渡辺知哉
設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。
この記事の監修者
渡辺知哉
設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。
マイホームを考える時、土地の購入からはじめて注文住宅を建てるか、中古住宅を購入してリノベーションをするのか、迷う人も多いでしょう。
どちらも入居時には新しい空間となりますが、それぞれのメリットとデメリットのほかにも、費用面の違いなどを比較することが重要です。十分に比較検討できれば、ご自身にとって理想的なマイホームを手に入れやすくなるでしょう。
この記事では、注文住宅と中古住宅のリノベーションをそれぞれのメ
マイホームの購入を決断した時点で、住宅について何らかのイメージがあるかもしれません。注文住宅と中古住宅のリノベーションを比較するまえに、それぞれの基本的な内容を確認しましょう。
注文住宅とは、購入した土地または所有している土地に、自由に設計して建てる戸建て住宅です。
オーダーメイドの家と表現されますが、すべての理想を実現できるわけではありません。土地条件と法律の兼ね合いで発生する問題を、技術面でどこまでクリアできるかが前提となるからです。
また、建築会社によって自由度には差があるので留意しましょう。
設計事務所(建築家)に依頼して建てる場合は、細部にわたって自由に決められます。ハウスメーカーや工務店で建てる場合は、あらかじめ工法や基本的な仕様が決まっていて、その範囲内で選ぶという制約があるケースがほとんどです。
近年、中古住宅のリノベーションが注目されていますが、どのような意味の言葉でしょうか。一般社団法人リノベーション協議会 では、以下のように定義しています。
リノベーションとは、中古住宅に対して、機能・価値の再生のための改修、その家での暮らし全体に対処した、包括的な改修を行うこと。 |
イノベーションとは、住宅の価値を高めるためにおこなわれる改修工事といえるでしょう。したがって、住む人のライフスタイルを合わせて、暮らしやすい住宅に作り替えたい場合に活用されます。
注文住宅には、新築するからこそ得られるメリットがあります。注文住宅を建てるメリットは、主に以下の4つです。
注文住宅のメリットは、自由度の高さによるこだわりの実現にあります。
「使い勝手のいい間取り」、「おしゃれな外観」、「こだわりのキッチン」など多種多様の要望を取り入れられるのが、注文住宅の魅力です。
他にも、日当たりや風通しを思い通りにデザインしたいのであれば、1から設計できる注文住宅を選んだほうがよいでしょう。
注文住宅は、住宅性能が優れているのもメリットのひとつです。現行の建築基準法などの法律に則って家づくりがおこなわれています。
例えば、建築基準法の「新耐震基準」では震度6強~7程度の揺れでも倒壊しないと規定されています。また、断熱性能や省エネ性能など最新の基準で建てられるため、入居から快適な環境で長く安心して暮らせるのがポイントです。
注文住宅には、2000年に施行された品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)による10年間の保証期間が義務付けられています。
新築住宅の引渡しを受けてから、基礎や屋根といった「構造耐力上主要な部分 ・ 雨水の侵入を防止する部分」に問題が見つかったときには、保険金で住宅の補修をするものです。
さらに、建築会社によっては独自に保証制度を設けており、十分な保証を受けられる仕組みになっています。
注文住宅の場合、入居後に納める税金にいくつかの優遇措置があります。
住宅ローン減税(住宅ローン控除) | 年末のローン残高の0.7%を所得税(超える分は翌年の住民税)から最大13年間控除する制度 |
登録免許税 | 不動産登記の手続きをおこなう際に納める税金の税率を最大0.1%に軽減 |
不動産取得税 | 土地や建物を取得した際に一度だけ課される税金を3%に軽減 |
固定資産税 | 毎年1月1日時点で土地や建物の所有者に対して課される税金を3年間2分の1に減額 |
住宅取得等資金の贈与(非課税枠) | 両親や祖父母からの資金援助を受けて、新築住宅を建てる場合の贈与税を非課税とする措置 最大1,000万円 |
ちなみに、住宅ローン減税では控除率は一律0.7%ですが、以下の違いがあります。
さらに、中古住宅は築年数が適用条件に含まれるので注意してください。
※築年数の適用要件:「1982年以降に建築された住宅」
なお、築年数は、登記簿に記載されています。
様々なメリットがある注文住宅にも、いくつかのデメリットがあります。
一般的に、中古住宅よりも新築の注文住宅は建築費用が高くなります。
住宅金融支援機構が公表している2022年度 フラット35利用者調査によると、土地付注文住宅の平均費用は、4,695万円です。
【土地付き注文住宅の購入費】
購入費 | 住宅面積 | 坪単価 | |||
全国 | 4,695万円(土地代:1,500万円) | 111.5㎡ | 33.8坪 | 94.5万円 | |
首都圏 | 5,476万円(土地代:2,288万円) | 107.7㎡ | 32.6坪 | 95.6万円 | |
近畿圏 | 4,893万円(土地代:1,760万円) | 112.5㎡ | 34.0坪 | 92.1万円 | |
東海圏 | 4,694万円(土地代:1,300万円) | 116.0㎡ | 35.1坪 | 96.7万円 | |
その他地域 | 4,151万円(土地代:927万円) | 112.5㎡ | 34.0坪 | 94.8万円 |
エリアによっては、土地代の占める割合が大きくなる傾向にあります。
一方で、中古住宅の平均費用は、2,704万円です。
【中古住宅の購入費】
購入費 | 住宅面積 | 坪単価 | ||
全国 | 2,704万円 | 166.1㎡ | 50.3坪 | 53.8万円 |
首都圏 | 3,340万円 | 128.8㎡ | 39.0坪 | 85.6万円 |
近畿圏 | 2,524万円 | 124.6㎡ | 37.8坪 | 66.8万円 |
東海圏 | 2,317万円 | 194.7㎡ | 59.0坪 | 39.3万円 |
その他地域 | 2,150万円 | 228.0㎡ | 69.0坪 | 31.2万円 |
注文住宅は中古住宅より1,991万円高く、1.5倍以上の開きがあります。エリアや住宅規模、間取り、デザインのほか、中古住宅の場合は築年数によっても、価格に変動があるため注意が必要です。
あくまでも中古住宅の購入費ですから、リノベーション費用をどのくらい見込めるかによって、総額を判断しましょう。
注文住宅の場合、住み心地を確認できるのは入居後になります。リノベーションのように問題点を明らかにして改修するのとは違い、生活動線の使い勝手や日当たりや風通しの程度に気づきにくいといえるでしょう。
ただし、3Dパースを作成してもらうことで、設計図で読み取れない完成イメージをある程度把握できます。
注文住宅を建てるには、まとまった時間がかかります。土地探しから始める場合には、完成まで10か月〜1年程度の期間が必要です。
入居までの期間が気になる場合は、中古住宅を購入してリノベーションするほうが短くなるかもしれません。
✔ この記事について、詳しく質問したい
✔ 予算に合ったハウスメーカーを知りたい
✔ 土地探しとハウスメーカー選びを同時並行で進めたい
中古住宅のリノベーションには、主に2つのメリットがあります。
中古住宅であれば、注文住宅を建てる場合に比べて価格が安いため、初期費用を抑えることが可能です。
前述の通り、住宅金融支援機構の調査では、中古住宅より注文住宅の平均費用はが1.911万円高くなっています。現在住んでいる戸建てをリノベーションする場合は、土地・建物を購入する必要がないため、さらに初期費用を抑えられる可能性があります。
中古住宅は流通量が多く、立地条件の選択肢が広がるメリットがあります。
注文住宅の場合、土地が決まらなければ着工できません。エリアにこだわりが強いと、選択肢が限られてしまいます。
しかし、中古住宅は思わぬ好立地で販売されているケースも少なくありません。立地の良い住宅を低価格で購入できるのは、中古住宅ならではの魅力といえるでしょう。
中古住宅のリノベーションには、いくつか気をつけなければならない点があります。中古住宅を購入する際には、細心の注意が必要です。
中古住宅をリノベーションするデメリットは、主に以下の4つが挙げられます。
リノベーションは建て替えではないので、思い通りに改修できない場合があります。建物によっては壁面や柱、配管などを撤去できないケースもあるでしょう。
また、築40年以上で1981年6月以前に建てられた住宅の場合は、注意が必要になります。旧耐震基準が適用されており、現行の水準にするには「耐震補強工事」を施さなければならないからです。
配管の老朽化により、大掛かりな工事になる可能性も否めません。古い中古住宅ほど、改修が高額になるでしょう。
中古住宅は、見えない部分の劣化を把握できません。基礎や外壁の内側に劣化が起きたまま、リノベーションをおこなっても仕上がりの懸念点を解消できないでしょう。いずれ大きな修繕が必要になります。
中古住宅を購入するときには、不動産会社にメンテナンスの履歴を確認し、ホームインスペクター(住宅診断士)や一級建築士など専門家に調査・確認してもらうと安心です。
中古住宅の保証期間は、注文住宅のように10年の保証はありません。購入した中古住宅に何かしらの欠陥がある場合、6か月間です。
宅地建物取引業者が売主の際は、宅地建物取引業法に基づいて「最低2年間」の契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)が義務付けられています。物件によっては、保証がない場合もあるので注意が必要です。
中古住宅を購入するときは、保証期間や補償内容を確認した上で、契約するのが望ましいでしょう。
中古住宅のリノベーションで住宅ローンを利用する場合には、希望金額を借りられない可能性があります。
住宅ローンは購入する物件を担保に融資を受ける仕組みなので、新築より担保価値の低い中古住宅は希望額通りに借りられないのです。ローンの不足分を頭金で補う工夫が必要になるでしょう。
また、別途リフォームローンを組む場合は、適用金利が高めに設定されます。返済額が高額になり大変になるかもしれません。
そういった場合は、不動産会社の提携ローンを利用すると、リフォーム費用と購入費をセットで借りられる場合もあります。一度、相談してみましょう。
注文住宅と中古住宅をリノベーションする場合では、費用面にどの程度の違いがあるのか気になる方は多いのではないでしょうか。
ここでは、双方の総費用を比較してみましょう。
土地付き注文住宅 | 中古住宅 | |
土地・建物購入費※1 | 4,695万円 | 2,704万円 |
諸費用(土地建物費用の10%) | 469.5万円 | 270.4万円 |
リノベーション費用※2 | – | 349.7万円 |
合計 | 5,164.5万円 | 3,324.1万円 |
※1 引用:2022年度 フラット35利用者調査|住宅金融支援機構
※2 引用:2021年度住宅リフォームに関する消費者実態調査|一般社団法人住宅リフォーム推進協議会
購入する土地面積や住宅面積などの要素により差異はありますが、注文住宅と中古住宅のリノベーションでは、かかる費用に1.5倍以上の開きがあることが分かります。
✔ この記事について、詳しく質問したい
✔ 予算に合ったハウスメーカーを知りたい
✔ 土地探しとハウスメーカー選びを同時並行で進めたい
注文住宅と中古住宅のリノベーションのメリットとデメリットを一覧にまとめました。
注文住宅 | 中古住宅のリノベーション | |
メリット | 間取りやデザインの自由度が高い住宅性能が優れている 十分な保証を受けられる税制面で優遇されやすい | 初期費用を抑えられる 可能性がある立地条件の選択肢が広がる |
デメリット | 費用が高い完成イメージを描きにくい 完成までの期間が長くなる傾向にある | 思い通りに改修できない場合がある 見えない部分の劣化を把握できない 保証期間が短い 住宅ローンで希望金額を借りられない可能性がある |
上記を踏まえて、注文住宅と中古住宅のリノベーションを選ぶポイントを解説します。
注文住宅が向いているのは、次のような人です。
間取りやデザインを1から設計して、唯一無二の新しい家づくりをしたい人は、注文住宅が向いています。
家族と過ごす時間を大切にしたい人にとって、細部まで要望に合う住まいは大きな価値があるでしょう。
注文住宅は費用がかかる上に、完成までの長い時間が必要です。理想の家づくりにしたい、暮らしに対するこだわりが強い人は注文住宅が向いています。
最新の技術を取り入れ、耐震性や耐火性の優れた住宅は、安全で快適な暮らしの重要なポイントです。建築会社によっては、10年保証の他にも独自の長期保証制度を整えています。定期的なアフターサービスを受けることも可能です。
中古住宅のリノベーションが向いているのは、次のような人です。
新たな住まいを探しているけれど、費用をできるだけ抑えたい人は中古住宅のリノベーションが向いています。リノベーションでは、予算に合わせた改修が可能です。無理のない範囲で好みの家づくりが実現しやすいでしょう。
中古住宅のリノベーションは、立地にこだわりがある人に向いています。人気エリアの新築は価格が高めです。中古住宅であれば流通量が豊富なので、希望のエリアで満足のいく物件が見つかる可能性が高まります。
注文住宅と中古住宅のリノベーションは、マイホームに何を求めるかによって変わります。それぞれのメリットとデメリットを見極めて、ご自身に合う選択をしてください。
どちらにするか判断がつかない場合は、家づくりの十分な知識と経験がある専門家に相談してみてはいかがでしょうか。予算と要望のバランスについてアドバイスがもらえます。
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注文住宅と中古住宅のリノベーションを比較した場合、総費用や入居後の瑕疵に対する保証などに大きな違いがあります。しかし、エリアや住宅規模といった様々な要素に左右されるため、この記事で紹介した「向いている人の特徴」を判断基準の参考にしてみてください。その上で、どちらが良いかはご自身の状況や要望から検討しましょう。
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