高くなる要因として、地震に強く耐久性に優れている造りになっていることが挙げられます。RC住宅は、構造設計の段階から家の強度や剛性をを高める方向で進めており、費用の高い鉄筋とコンクリートの使用量が多くなるためです。

RC住宅の坪単価は、決して高額とはいえません。耐久性に着目して、法定耐用年数を用いて坪単価を考えてみましょう。法定耐用年数とは税務上の基準として設けられた期間で、建物の場合はその価値が一定の年数をかけて下がっていくと考えられています。

例えば木造の住宅が坪単価60万円、RC住宅が坪単価100万円と仮定します。

それぞれの法定耐用年数は、以下の通りです。
木造:22年RC造:47年
これらを耐用年数1年あたりの坪単価に換算します。
木造住宅:約2.7万円RC住宅:約2.1万円

耐用年数から見れば、RC住宅の坪単価が安くなるのが分かります。RC住宅は地震に強く耐久性に優れている造りになっているゆえに、長い目で見れば決して坪単価が高いとはいえないのです。

2.専門的な施工技術を要する

RC住宅には専門的な施行技術を必要とするのも、坪単価が高くなる要因のひとつです。

鉄筋の組み立てや型枠の設置と撤去作業からコンクリートの打設など、高度な技術と専門知識が欠かせません。建築計画に沿って厳格な施工が必要とされるため、技術の確かな職人が求められます。

しかし、この施工技術には人材不足の課題があります。RC住宅の施工は熟練した職人による手作業が中心となりますが、職人の減少により、優れた施工技術を持つ人材の確保が難しい状況です。これらのことが、RC住宅の坪単価を高める一因となっています。

3.工期が長くなり人件費が増える

RC住宅の2階建てであれば、工期は約6か月程度かかります。重量のあるRC住宅を支えるため、基礎工事にかける時間が長くなるからです。工期が長くなれば、職人や現場監理のための人件費が増えます。

基礎工事では建物の支柱にする杭を打ち込む杭工事がおこなわれ、鉄筋を組んだ型枠に流し込んだコンクリートが硬化するまで待たなければなりません。1階から順に配筋や型枠の工事をし、上階の床の施工と配筋、型枠工事を階数に応じて繰り返していきます。

また以下の状況になると、さらに工期が長引く可能性があります。

  • 建築する土地にすでに建物がある場合は、解体工事が必要になる
  • 騒音や粉塵などにも配慮をし、作業時間を制限しなければならない場合がある
  • 地盤が弱い場合など土地の状態によっては、補強工事に時間がかかる
  • 気温が低いと固まるのに時間がかかる

どのような工程に時間をかけておこなわれるのか、具体的にイメージできるようにしておくと良いでしょう。工程表と照らし合わせながら、工事の進捗を確認することをおすすめします。

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RC住宅の坪単価を比較するときのポイント

RC住宅の建築会社を選ぶ際に、比較しやすいのが坪単価です。しかし、単に坪単価だけで比較するのは賢明ではありません。なぜなら、坪単価だけで表せないものがあるからです。

RC住宅の坪単価を比較するときは、以下の4つに注意しましょう。

  1. 建築会社によって坪単価の定義が異なる
  2. 坪単価に含まれるもの・含まれないものがある
  3. 本体工事にどこまで含まれるか
  4. 施工面積と延床面積の違い

1.建築会社によって坪単価の定義が異なる

坪単価を提示される機会は多くありますが、建築会社によって細かな計算方法は異なります。そのため、坪単価の金額を重視するのではなく、会社がどのように計算しているのかも確認して比較することが大切です。

同じ条件で見積もりを取り寄せたとき、坪単価に違いがでてくるのは珍しくありません。坪単価の安い会社に依頼しても、別の会社で建てるより高くなる場合もあります。理由は、建物の仕様や性能が会社ごとに異なるからです。

そのため、坪単価の考え方としては、会社によって坪単価の定義が異なると認識しておきましょう。あくまでも目安程度に留めて、見積りの詳細を比較することが大切です。

2.坪単価に含まれるもの・含まれないものがある

坪単価は、総工費のうち建物の本体価格を元に算出しています。そのため、RC住宅を建てる際に本体価格のほかにも別途かかる費用があるので注意が必要です。

別途必要になるのは、以下の費用が挙げられます。

付帯工事費用諸費用
解体工事(建て替えの場合)
地盤工事(軟弱な地盤の場合)
電設工事 給水工事 ガス工事 家具工事外構工事 植栽工事など 
設計費用 申請費用 契約手数料収入印紙代 ローン関連の手数料登記費用 登録免許税 不動産取得税 固定資産税など

住まいづくりは建物価格だけではなく、実際に支払う総額で必要な費用を確認しましょう。

3.本体工事にどこまで含まれるか

本体工事にどこまで含まれるか、その詳細を確認することも大切です。

建築会社によっては、本体工事に含まれる範囲に違いがあります。

  • 建物にキッチンや浴室、トイレなど最低限の設備が設置されている
  • 建物に雨戸や網戸、照明器具、カーテンなど日常生活に必要なものが含まれている

最低限の設備しかない場合は、日常生活に必要なものを追加しなければなりません。ただし、いずれの場合も建築会社が標準仕様で見積りが作成されるため、それ以上のグレードに変更すると坪単価はすぐに上がってしまいます。

4.施工面積と延床面積の違い

RC住宅の坪単価を比較するときに注意しなければならないのが、施工面積と延床面積の違いです。建築会社が坪単価を算出する際に、どちらの床面積を使っているかで金額が大きく変わってくるからです。

延床面積とは階数分の面積を合計したもので、吹き抜けやロフト、玄関ポーチ、ベランダは含まれません。施工面積は、実際に建築工事をおこなった範囲を指します。つまり、延床面積に含まれなかった吹き抜けやロフトなどすべてを含めたものが施工面積です。

そのため、施工床面積は延床面積よりも確実に大きい数値になるので、価格が同じであれば坪単価は当然ながら安くなります。坪単価を比較するときには、どちらの面積で算出しているのかを確認することをおすすめします。

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RC住宅の建築会社を選ぶコツ

注文住宅を建てるには、ハウスメーカーや工務店、設計事務所に依頼するのが一般的です。なかでも、RC住宅に強い建築会社を選ばなければなりません。RC住宅の建築は鉄筋コンクリート造のノウハウが重要になるため、依頼先が限られてきます。

RC住宅の建築会社を選ぶ際には、以下のポイントを押さえておきましょう。

  1. 会社規模が気になる場合は建設業許可の内容を確認する
  2. 建築会社の口コミ評判を参考にする
  3. 施工事例に目を通しておく

1.会社規模が気になる場合は建設業許可の内容を確認する

建築会社は強みとする分野が異なるため、まずはRC住宅を扱う会社を探しましょう。そのうえで、会社規模を把握するポイントとなるのが「特定建設業許可」の有無です。RC住宅は建築費が高くなるので、社会的に信用度の高い会社を選びたい方は建設業許可の内容を確認してみてください。

建設業許可は、扱える工事金額によって一般建設業と特定建設業に区分されます。

一般建設業特定建設業
発注者から直接請け負った工事において代金について、4,500万円(建築工事業の場合は7,000万円)未満となる下請契約を締結する場合発注者から直接請け負った工事において代金について、4,500万円(建築工事業の場合は7,000万円)以上となる下請契約を締結する場合

参照:建設産業・不動産業:建設業の許可とは|国土交通省

特定建設業許可をもつ建築会社は、RC造マンションを多く手掛けていることから、豊富な経験とノウハウがあると判断できます。

2.建築会社の口コミ評判を参考にする

口コミ評判を参考にするのも建築会社選びのポイントです。建築を依頼したい会社を比較しても、今ひとつ決め手が見つからない場合もあります。また、RC住宅は工期が長いため、建築会社が経営的に問題ないかも把握したいものです。

地元の会社であれば、その地域に住む人に聞くのが信用性が高いといえます。職場の人や友人に話を聞いてみてはいかがでしょうか。

また、住宅に関する口コミサイトや建築会社が提供する体験談を活用するのもおすすめです。実際に建てた人の体験談は、家づくりの悩みや疑問を解決できる可能性が高まります。

3.施工事例に目を通しておく

建築会社を選ぶ際には、建築会社の施工事例に目を通しておきましょう。図面を見たり説明を受けたりするだけでは分かりにくいところも、イメージしやすくなります。

住宅の完成形のほかにも、施工プロセスの掲載があれば、地盤補強工事や基礎工事の様子を確認するのも良いでしょう。

施行事例を通して、チェックしておきたいのは以下の内容です。

  • 外観のテイスト
  • 部屋別のデザイン
  • 工事の様子
  • プランニングのポイント
  • 要望を叶えるための工夫点
  • 設計図
  • 施工期間
  • 総工費

建築会社との打ち合わせで、理想のイメージ像を言葉で伝えるのは思いのほか難しいものです。しかし事例があれば、魅力を感じたところや実現したいことを伝えやすくなります。ホームページやSNS、住宅雑誌を参考に探してみましょう。

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最後に

RC住宅の坪単価は、木造など他の構造に比べて高くなります。それは、地震に強く耐久性に優れるからこそ費用の高い鉄筋とコンクリートの使用量が多くなるなど、いくつかの要因によって押し上げられているのです。

また、坪単価はRC住宅の建築会社を比較する際に活用できます。ポイントを把握して、ご自身に合った建築会社を選び、快適で安全性の高い家づくりを目指しましょう。
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