渡辺知哉
設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。
この記事の監修者
渡辺知哉
設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。
注文住宅を検討するとき、木造と鉄骨造のどちらを選択するのが最適なのか、迷う方も多いでしょう。木造と鉄骨造の特徴、メリットやデメリットで比較ができれば、適切な判断につなげられます。
この記事では、注文住宅の木造と鉄骨造を比較します。ご自身のお住まいにとって、どれを選択すればよいのかを考える基準のひとつとして参考にしてみてください。
注文住宅の構造は、木造と鉄骨造に大別されます。
国土交通省が公開した資料によると、1~2階建ての新築住宅のうち、木造住宅の割合は88.0%、3階建ての場合でも半数以上が木造で建てられています。対して、木造以外の構造では1階~6階建て、つまり低層から高層まで幅広く建築が可能です。
参照元:新築建築物に占める木造建築物の割合(R4年度着工・床面積)|国土交通省|
以下で、木造住宅と鉄骨造住宅の特徴を確認しましょう。
木造住宅は、柱などの構造材が木材で作られる建物です。総務省の統計によると日本の住宅において、木造住宅が約6割を占めています。
木造住宅では主に、以下の2つの工法が採用されています。
木造軸組工法は、別名「在来工法」ともいわれており、住宅によく採用されています。柱と梁で骨組みを築き、筋違いや合板で組み上げる工法です。
耐震性を確保し、自由度の高い設計ができることが特徴です。狭小地や変形地などの住宅にも対応できます。
ツーバイフォー工法は、2×4工法ともいわれます。2インチ✕4インチのパネル状になった木材を組み合わせる「6面体構造」の工法です。歪みがなく強度が出るような住宅が建てられます。
特徴として、耐震性に優れ、断熱の気密が取りやすいことが挙げられます。一方で、木造軸組工法に比べると、開口部や間取りの自由度は低めで、将来的にリフォームがしにくい点に注意しましょう。
ツーバイフォー工法と木造軸組工法を融合したハイブリッドな軸組構造もあり、3階以上の建築も可能となっています。
鉄骨造住宅は、建物の主要構造部分に鉄を使用して建築される住宅です。
鉄骨造には、鋼材の厚みによって2つの種類があります。
工法は、以下で確認しましょう。
軽量鉄骨ブレース工法は、骨組みをつくり、ブレースで補強して、ボルトを連結して組み立てる工法です。ブレースとは、柱と柱の間を対角線でつないで補強する部材(筋交い)を指します。
ブレースを一定間隔で配置して強度を高めるため、地震や風に強い住宅の建築が可能です。軽量鉄骨造は、ブレース工法を採用するケースが多くなっています。
軽量鉄骨プレハブ工法は、主要部材を工場で造り、建築現場で組み立てる工法です。現場では、ボルトやナットでそれらを固定して組み立てていきます。
作業を効率化し、現場での作業工程を削減するので、建築コストを抑えるだけでなく工期も短く設定できるのが大きな特徴です。
ユニット系プレハブ工法は、鉄骨のフレームや木材のパネルで構成された「ユニット」を使った工法です。
1959年に発売された大和ハウス工業の「ミゼットハウス」が有名で、主に大手ハウスメーカーが手掛けています。
発売当初は、安価で画一的といったイメージがありました。現在では自然災害にも負けない技術や性能により、省エネ・創エネ性能などの特徴を備えたプレハブ工法が確立されています。
重量鉄骨ラーメン工法は、地震の際に大きく揺れることなく、鉄骨造特有の反復動を抑える工法です。
ラーメンは、「額縁」や「枠」を意味するドイツ語です。重量鉄骨で柱と梁を組み、ボルトで連結している部分を溶接して固定し、強靭な「枠」を作っていきます。
枠の中に補強材を配置する必要がなく、自由度の高い間取りやレイアウトが実現可能になります。
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木造住宅は、自然素材である木ならではの様々なメリットがあります。その反面、デメリットとして、防音性や耐震性などが課題です。
ここでは、木造住宅のメリットとデメリットを解説します。
木造住宅のメリットは、以下の4つです。
木造住宅は、調湿性の高さがメリットのひとつです。
湿度が高い時期は室内の湿気を吸収し、乾燥すると水分を放出して、室内を一定の湿度に調節してくれます。「木は呼吸をする」といわれるのは、このためです。
まさに木造住宅は、夏は梅雨にはじまって雷雨も多く、冬は乾燥する日本の気候に適した住宅といえるでしょう。
木造住宅は外部からの熱が住宅内に伝わりにくく、断熱性が高いメリットがあります。
木の熱伝導率は、コンクリートの約10分の1、鉄の約500分の1と非常に低く、木の細胞には熱を伝えにくい空気が含まれているからです。構造材の間に断熱材を充填すると、さらに高い断熱性が期待できるでしょう。
木造住宅は耐火性に優れており、着火して表面が炭化しても燃え尽きることはありません。火事になった場合に、建物の倒壊を防ぎます。
例えば、鉄は500~800度になると急速に強度が失われ、曲がってしまいます。しかし、木の燃えるスピードはゆっくりなため、ある程度の厚みがあれば、家の形はそのまま保たれることがほとんどです。
国税庁の調査によると、2023年の構造別工事費用は以下の通りです。
木造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 | 鉄筋コンクリート造 | 鉄骨造 | ||
全国平均 | 1㎡あたり | 177,000円 | 265,000円 | 278,000円 | 272,000円 |
坪単価 | 584,100円 | 874,500円 | 917,400円 | 897,600円 |
引用:地域別・構造別の工事費用表(1m2当たり)【令和5年分用】|国税庁
ウッドショックの影響で木材の価格が高騰しているとはいえ、鉄骨造に比べると建築費用を抑えられます。ただし、木材の種類によって坪単価が高くなるので注意しましょう。
木造住宅のデメリットは、主に以下の4つです。
木造住宅は、鉄骨造に比べて防音性が低いのがデメリットです。最近では、高気密・高断熱の家づくりが進んでいるため、防音性は上がってきています。
外部からの音を遮断できる分だけ、室内では増幅して響きやすくなる場合があるのです。
例えば、リビングが吹き抜けになっていると、テレビの音や話し声が2階ではうるさく感じる可能性が高まります。楽器演奏や映画鑑賞をする部屋は、防音対策が必要になるでしょう。
木造住宅は、シロアリ対策が必要です。シロアリは湿気を好むため、床下などに発生しやすくなります。
木造住宅では、築20年以降で20%以上がシロアリ被害に遭っている状況です。シロアリ駆除の費用は、住宅の規模にもよりますが、数十万円かかるといわれています。
定期的な駆除と床下の通気を良くする対策をおこないしましょう。
木造住宅は、仕上がりが職人のスキルに左右されやすいデメリットがあります。なぜなら、建築現場で木材を加工するケースがあるためです。もちろん、木の品質も常に一定ではなく、管理の仕方も影響します。
そのため、建築会社選びは慎重におこなわなければなりません。建築実績や住宅性能を客観的な数値で確認することをおすすめします。
木造住宅は、材料のサイズがある程度決められているツーバイフォー工法では、窓や開口部が設置できる場所に制限があります。
木造軸組工法においても、設計の自由度は高くなるものの、法律で定められている耐震性を確保するために制限が多くなります。特に、3階建てでは、大きな窓の広々とした部屋は難しいでしょう。
ただし、一般的に使われるサイズよりも大きな柱や梁を取り入れれば、柱の少ない空間づくりも可能です。
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鉄骨をメインの材料とする住宅には、木造住宅にはないメリットがあります。ただし、いくつかのデメリットも存在するので確認しましょう。
ここでは、注文住宅における鉄骨造のメリットとデメリットを解説します。
鉄骨造住宅のメリットは、以下の3つです。
1.住宅の品質が安定している
2.開放感のある間取りを採用できる
3.狭小地や変形地にも建てやすい
鉄骨住宅は、工場で生産された建材をある程度まで組み立てたうえで、現場で組み上げる方法が一般的です。そのため、職人のスキルに左右されることはありません。品質にばらつきが起こりにくく安定しています。
組み立てに関しても、木造のように建築会社や職人による大きな差が発生しません。そのため、どの職人が建てても住宅の品質は安定しやすいです。
鉄骨住宅は、開放感のある間取りを採用できるのがメリットです。
鉄骨で柱や梁を組むため、壁と柱の数が少なく済みます。そのため広々とした部屋や大きな吹き抜けのある空間、大開口、自由な窓の設置が可能です。
鉄骨造住宅は、狭小地や変形地にも建てやすいメリットがあります。
都心部のように狭小地や変形地の多いエリアでは、限られた敷地面積の中で、建ぺい率や容積率、斜線制限などを考慮して、効率的な間取りを作る設計が大切です。
その点、鉄骨造は高強度で自由度の高い設計が可能なため、敷地条件を有効活用して、3階建て以上の住宅を建てる場合にも向いています。
鉄骨造住宅のデメリットは、主に以下の通りです。
前述の通り、耐火性は木造に比べて低くなります。特に軽量鉄骨造は鋼材の厚さが薄いので、火事の場合に変形しやすいのが難点です。防火地域に指定されたエリアで鉄骨住宅を建てるときは、「耐火被覆」で鉄骨の構造体をカバーしなければならないケースがあります。
鉄骨住宅は、断熱性が低いのもデメリットです。断熱性をどの程度確保するか、窓サッシを複層ガラスにするのかといった要素で大きく異なりますが、構造としては木造よりも低くなります。
鉄は熱伝導率が非常に高く、外気温に影響されやすいので、夏は暑く冬は寒くなりやすい特徴があります。鉄骨造は、断熱対策をしっかりおこなうことが大切です。
鉄骨は木造よりも重量があるため、土地の状況によっては地盤補強が必要になります。地盤の補強は、住宅の耐震性を高めるための重要な工事です。
一定の基準よりも地盤が弱い土地の場合、入念な地盤補強がおこなわれます。そのため、地盤補強工事の費用が高額になるでしょう。
木造と鉄骨造のメリットとデメリットを一覧にまとめました。
木造住宅 | 鉄骨住宅 | |
メリット | 調湿性が高い断熱性が高い耐火性に優れている建築費用が抑えられる | 住宅の品質が安定している開放感のある間取りを採用できる狭小地や変形地にも建てやすい |
デメリット | 防音性が低いシロアリ対策が必要仕上がりが職人のスキルに左右されやすい工法によって間取りが制限される | 耐火性が低い断熱性が低い地盤補強の費用が高額になりやすい |
上記を踏まえて、注文住宅の木造と鉄骨造の選び方を解説します。
木造住宅が向いているのは、次のような人です。
木や自然素材が好きで、風合いや肌触り、夏は涼しく冬は暖かいといった日本の気候に即した暮らしを求める人は木造住宅が向いています。
木材にこだわるとコストはかかりますが、鉄骨造よりも建築費用が抑えられます。その分を外装や内装、間取りにこだわりを実現することも可能です。
日本の住宅において約6割を木造が占めており、木造住宅をメインとするハウスメーカーや工務店、建築家が多く存在しています。より多くの選択肢から、要望に合った住宅を選択することが可能です。
鉄骨造住宅が向いているのは、次のような人です。
木造住宅では大開口や壁一面の大きな窓を採用するには一定の限界があるため、それらを住宅に実現したい場合は鉄骨造住宅が適しています。
都市部のように、住宅やビルが密集しているエリアは、どうしても土地が狭くなってしまいます。狭小地で部屋数を確保するために高さを出す場合、鉄骨造住宅が向いています。
鉄骨造住宅は、建築費用がかかっても頑丈な家に住みたいと考えている人に向いています。また、木造住宅に比べて耐用年数が長いため、資産価値が下がりにくい家を選びたい人にも適しているといえるでしょう。
理想とするマイホームは、人それぞれの価値観によって異なります。注文住宅への要望を洗い出し、優先順位をつけて整理していくことが大切です。そうすると、選ぶべき工法が絞られてくるでしょう。注文住宅を検討する時は、どのような家に住みたいのか家族間で話し合ってみてください。
木造と鉄骨造のどちらを選べばよいのか迷うときは、家づくりの専門家への相談をおすすめします。家づくりの専門家であれば、希望する住宅に適した構造や工法を提案してもらえるでしょう。
また、予算との兼ね合いもあるので、資金計画についても相談しながら構造を選択すると納得して家づくりができます。
「鉄骨造で大空間のある間取りの家を建てたい」
「木造で理想の家づくりを実現したい」
「狭小地で3階建て以上の戸建てを建てたい」
sumuzuは、それぞれのご希望に沿ったご提案が可能です。土地の特徴を踏まえた構造などアドバイスが欲しい方は、ぜひお気軽にご利用ください。
sumuzuは家づくりをワンストップでサポートする住宅相談窓口です。
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さらに、インテリア、エクステリア、セキュリティなどにも対応しておりますので、住宅に関する様々な面をカバーしているということになります。
なお、具体的な話は面談が必要ですが、対面のほかオンラインにも対応していますので、お気軽にお問い合わせください。
木造と鉄骨造には、それぞれ異なる特徴があります。木造住宅は調湿性や断熱性、耐火性に優れ、建築費用が抑えられるのがポイントです。一方で鉄骨造住宅は、品質が安定しており、開放的な間取りが採用できて、狭小地・変形地にも建てられるといった特徴があります。
それぞれのメリットとデメリットを比較しながら、理想の家づくりを実現できるよう選択しましょう。sumuzuでは、予算や要望に合わせた建築プランのご提案が可能です。こだわり抜いた家づくりをしたい方は、sumuzuの利用を検討してみてはいかがでしょうか。