「RC住宅を建てたいけれど、失敗したらと思うと決断できない」と悩んでいる方は少なくありません。住宅購入は一生に何度もない、大きな買い物ですから、気になるところは解消していきましょう。

この記事では、RC住宅で後悔するポイントを解説します。それぞれのポイントの対策などを整理し、RC住宅の魅力や設計のポイントを押さえて、快適な暮らしを実現してください。

RC住宅で後悔する5つのポイント

RC住宅は、おしゃれな外観からも憧れを抱く方は多いでしょう。洗練されたデザインが魅力です。

しかし、RC住宅で後悔したという声も聞かれます。理由が分かれば対策を講じることも可能です。

ここでは、RC住宅で後悔する5つのポイントを紹介します。

  • ①建築コストが高い
  • ②外気の影響を受けやすい
  • ③結露が発生しやすい
  • ④ひび割れができる
  • ➄汚れやすい

後悔ポイント①建築コストが高い

RC住宅は、木造住宅と比べて建築コストが高くなります。どこに建築コストが高くなる要因があるのでしょうか。

構造体そのものの価格が高い

まず、RC住宅は構造体そのものの価格が高いことが挙げられます。鉄筋コンクリート(RC)造は木造より強度が高く重量があり、基礎を強固なものにしなければなりません。

鉄筋と型枠を組んだ後にコンクリートを流し入れ、固まるまで待つという手順です。工期が長くなれば、現場監督をはじめとした職人の報酬など現場経費が上がり、どうしても割高になってしまいます。

地盤補強工事がかかる

建築地の地盤が弱い場合、建物を安全に支える地盤補強工事をおこないます。地盤が弱いと、時間の経過とともに地盤沈下が起こり、建物が倒壊する危険性が高くなるからです。

地盤補強は工事の種類や土地の状態によって費用が異なるので、土地探しの際に確認してください。

構造計算の費用が必要になる

RC住宅は、建築基準法により構造計算が求められます。木造でも3階建ての場合は、構造計算が必要です。3階建てになると、建物の荷重や揺れに対する動きを検討しなければ倒壊の可能性があります。

RC住宅の場合は、構造計算によって建物の耐震性を確認することで、全ての建物の安全性を立証できるといえます。構造計算にかかる費用が、木造住宅に比べて高くなると認識しておきましょう。

後悔ポイント②外気の影響を受けやすい

コンクリートは熱伝導率が高いことから、RC住宅は外気の影響を受けやすい構造体です。特に、コンクリート打ちっぱなしの住宅では、外気の影響が大きくなり、温熱環境を整えるのは難しくなります。

さらに、コンクリートは蓄熱性も高く、熱がこもりやすくなるのが特徴です。夏は熱を蓄熱して夜になっても冷めにくくなります。対して冬の場合は、夜に溜まった冷気が昼になっても暖まらずにそのまま冷たい状態を保つので、非常に寒いわけです。

これらのことから、冷暖房を使用する時間が長くなり、光熱費が増える可能性が高まります。

後悔ポイント③結露が発生しやすい

コンクリートの蓄熱性により、室内が外気温より低くなりやすいです。コンクリート壁で暖かい湿った空気が冷やされて結露が発生します。掃除が大変になったり、気づかないうちにカビが発生したりするかもしれません。

RC住宅で、特に結露が発生しやすい場所は、北側の窓やクローゼットが挙げられます。気温が下がりやすい場所ほど、湿度が高くなりがちです。ほかにも、床下収納やシューズボックスといった、熱がこもりやすく風通しの悪い場所も注意しましょう。

後悔ポイント④ひび割れができる

コンクリート打ちっぱなしの壁は、いくつかの要因によりひび割れが発生します。見た目を損ねるのは、後悔につながるでしょう。

コンクリート内の余剰水分が蒸発したことで体積が小さくなった場合のほか、初期乾燥と呼ばれるコンクリート表面の水分の蒸発による不規則なひび割れが生じます。施工時における仕上げのタイミングや、打重ね時間の間隔が不適切だったケースもあるので、気づいた時点で施工会社に問い合わせましょう。

ひび割れを放置すると、さらに大きくなり剥離を起こしてしまい、建物の寿命を縮める可能性があります。

参照:コンクリート基本技術調査委員会|日本コンクリート工学会

後悔ポイント➄汚れやすい

コンクリートの汚れが目立ちやすいことも、RC住宅で後悔するポイントです。コンクリートの外観は、ホコリが雨で流されそのまま残る雨だれや排気ガスによる汚れ、日当たりの悪い部分に苔が生えることもあります。

室内のコンクリート壁も汚れやすいので注意が必要です。ホコリ以外にも、皮脂汚れや油汚れ、カビなどで黒ずみが見られるようになります。コンクリートは、壁紙のように張替えが容易にできません。いかにコンクリートの風合いを維持できるかが課題になるといえます。

RC住宅で後悔しない!頑丈な造りだからこそ良さがある

RC住宅は、頑丈に造られているため建築コストが高くなります。かといって、頑丈に造られているからこそ初期費用がかかっても、他の構造では得られないメリットが存在するのも事実です。

ここでは、RC住宅で特筆すべき3つのメリットを解説します。

  1. こだわりを反映させたオリジナルの家づくりが魅力
  2. 災害に強い安心安全な家づくりが可能
  3. 火災保険料を抑えられる

1.こだわりを反映させたオリジナルの家づくりが魅力

RC住宅の最大の魅力は、建物のデザインへのこだわりを反映させたオリジナルの家づくりができることです。RC住宅はデザインの自由度が高く、大きな空間を造りやすいという点で、唯一無二のオリジナルデザインの家を実現したいという注文住宅に多く採用されています。

RC住宅が洗練された印象を与えるのは、「視界を遮らない大空間」や「柱や梁の少ない整然とした空間」を実現しやすいからともいえるでしょう。

2.災害に強い安心安全な家づくりが可能

近年、RC住宅が注目を集めているのは、地震や火災に対する強さと安全性に大きな魅力があるからです。RC住宅は鉄筋コンクリート造を採用しており、自然災害に対して高い耐性をもっています。

RC住宅の強さとして挙げられるのは、鉄筋コンクリートの特性です。鉄筋は引張力が高く、コンクリートは圧縮力に強いため、地震の揺れに対して優れた耐久性を発揮します。これにより、建物が倒壊したり損壊したりするリスクが低くなります。

火災に対しても耐火性能が高いため、燃えることなく強度も低下しません。近隣の建物に延焼するリスクを最小限に抑えます。

これらのことから、RC住宅は自然災害に対する高い耐性をもち、安心安全な家づくりが可能になるのです。

3.火災保険料を抑えられる

RC住宅は、火災保険の料金を抑えられるのも魅力のひとつです。木造住宅はRC住宅に比べて火災リスクが高いため、火災保険料が高くなります。

住宅ローンを利用する際は、火災保険の加入が借入れの条件になっている場合がほとんどです。火災保険料は、保証額に変更がなければ、築年数が経つほど火災保険料は値上がりしていきます。 

負担総額は、木造住宅の半分程度になるといわれているため、長い目でみると大きなメリットといえるでしょう。

RC住宅で快適に暮らすための対策5選

RC住宅を検討する時点で、後悔につながるポイントに対してあらかじめ対策しておくことが大切です。そうすれば、将来起こりうる事態を最小限に抑えて快適に過ごせるでしょう。

RC住宅で後悔するポイントを解消して、快適に暮らすための対策を解説します。

  1. 予算オーバーを防ぐには見積りに含まれる費用を確認
  2. 外気の影響を抑えるには外断熱が効果的
  3. 結露には空調設備や空気の通り道を確保
  4. ひび割れなど経年劣化は定期的な点検が大切
  5. 汚れの対策には撥水剤施工がおすすめ

1.予算オーバーを防ぐには見積りに含まれる費用を確認

予算オーバーを防ぐには、見積もりに含まれる費用を確認する必要があります。RC住宅は、複数の建築会社に同様の条件を伝えても、全く同じ金額の見積もりにはなりません。相見積もりをとることで、建築会社ごとの費用の差異が明確になります。

見積もりの総額だけではなく、各項目の金額を細かく確認することが大切です。また、建物本体価格のほか、地盤補強工事費を含めた付帯工事費、設計料や構造計算にかかる費用などをチェックしましょう。

なお、工事請負契約前の見積もりは概算となるため、詳細な設計内容が決まると価格の変動はあります。ある程度詳細な内容が分かると、詳細見積もりで仕様変更が発生し予算オーバーになるケースを防止できます。

2.外気の影響を抑えるには外断熱が効果的

外壁がコンクリート打ちっぱなしの場合は、外気の影響を大きく受けてしまうことが後悔するポイントでした。そういった場合は、外断熱の施工がおすすめです。

外断熱とは建物の外側を断熱材で覆い、建物全体の断熱性能を向上させる工法です。外断熱にして高性能の窓を取り入れると、断熱性能がアップし、外気の影響を受けにくい快適な室内環境を保てます。その結果、結露の発生も防止できるのもポイントです。

ただし、外壁を打ちっぱなしにしてコンクリートの風合いを活かしたい場合は、柱の間に断熱材を施工する内断熱が一般的です。熱橋(建物の中で熱を伝えやすい部分)を伝わって外気の熱が建物内に入る可能性があるため、その対策が必須となります。どのような対策があるのか、建築会社に確認しましょう。

3.結露には空調設備や空気の通り道を確保

RC住宅の結露対策には、空調設備や空気の通り道を確保することが大切です。空調設備で室内を除湿して、適正な湿度を保つようにしましょう。合わせて定期的な換気も、空気中に含まれる水蒸気を外に逃がして結露を軽減できます。

空気の通り道を確保するには、風通しのいい間取りを取り入れる、換気口や給気口を適切に設置する、窓の性能を高めるといった対策が有効です。スケルトン階段は、風が上下階を巡るようになるので、検討してみてください。

また、壁に漆喰や珪藻土など湿気を吸収する素材を使うのも良いでしょう。これらの自然素材は高い調湿性能をもっているため、結露の発生を抑える効果に期待できます。

4.ひび割れなど経年劣化は定期的な点検が大切

経年劣化によりコンクリート打ちっぱなしの壁に発生するひび割れは、定期的な点検で補修してもらうようにしましょう。耐久性や美観を損なうだけでなく、漏水の原因となるため放置するのは賢明ではありません。

また、地震や地盤沈下などで発生した構造のひび割れの補修は、建築会社もしくは専門業者に依頼することをおすすめします。

建築会社を選ぶ際に、ひび割れの補修が工事保証に含まれるかを事前に確認しておくと安心です。RC住宅の建築を請け負う会社といっても、経験や知識に違いがあります。そのため、信頼できる高いスキルをもった会社を見極めることが重要です。

5.汚れの対策には撥水剤施工がおすすめ

コンクリートの汚れに対する対策は、定期的なメンテナンスが効果的です。例えば、コンクリートへ専用の撥水剤を塗布する方法があります。撥水剤とは透明な浸透性の吸水防止剤で、透明タイプなのでコンクリートの風合いを損なうことはありません。

なお、新築の際に撥水剤が施工されているケースが多いので、撥水剤の耐用年数を確認のうえ、定期的に塗布することをおすすめします。汚れが目立ってきた状態で撥水剤を塗布したい場合は、高圧洗浄で汚れをしっかりと落してからおこなってください。

RC住宅で後悔しないための設計ポイント5つ

RC住宅で後悔しないためには、設計においても取り入れたい視点があります。ここでは、5つのポイントを解説します。取り入れられそうなことから実践しましょう。

  1. 家族のライフスタイルに合った間取り
  2. 快適な住環境を作るために自然光と風の通り道を確保
  3. 収納スペースの配置や使い勝手
  4. 省エネ性を考慮した設備機器の選定
  5. 快適で心地よい空間を作り出すインテリアデザイン

1.家族のライフスタイルに合った間取り

RC住宅の設計において、家族のライフスタイルに合った間取りを選ぶことが大切です。RC住宅では、建物の構造において柱や梁の位置に制約があるため、間取りの変更が難しい場合も少なくありません。家族の暮らし方は、時間が経つにつれて変化していきます。その変化に柔軟に対応できる間取りを選びましょう。

親子あるいはきょうだいとで過ごす部屋から、部屋を分割して子供の個室にするといった空間の利用にすれば大がかりなリフォームが不要になります。さらに、子供の独立にともない空いた部屋をどのように活用するのかまでを見据えるのが理想的です。

2.快適な住環境を作るために自然光と風の通り道を確保

快適な住環境を作るために、自然光と風の通り道の確保が設計のポイントです。RC住宅の気密性を保ちつつ、結露やカビの発生を防止できます。自然光と風の利用は、住宅のエネルギー効率化につながる上に光熱費の軽減も可能です。

リビングダイニングを南側に向くよう設置したり、中庭をどの部屋からもアクセスできるよう設計するのも良いでしょう。日差しだけでなく、家全体の風通しも良くなります。

RC住宅は熱がこもりやすいため、大きめのひさしや軒をつくり、太陽光をさえぎる工夫が必要です。もしくは、シェードやルーバーも検討してみてください。冬の寒さは、角度の低い日光を取り入れる位置に窓を設計するのもおすすめです。

3.収納スペースの配置や使い勝手

RC住宅においては、収納スペースの配置と使い勝手を考慮しましょう。なぜなら、効率的な収納スペースは生活の質を向上させ、整理整頓が行き届いたすっきりした空間を実現できるからです。

間取りを考える際には、家事や日常生活の動線に合わせた収納計画に加えて、家の床面積に占める収納面積の比率を計算してください。せっかくの広々とした空間が収納しきれない物品であふれることになりかねません。

RC住宅では室内側に柱が出る場合があり、一見して無駄なスペースができます。柱と柱の間にできるスペースに、オーダーメイドの造作家具を取り付けるのも一案です。限られたスペースの有効活用になり、デザイン性も高くなるでしょう。

4.省エネ性を考慮した設備機器の選定

RC住宅には、省エネ性を考慮した設備機器の選定がポイントです。省エネ性の高い設備機器を導入することで、エネルギー消費量を削減して節約効果に期待できます。

また、省エネ性の高い設備機器は環境にも優しいため、CO2排出量の削減や地球温暖化の抑制にも貢献します。

<省エネ性の高い設備機器の一例>

  • LED照明
  • 冷蔵庫・冷凍庫
  • ガス調理機器
  • ガス温水機器
  • 電気温水機器
  • エアコン

これらの設備機器のうち「省エネルギーラベル」が付いたものを選ぶことで、電力消費の削減が可能です。

5.快適で心地よい空間を作り出すインテリアデザイン

RC住宅のインテリアデザインは、快適な空間を作り出すために重要な要素です。温かみのあるLED照明や間接照明を活用し、居心地のよい雰囲気を演出できます。照明の位置や明るさを調整できる調光システムも検討してみてください。

また、家具や調度品の選び方や配置も大切です。家具の配置には、部屋の使い勝手や動線を考慮し、デザイン性と実用性に目を向けましょう。

室内の壁はコンクリート打ちっぱなしのほかにも、壁紙や床材にこだわってみてはいかがでしょうか。色や柄、素材によって、部屋のイメージや雰囲気が大きく変わります。個性を表現しながら、快適さや心地よさを兼ね備えたインテリアデザインを決定しましょう。

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最後に

RC住宅で後悔しやすいポイントは、建築コストが高いなどコンクリートの特性に関わる内容が多く存在します。家が完成してからではやり直しができないからこそ、この記事で紹介した後悔ポイントをご自身の家づくりに活かしてください。

ただし、断熱材の施工や性能面については専門的な知識が必要になるケースがほとんどです。そのため、RC住宅建築の知識をもった専門家への相談をおすすめします。

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