渡辺知哉
設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。
この記事の監修者
渡辺知哉
設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。
注文住宅を検討するにあたって、まず初めに決めなければならないのが建築費用です。土地探しから始める場合は、土地費用を含んだ総額も考えなければなりません。
その上で重要になるのが、平均費用を把握することです。予算に合わせた建物の構造や間取り、設備、デザインなどのイメージがしやすくなるでしょう。
この記事では、注文住宅における建築費用の相場と内訳、予算相場別にみる注文住宅の建築費用と特徴を解説します。土地費用込みでの注文住宅の相場とシミュレーションを東京都を一例に紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ここでは、注文住宅における建物や土地にかかる費用の相場を実際のデータからチェックしていきましょう。
国土交通省によると、2022年の注文住宅における住宅建築資金の全国平均は3,866万円です。
建築費用 | 3,866万円 |
延床面積 | 123.5平方メートル(約37坪) |
坪単価 | 約106.4万円 |
自己資金 | 1,023万円 |
自己資金比率 | 26.5% |
建物費用のうち、自己資金の割合は26.5%であり、全国平均から見ると、すでに土地を所有している場合に自己資金として1,023万円を用意していることになります。
自己資金とは、手元にある現金や引き出し可能預金といった資産です。住宅購入においては、住宅ローンの頭金や諸費用など現金で支払う費用を示します。
注文住宅における土地費用の全国平均は1,819万円です。
土地購入費用 | 1,819万円 |
敷地面積 | 248.1平方メートル(約74.5坪) |
坪単価 | 約24.4万円 |
自己資金 | 712万円 |
自己資金比率 | 39.2% |
土地の取得方法は、新たに購入した割合が63.8%、取得時期は「1年前」51.5%・「2年前」25.7%と続いています。
あくまで目安であって、地域によって土地費用は変動するため、同じ予算であっても注文住宅の本体工事にかけられる費用が異なります。土地購入が必要な場合は、土地費用込みでの相場を把握しましょう。
注文住宅の建築費用と土地購入費用を合計すると、全国平均は5,436万円です。
土地・建物の総額 | 5,436万円 |
自己資金 | 1,665万円 |
自己資金比率 | 30.6% |
費用の総額で自己資金比率は30.6%の1,665万円、借入金は3,771万円となっています。
借入先は、フラット35を除く民間金融機関が45.3%と半数近くを占めており、利用者は増加傾向にある状況です。
長期優良住宅制度や地震の影響から、耐震性・断熱性に優れた高性能住宅の増加が費用高騰につながっています。加えて、太陽光発電の設置によっても、一棟辺りの費用が高騰する要因となっています。
近年のウッドショックによる住宅資材の高騰、石油費用の上昇から建材メーカーの輸送コストの増大の影響も大きな要因といえるでしょう。さらに、土地の費用も高騰しているため、複合的な要因によって住宅購入費用に影響をもたらしているのです。
三大都市圏平均は6,787万円で、全国平均と比較すると、1,351万円の開きがあります。
土地・建物の総額 | 6,787万円土地費用(2,626万円) |
自己資金 | 2,365万円 |
自己資金比率 | 34.8% |
三大都市圏とは、首都圏・中京圏・近畿圏を示しています。
首都圏:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
中京圏:岐阜県、愛知県、三重県
近畿圏:京都府、大阪府、兵庫県
これらのエリアでは、住宅地の地価が2022年には2年ぶりの上昇に転じました。低金利の継続や住宅取得支援施策などにより、住宅需要が回復しつつあり、土地費用の上昇傾向がみられます。
そのため、三大都市圏では土地を購入する分、自己資金も多めに準備する必要があり、かなりお金がかかるといえるでしょう。
不動産情報サービス会社の調査によると、東京23区の注文住宅における土地費用の平均は6,941万円となっています。
2023年4月に建てられた首都圏における注文住宅の費用と建物・床面積の平均
エリア | 建築費(土地代含む) | 建物面積(平方メートル) | 土地面積(平方メートル) | |
首都圏平均 | 4,591万円 | 98.1(約29.5坪) | 115.0(約34.5坪) | |
東京都 | 23区 | 6,941万円 | 94.5(約28.4坪) | 76.3(約23.0坪) |
その他 | 4,784万円 | 93.4(約28.0坪) | 117.7(約35.3坪) | |
神奈川県 | 横浜市神奈川市 | 5,281万円 | 98.9(約29.5坪) | 104.9(約31.5坪) |
その他 | 4,012万円 | 97.5(約29.7坪) | 115.3(約34.6坪) | |
埼玉県 | さいたま市 | 4,492万円 | 102.2(約30.7坪) | 101.3(約30.4坪) |
その他 | 3,680万円 | 100.4(約30.2坪) | 128.1(約38.5坪) | |
千葉県 | 西部 | 4,241万円 | 98.3(約29.6坪) | 114.6(約34.4坪) |
その他 | 3,258万円 | 102.2(約30.7坪) | 158.3(約47.5坪) |
首都圏で東京都心への通勤圏内といったエリアの土地費用も高い水準を維持して、当面は右肩上がりの状態になるということです。
東京23区は土地費用が高額になるため、建物面積は小さくなる傾向が強くなります。
注文住宅は、予算に合わせて建築費用を調整できるのが魅力です。予算の費用帯でどのようなマイホームが建てられるのか、その特徴をチェックしましょう。
予算1,000万円台の注文住宅は、凹凸の少ないシンプルな形状をした外観になります。
全国平均に比べ低めの水準なので、シンプルな外観やデザイン、間取りを意識して、どれだけコストを抑えられるかがポイントです。
予算1,000万円台における注文住宅の特徴
シンプルな空間は、フラットなテイストに仕上がっているため、様々なインテリアとも合わせやすいメリットがあります。家具やカーテンなどで、室内の雰囲気を変えられるでしょう。
予算2,000万円台になると、一部の間取りや設備にこだわりを実現できる費用帯です。
外観や設備が制限されるケースがあり、オプションを追加する場合には予算オーバーになりやすい点に注意しましょう。
予算2,000万円における注文住宅の特徴
全ての希望を叶えるのは難しいので、こだわりたい部分を優先し、全体のコストを調整しなければなりません。こだわりたい部分との予算配分が大切です。
予算3,000万円台の注文住宅は、思い描くイメージを叶えやすくなります。注文住宅ならではのこだわりが、実現できる費用帯といえるでしょう。
予算3,000万円における注文住宅の特徴
都市部では、三角形などの変形地が多く見られますが、そのような地形を活かした間取りを叶えられるのも3,000万円台の注文住宅にみられる特徴です。
予算4,000万円の注文住宅は、様々なプランが実現可能となります。コストの削減を1番のポイントとせず、建物全体のデザインにこだわりを反映できる費用帯です。
予算4,000万円における注文住宅の特徴
注文住宅だからこその満足度の高い空間を実現できるでしょう。
予算が5,000万円を超えると、建物全体の広さやデザイン、グレードに理想を実現でき、豪華さを演出できます。
1階のメインリビングに加えて、2階にセカンドリビングを配置する間取りが可能です。地下室や防音室で楽器演奏や映画鑑賞を楽しむこともできます。
大理石や海外ブランドの素材はもちろんのこと、オリジナルキッチンの造作など、高級住宅といって差し支えないでしょう。
注文住宅でかかる費用の内訳は、以下の通りです。
注文住宅の建築にかかる費用は、本体工事費と付帯工事費、諸費用に分かれます。
見積書に記載される内容のため、内訳を理解しておくことで、家づくりのイメージが具体的になるだけでなく、コストカットもできるようになるでしょう。
注文住宅の建築にかかる費用の内訳は、大きく以下の項目に分けることができます。
本体工事費 | 付帯工事費 | 諸費用 |
基礎工事 木工事屋根工事 建具工事防水工事 外壁工事 設備工事費 内外装工事など | 解体工事(建物付きの場合) 地盤工事(軟弱な地盤の場合) 電設工事 給水工事 ガス工事 家具工事 外構工事 植栽工事など | 契約手数料 収入印紙代 ローン関連の手数料 登記費用 登録免許税 不動産取得税 固定資産税 火災保険など |
本体工事費とは、建物そのものにかかる費用です。
住宅ローンの手数料や基礎工事や屋根工事、設備工事などが該当します。アプローチや駐車場といった費用は含まれません。建築費総額の70%~80%が本体工事費の目安です。
建築会社は、本体工事費を「坪単価」で表しています。ただし、建築会社によっては、付帯工事費用の一部が含まれる場合もあるので注意が必要です。
そのため、本体工事費の金額だけでなく、付帯工事費を含めた総額を必ずチェックしましょう。
付帯工事費とは、建物本体以外で発生する工事費用です。
アプローチや庭の外構工事のほか、給水工事やガス工事が該当します。建築費総額の15%~20%が付帯工事費の目安です。
付帯工事費の中でも、土地の状況により発生する地盤工事は100万円以上かかるケースも珍しくありません。地盤の強度が不足している場合に必須の工事なので、安心して住める家を作るためには重要な費用です。
諸費用は、住宅ローン手数料、登記費用、不動産取得税などの税金といった、工事以外にかかる費用です。
これらの費用は、基本的に現金での支払いとなるため、いつでも引き出せるよう準備しておきましょう。諸費用は、建築費総額の10%~15%が目安となります。
土地の購入には、主に以下の諸費用が必要です。
項目 | 内容 | |
不動産仲介手数料 | 土地を売買仲介で購入した場合に不動産会社に支払う費用 売買費用×3%+6万円+消費税 | |
手付金 | 売買契約を結ぶときに支払う費用 売買費用の10%が目安 | |
登記費用 | 売主から買主へ所有権移転するときに支払う費用 登録免許税:固定資産税評価額×1.5%司法書士報酬:依頼する司法書士により異なる | |
印紙税 | 売買契約書に収入印紙を貼ることで納める税金 売買費用に応じて変動する例)1,000万円~5,000万円は2万円 | |
ローン手数料 | 金融機関でローンを組んだ場合に支払う費用 |
土地購入の諸費用の目安は、土地費用の5%~10%が一般的です。
資金計画を建てる際には、土地費用や諸費用だけでなく、住宅の建築にかかる費用も考慮してください。予算オーバーとならないよう、土地選びの段階から細かく確認しておくようにしましょう。
ここでは、先に紹介した国土交通省のデータに基づいてシミュレーションをしてみました。
なお、東京23区のケースもシミュレーションしているので、参考にしてみてください。
三大都市圏における注文住宅の平均費用4,504万円でシミュレーションしてみましょう。
建物費用 4,504万円 | |
本体工事費 | 3,153万円 |
付帯工事費 | 900万円 |
諸費用 | 450万円 |
※本体工事費用:70%、付帯工事費用:20%、緒費用:10%で計算しています。
詳細なシミュレーションは、注文住宅の構造や間取り、設備オプションなど細かく設定しなければなりません。
いくつかのパターンを変えて、建物費用がどの程度の概算になるのか幅広く試してみましょう。
注文住宅をいくらで建てられるのかシミュレーションするには、注文住宅建築に関わる会社への依頼がおすすめです。
先に紹介した三大都市圏の土地購入費用と建物費用を合わせた平均は6,787円です。そのうち、建物費用は4,161万円となっています。
建物費用 4,161万円 | |
本体工事費 | 2,912万円 |
付帯工事費 | 832万円 |
諸費用 | 416万円 |
※本体工事費用:70%、付帯工事費用:20%、緒費用:10%で計算しています。
地域ごとの土地費用を算出するには、国土交通省が提供する「土地総合情報システム」で1坪あたりの単価を確認しましょう。
東京23区の土地代を含む建築費用の平均から、坪単価100万円と仮定した場合に推定される建物費用と土地費用は以下のような結果になります。
土地+注文住宅:6,941万円 建築面積:28.4坪 坪単価:100万円 推定費用:2,840万円 土地費用:4,101万円 |
上記の推定建築費用からシミュレーションしてみましょう。
建物費用 2,840万円 | |
本体工事費 | 1,988万円 |
付帯工事費 | 568万円 |
諸費用 | 284万円 |
※本体工事費用:70%、付帯工事費用:20%、緒費用:10%で計算しています。
注文住宅の見積りを依頼するときには、建築会社の特徴を調べることから始めます。ある程度絞り込んだら、予算や希望の間取り、設備、デザインなどを伝えて、建築プランと見積りの作成を依頼しましょう。
しかし、信頼して建築を任せられる建築会社を選ぶのは容易ではありません。そのため、不安に感じる方も多いでしょう。
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注文住宅の相場が分かると、建物や土地にかかる費用のおおよその金額を把握することが可能です。
注文住宅の建築費用は、1,000万円台から建てる人の予算次第で、外観から間取り、設備、デザインに至るまで変わってきます。
また、注文住宅を建てる際には、建築費用だけではなく、付帯工事費や諸費用が必要になります。数社へ見積りを依頼して比較する作業が大変という方は、sumuzuの利用を検討してみてはいかがでしょうか。