渡辺知哉
設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。
この記事の監修者
渡辺知哉
設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。
家づくりの際に、建築費用の目安とされるのが坪単価です。1坪あたりの建築費を指しますが、この数値だけでは実際の建築費を把握することはできません。
この記事では、注文住宅の坪単価のほか、構造別・エリア別の平均坪単価、ハウスメーカーの坪単価を確認する際の注意点を解説します。
建築費用の目安となる坪単価がどのようなものかを解説します。
坪単価とは、建物の建築費用をその大きさで割った「建物1坪(3.3平方メートル)あたりの建築費」の単価です。
建てたい家の広さと予算が決まっていれば、坪単価の計算ができます。また、建築会社のホームページや広告に掲載されている坪単価が分かれば、その会社が建てる建物の価格を知ることも可能です。
一般的な坪単価の計算方法は、以下の式を用いて計算します。
坪単価=本体価格 ÷ 延床面積 |
※延床面積とは、建物における各フロアの床面積を合計した数字
例えば、50坪の建物で本体価格5,000万円と仮定した場合、坪単価は100万円となります。
5,000万円 ÷ 50坪=100万円 坪単価は100万円 |
また、坪単価が分かっている場合は「坪単価 × 延床面積」で本体価格を求められます。
坪単価80万円のハウスメーカーで50坪の建物を建てた場合、本体価格は4,000万円です。
50坪 × 80万円=4,000万円 本体価格は4,000万円 |
おおよそのイメージとして参考にできるので、坪単価の計算式を知っておくと便利です。
同じ大きさの建物であれば、各ハウスメーカーで坪単価は変わらないのかというと、決してそうではありません。また、坪単価の低いハウスメーカーに依頼すると、建築費用を抑えて建てられるとも一概に言えないのです。
ハウスメーカーによって坪単価に違いがあるのは、主に3つの要素によると考えられます。
見積もりにどこまで含めるかによって、割り出される坪単価が変わります。
見積もりの例
建物本体のみ | 生活に必要な設備を含む |
最低限の設備が設置してあり、まだ生活できない状態 トイレ・浴室・キッチン | 生活ができる状態 照明やカーテン、エアコンなど |
見積もりに建物本体のみになっている場合、照明やカーテン、エアコンなどが追加費用になり高くなります。ただし、どちらの見積もりでも、設備がハウスメーカーの標準としている内容で見積もりが作成されるため、グレードアップするとさらに価格がアップするのが一般的です。
ハウスメーカーに見積もりを依頼する際には、本体価格には何が含まれているか、含まれていない費用についても確認しましょう。
建物の規模や形状によっても、坪単価が変わります。
設備の仕様が同じである場合、建物の規模によって坪単価の占める割合が大きく変わるでしょう。
トイレ・浴室・キッチンの水回り設備が300万円の場合 建物が50坪:坪単価は6万円 建物が40坪:坪単価は7.5万円 建坪が10坪違うと1.5万円違ってきます。 |
建物の形状が、正方形、長方形、変形、あるいは平屋建て、二階建てによって、外周外壁の長さのほか、基礎と屋根の面積が大きく変わります。
上記は、すべて同じ建坪です。正方形に近いほど外周外壁の長さは小さくなります。
正方形:外周8
長方形:外周10
L字:外周10
コの字:外周12
建物の形状が複雑になるほど、工事費が高くなり坪単価も上がります。建物の規模が同じであっても、家の形状が複雑になるほど坪単価は高くなると考えましょう。
ハウスメーカーには、「標準仕様」があります。
これらの仕様や性能を上げると、それにともなって坪単価が高くなるのが一般的です。
例えば、キッチンに最新の設備を取り入れたり、自然素材の内装、床材に天然木を使うといった選択は、坪単価を上げる要因となります。
また、太陽光発電や全館空調など、高額な設備も坪単価に大きく影響するでしょう。
構造やエリアによって坪単価が異なるので、注文住宅の平均坪単価を見ていきましょう。
国税庁が公表した2023年における構造別の坪単価は、以下の通りです。
東京都のケースと合わせて参考にしてください。
木造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 | 鉄筋コンクリート造 | 鉄骨造 | ||
全国平均 | 1平方メートルあたり | 177,000円 | 265,000円 | 278,000円 | 272,000円 |
坪単価 | 584,100円 | 874,500円 | 917,400円 | 897,600円 | |
東京 | 1平方メートルあたり | 177,000円 | 327,000円 | 341,000円 | 321,000円 |
坪単価 | 584,100円 | 1,202,200円 | 1,125,300円 | 1,059,300円 |
※調査結果にある1平方メートルの単価を坪単価に換算
引用:地域別・構造別の工事費用表(1m2当たり)【令和5年分用】|国税庁
構造別坪単価は、鉄骨鉄筋コンクリートが最も高く、続いて鉄筋コンクリート、鉄骨造・木造の順に低くなります。東京は、木造を除いた構造の坪単価が全国平均を大きく上回る結果となりました。
木材を構造材とする坪単価は、全国平均と東京ともに584,000円程度が相場といえます。
工法には、柱と梁で補強しながら骨組みを作っていく木造軸組工法と、パネルで組み立てていく木造枠組壁工法(ツーバイフォー)が代表的です。一般的には軸組工法より、建築資材が少ない木造枠組み工法の方が建築費用を抑えられます。
鉄骨の柱の周りに鉄筋を組み、コンクリートを流し込んで施工します。最も耐震性と遮音性に優れてた構造です。
坪単価は、全国平均874,500円、東京ではそれより300,000円以上高い1,202,200円程度が相場です。
組み上げた型枠に鉄筋を配置し、そこにコンクリートを施工します。耐震性、耐火性に加えて、遮音性にも優れた構造です。
坪単価は全国平均917,400円、東京ではそれより300,000円以上高い1,059,300円程度が相場です。
重量鉄骨(厚さ6mm以上)と軽量鉄骨(6mm未満)に分けられます。
坪単価は、この2種類を含めた数値で、全国平均897,600円、東京ではそれより高めの1,019,700円程度が相場です。耐震性に優れ、高層ビルやマンションに使用されています。
すべての構造で共通するのは、土地や建物の形状、地盤の状況などから、坪単価の相場が大きく変動するという点です。その点も踏まえて、構造を検討して、建築会社とよく相談しながら進めるようにしましょう。
坪単価には、地域により格差があります。三大首都圏と全国平均を比較してみましょう。
国税庁が公表した2023年におけるエリア別の坪単価は、以下の通りです。
エリア | 建物費用(平方メートル) | 延床面積(平方メートル) | 坪単価 | |
全国平均 | 3,866万円 | 123.5平方メートル(約37坪) | 約106.4万円 | |
三大首都圏平均※1 | 4,504万円 | 134.2平方メートル(約41坪) | 約109.9万円 |
※三大首都圏とは、首都圏・中京圏・近畿圏
地域による坪単価の違いは、労働力や運搬のコスト、地域の気候条件など、さまざまな要因が考えられます。
ハウスメーカーの坪単位を確認する上で、2つのポイントに注意しましょう。
坪単価は「本体価格 ÷ 延床面積」で計算しますが、延床面積以外にも施工面積があります。どちらの面積で坪単価を計算するかで、本体価格に大きな開きが出てくるので注意が必要です。
▶延床面積:各フロアの床面積合計
吹き抜け/ロフト/ベランダ/バルコニー/玄関ポーチ/出窓/ビルトインガレージなど、含まれない部分がある |
▶施工面積:実際に施工した面積
吹き抜けやロフトなどの施工に発生した部分を含んでいるため、延床面積より広くなる |
見積もりの価格が同じであれば、施工面積で割った方が安くなります。建築費用を抑えて建てられると思っていたのに、最終的に予算を超えてしまうことになりかねません。
そのため、ハウスメーカーが坪単価を計算する際に、延床面積と施工面積のどちらを採用しているのか確認しておくと良いでしょう。
坪単価には、付帯工事費や諸費用を含まない場合がほとんどです。
付帯工事費の一例
給排水工事/ガス工事/電設工事/家具工事/外構工事/植栽工事解体工事(建て替えの場合)/地盤工事(軟弱な地盤の場合)など |
諸費用の一例
建築確認申請費/設計費/構造計算費/各種調査費/各種申請費 |
家づくりの予算を全て知るためには、坪単価に含まれない付帯工事費や諸費用も含めて、ハウスメーカーに見積もりを出してもらうと安心です。
土地の地盤が弱い場合には、そのまま建築すると建物が傾く可能性があるため、地盤改良工事が必要になります。費用は、改良の方法や範囲によって変動があるので要注意です。
地盤がかなり弱く、鉄骨構造のように荷重のある建物を建てる場合は、想定以上の費用になると考えられます。
すでに建設予定地を確保しているのであれば、早い段階からハウスメーカーに相談しましょう。
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坪単価は、基本的な計算式を用いることで、建物費用がイメージする指標のひとつです。予算に合うハウスメーカーを選ぶ際にも役立ちます。
しかし、ハウスメーカーによって、坪単価の算出方法が異なる点に注意してください。延床面積と施工面積のどちらで算出しているか、付帯工事費や諸費用も合わせてチェックしましょう。
坪単価を比較するときは、複数のハウスメーカーから相見積もりをとって確認しますが、チェックするのは難しいという方は、sumuzuの利用を検討してみてはいかがでしょうか。