2024年にマイホームを建てようと考えている方に向けて、新築の注文住宅に使える補助金や減税措置を紹介します。適用条件を把握して、利用できそうな補助金を検討しましょう。

継続中の補助金であっても、公式サイトで詳細が公表されていない制度もあるため、「令和6年度 住宅局関係 予算概算要求概要」をもとに解説します。

新築の注文住宅で利用できる補助金と減税措置一覧

説明する営業マン

2023年11月に「令和5年度の補正予算案」、12月には「令和6年度税制改正の大綱」が続けて閣議決定され、あらたな補助金の発表や住宅ローン減税の制度変更などが盛り込まれました。申請が始まりましたので、ぜひ参考にしてください。

2024年に使える主な補助金

補助金制度補助額
こどもエコホーム支援事業80万円~100万円/戸
給湯省エネ事業8万円~18万円/台
地域型住宅グリーン化事業140万円/戸
LCCM住宅整備推進事業140万円/戸
【東京都】東京ゼロエミ住宅30万円~210万/戸
【神奈川県】はだの丹沢ライフ応援事業60万円/戸
【埼玉県】所沢市スマートハウス化推進補助金30万円/戸

2024年に適用される減税措置

減税措置内容
住宅ローン控除適用期間:13年控除率:0.7%
固定資産税適用期間:2026年3月31日まで控除額:税額1/2を減額
不動産取得税適用期間:2026年3月31日まで控除額:1,300万円
登録免許税適用期間:2027年3月31日まで控除率:0.1%
住宅資金の贈与適用期間:2025年12月31日限度額:500万円~1,000万円

新築の注文住宅で利用できる国の補助金

注文住宅の新築に利用できる国の補助金制度には、主に以下の4つがあります。それぞれ特徴が異なるため、その補助金制度を利用できるか、確認しましょう。

  • こどもエコホーム支援事業
  • 給湯省エネ事業
  • 地域型住宅グリーン化事業
  • LCCM住宅整備推進事業

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こどもエコホーム支援事業

引用:こどもエコホーム支援事業|国土交通省 

「子育てエコホーム支援事業」は、こどもエコすまい支援事業の後継として、予算2,100億円に増額されて、より多くの世帯に補助金が行き届くようになっています。

対象者

対象となるのは、以下の世帯です。

①子育て世帯:18歳未満の子を有する世帯

※2023年4月1日時点で18歳未満

交付申請の時点ではなく、「2023年4月1日時点での年齢」です。交付申請の際に18歳となった場合でも子育て世帯として認められます。

②若者夫婦世帯:夫婦のいずれかが39歳以下の世帯

※2023年4月1日時点でのいずれかが39歳

ただし、2024年3月31日までに工事に着手する場合では、2022年4月時点でいずれかが39歳以下の世帯が対象です。

対象住宅・補助額

対象となるのは、以下の高い省エネ性能を有する住宅です。

対象住宅延べ面積補助額
長期優良住宅50平方メートル~240平方メートル100万円/戸
ZEH住宅80万円/戸

なお、2023年11月2日以降の着工が対象となっています。

長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置がとられた住宅です。耐震性やバリアフリー対策などいくつかの基準を満たしたうえで、長期優良認定を受ける必要があります。ZEH住宅とは、太陽光発電などでつくるエネルギーが、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にする住宅です。

申請方法・期限

申請手続きは、施工業者が実施します。あらかじめ、事業者登録を済ませた施工業者のみが申請可能です。申込者が申請をおこなう必要はありません。申請期間は、2024年3月下旬から予算の上限に達するまでとなっています。

給湯省エネ2024事業

引用:給湯省エネ2024事業|経済産業省

給湯省エネ2024事業は、高効率給湯器の導入支援をおこなうもので、新築住宅を検討している方も利用できる補助金事業です。2023年から継続する事業で、580億円に予算が引き上げられ、支給額が大きくアップしています。

対象住宅

対象となるのは、2023年11月2日以降に着工する新築住宅です。

新築住宅の場合の着工日は、以下のように定義されています。

新築住宅
注文住宅分譲住宅
建築着工日住宅の引渡日

対象となる給湯器・補助額

対象となる高効率給湯器は以下の3タイプで、導入する湯器ごとに定額を補助します。

給湯器補助額(基本額+加算額)補助上限
ヒートポンプ給湯機(エコキュート)最大13万円いずれか2台まで
電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機)最大15万円
家庭用燃料電池(エネファーム最大20万円

しかも、それぞれの給湯器を交換する際、電気温水器や蓄熱暖房機が設置されていた場合は、撤去についても5万円~10万円の補助金支給を受けられます。

申請方法・期限

申請は、施工業者がおこないます。あらかじめ、事業者登録を済ませた施工業者のみが申請可能です。

申請期間は、2024年3月中下旬~から予算の上限に達するまでとなっています。細かな要件が設定されているため、設置する機器がどれに該当するか分からない場合は、施工業者へ確認しましょう。

地域型住宅グリーン化事業

引用:地域型住宅グリーン化事業|国土交通省

地域型住宅グリーン化事業とは、省エネ性能に優れた木造住宅の整備に対して支援をおこなう事業です。国土交通省住宅部局における2024年度予算に組み込まれており、継続して公募が行われる予定です。

対象者

①子育て世帯:18歳未満の子を有する世帯

※2023年4月1日時点で18歳未満

②若者夫婦世帯:夫婦のいずれかが39歳以下の世帯

※2023年4月1日時点でのいずれかが39歳

対象となる住宅・補助額

地域の中小工務店のグループで行われる「省エネ性能に優れた木造住宅」の新築です。

対象住宅補助額
認定長期優良住宅認定低炭素住宅 ZEH・Nearly ZEH ZEH Oriente140万円/戸

それぞれ加算措置があり、①~④の併用が可能です。

①地域材加算 :柱・梁・桁・土台の過半、または全てに地域材を使用②和の住まい加算:地域の伝統的な建築技術を活用 ③三世代同居加算/若者・子育て世帯加算 :玄関・キッチン・浴室又はトイレのいずれか2つを複数箇所設置  ④バリアフリー加算 :バリアフリー対策を実施

引用:令和6年度 住宅局関係 予算概算要求概要|国土交通省

LCCM住宅整備推進事業

引用:LCCM住宅整備推進事業|三省連携

LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅整備推進事業は、ZEHよりもさらにCO2排出量を抑えた住宅に対して支援する事業です。資材製造から建築、居住中におけるライフサイクル全体でCO2排出量の削減を目指しています。

対象者・対象住宅と補助額

新築でLCCM住宅の要件を満たす住宅を建てる方を対象としています。

対象住宅補助額
LCCM住宅一定要件をすべて満たす住宅が対象 ・強化外皮基準(ZEH基準)を満たしている ・再生可能エネルギーを除き、一次エネルギー消費量の25%以上を削減する ・CASBEE B+ランク、または同等以上の性能がある (長期優良住宅認定など)140万円/戸

要件の詳細は、募集要領 や交付申請等マニュアルを参照してください。

申請方法・期限

申請は、施工業者がおこないます。今年度の期限は2024年1月19日までですが、予算に達した場合は早期終了になる場合があります。

2024年度も継続されることが決定したので、新たな公募については公式サイトで最新情報を確認しましょう。

引用:令和6年度 住宅局関係 予算概算要求概要|国土交通省

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注文住宅で利用できる地方自治体の補助金制度

地方自治体でも、新築住宅に対する補助金制度があります。新築予定の自治体にも、新築住宅向けの補助金制度がないか確認してみましょう。

ここでは、以下の補助金制度を紹介します。

  • 【東京都】東京ゼロエミ住宅
  • 【神奈川県】はだの丹沢ライフ応援事業

【東京都】東京ゼロエミ住宅

都内で新築される「東京ゼロエミ住宅」に対して、水準に応じて最大210万円の助成を実施しています。対象となるのは「東京ゼロエミ住宅」の認証を受けた新築住宅です。なお、不動産取得税が最大で全額減免されます。

国や都が実施する以下の補助事業と併用が可能です。

子育てエコホーム支援事業地域型住宅グリーン化事業 こどもエコすまい支援事業 子育て支援型共同住宅推進事業 東京ゼロエミポイント(冷蔵庫の買替のみ) 東京こどもすくすく住宅供給促進事業

2023年度は、2024年3月29日を期限としていますが、助成金の交付は2029年度末までおこなわれます。公式サイトで最新の情報を確認しましょう。

引用:令和5年度東京ゼロエミ住宅導入促進事業

東京ゼロエミ住宅導入促進事業実施要綱

【神奈川県】はだの丹沢ライフ応援事業

秦野市への移住・定住促進を図るため、市外から転入する、または市内に居住している若者世帯など新たに住宅を取得する際にかかる費用を最大60万円助成する制度です。

対象となるためには、以下の要件以外にも複数を満たす必要があります。

契約者と配偶者がいる場合はその配偶者が、いずれも40歳以下(単身世帯、母子・父子世帯も対象)

※工事請負契約または売買契約を締結した時点の年齢

国や都が実施する以下の補助事業と併用が可能です。

子育てエコホーム支援事業こどもエコすまい支援事業

詳細は、公式サイトで確認してください。

引用:【受付中】はだの丹沢ライフ応援事業

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 新築住宅に適用される減税措置

新築住宅の建築後に、さまざまな税金を支払わなければなりません。

2024年には、一定の要件を満たせば以下の税金が軽減されます。

  • 住宅ローン減税
  • 固定資産税
  • 不動産取得税
  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 住宅取得等資金の贈与(非課税枠)

住宅ローン減税

住宅ローン減税とは、住宅ローンの利用において、住宅取得者の負担を軽減することを目的とした制度です。年末におけるローン残高の0.7%を13年間、所得税から控除してもらえます。また、所得税以上の控除がある場合には、住民税から控除となります。

子育て世帯と若者夫婦世帯に手厚くなるなど、変更点があるので、確認しましょう。

 借入限度額控除期間床面積要件
長期優良住宅・低炭素住宅4,500万円子育て世帯・若者夫婦世帯:5,000万円13年新築の場合、これまでの50平方メートルから40平方メートルに緩和
ZEH水準省エネ住宅3,500万円子育て世帯・若者夫婦世帯:4,500万円
省エネ基準適合住宅3,000万円子育て世帯・若者夫婦世帯 :4,000万円
その他の住宅0円※

※2023年までに新築の建築確認がされている場合は2,000万円

引用:住宅ローン減税|国土交通省

令和6年度 国土交通省税制改正概要|国土交通省

固定資産税

固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や建物の所有者に対して課税される仕組みです。

新築住宅の場合、一定要件を満たせば固定資産税が減税されます。

 要件軽減率
建物床面積120平方メートルまで3年間:2分の1に減額認定長期優良住宅・認定低炭素住宅:5年間
土地200平方メートルまでの部分6分の1
200平方メートルを超える分3分の1

申請方法は、各自治体に備えつけの「住宅用地等申告書」に必要事項を記入して提出しましょう。

引用:令和6年度 国土交通省税制改正概要|国土交通省

不動産取得税

不動産取得税は、土地や建物を取得した際に一度だけ課される税金です。今回の改正で、長期優良住宅に限り、課税標準からの控除額が1,200万円から1,300万円となりました。

この場合の納付税額は、固定資産税評価額から1,300万円を控除したあとに3%を乗じた額となります。

不動産取得税の軽減について、確認しておきましょう。

 本則特例
宅地評価土地の取得に係る不動産取得税の課税標準特例2分の1
土地等の取得に係る不動産取得税の税率の特例4%3%

引渡しから半年ほどで納税通知書が送られてきます。不動産取得税の軽減措置を受けるために、申請は必要ありません。

引用:令和6年度 国土交通省税制改正概要|国土交通省

印紙税

印紙税は、工事請負契約書および不動産売買契約書に貼付する印紙をもって支払われます。

現行の特例措置が2026年度まで延長となります。

契約金額本則税率軽減税率
100万円を超え 200万円以下400円200円
200万円を超え 300万円以下1,000円500円
300万円を超え 500万円以下2,000円1,000円
500万円を超え1千万円以下10.000円5,000円
1千万円を超え5千万円以下20.000円10,000円
5千万円を超え1億円以下60.000円30,000円
1億円を超え5億円以下10万円6円
5億円を超え10億円以下20万円16万円
10億円を超え50億円以下40万円32万円
50億円を超えるもの60万円48万円

引用:建設工事請負契約書の印紙税の軽減措置 |国税庁

令和6年度 国土交通省税制改正概要|国土交通省

登録免許税

登録免許税は、不動産登記の手続きをおこなう際に納める税金です。

登記の種類によって軽減される税率が異なります。

登記の種類本則特例
所有権保存登記0.4%0.15%認定長期優良住宅:0.1%
所有権移転登記2.0%0.3%認定長期優良住宅::0.2%
抵当権設定登記0.4%0.1%

引用:令和6年度 国土交通省税制改正概要|国土交通省

住宅取得等資金の贈与(非課税枠)

両親や祖父母からの資金援助を受けて、新築住宅を建てる場合、「住宅取得等資金の贈与」を利用できます。

住宅取得等資金の贈与の限度額は、以下の通りです。

住宅の形態非課税限度額
質の高い住宅(長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅)1,000万円
一般住宅500万円

住宅取得等資金の贈与について適用を受けるには、贈与税の申告が必要です。たとえ贈与税が発生しない場合でも、申告は必ずおこなってください。


申告期間は贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までとなっており、管轄する税務署に贈与税の申告書を提出します。なお、その際には戸籍の謄本や住宅購入の契約書などが必要です。詳しくは、税務署の相談窓口に問い合わせましょう。

引用:住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置|国土交通省

令和6年度 国土交通省税制改正概要|国土交通省

補助金を受ける際に気をつけるポイント

補助金を受ける際には、以下の内容に気をつけましょう。

  1. 各補助金の要件や募集期間を確認する
  2. 予算に上限があるため募集期間内であっても終了となる
  3. 他の補助金と重複して受けられないケースがある

1.各補助金の要件や募集期間を確認する

補助金制度は必ず一定の要件があるため、ご自身や世帯、建てるハウスメーカーが条件をクリアできるかを確認しましょう。

例えば「子育てエコホーム支援事業」は、事前に登録している業者でないと対象になりません。

また住宅性能といった基準もあり、クリアできるハウスメーカーや材料、製品を選ぶ必要があります。

補助金の要件を確認しないまま家づくりを進めてしまうと、契約後に補助金が活用できない可能性があるので注意しましょう。

2.予算に上限があるため募集期間内であっても終了となる

補助金は年度ごとに予算が決まっているため、上限に達すると募集期間内であっても終了となります。

前回のこどもエコすまい支援事業は、締切を待たずしてあっという間に予算を消化したため、多くの人が利用できない事態となってしまいました。募集期限だけで建築スケジュールを立てると、補助金を受けられなくなる可能性があります。家づくりのなるべく早い段階で、どの補助金を活用するのか検討して、ハウスメーカーに相談しましょう。

3.他の補助金と重複して受けられないケースがある

補助金の多くは、他の補助金と重複して受けられないケースがある点に注意しましょう。

地域型住宅グリーン化事業」や「こどもエコホーム支援事業」では、補助対象が重複するLCCM住宅整備推進事業といったZEH関連の補助金制度とは併用できません。ただし、すでにご紹介したように自治体が独自に支給している補助金は、国の制度と併用できる場合があります。

公式サイトや募集要領に、併用が可能な補助金事業が記載されている場合があるので、詳細を確認するようにしましょう。

最後に

補助金制度や税金の軽減措置は、上手に活用すれば建築費用を軽減できます。住宅性能や家族の状況によって利用できる補助金が異なるため、ハウスメーカー選びと合わせて検討してみてください。補助金の最新情報は、家づくりのプロに聞いてみるのがおすすめです。

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