注文住宅の費用を検討する際に、坪単価を参考にする方も多いでしょう。

しかし、坪単価の算出方法は、建築会社によって異なるため、同じ規模の住宅であっても建築費が変動します。坪単価の金額だけで、建築会社を選ぶのはおすすめできません。

この記事では、坪単価の比較ポイントのほか、相場から費用を抑える方法を解説します。

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注文住宅における坪単価の相場

注文住宅の坪単価の相場を把握しておくと、建築会社やプランを検討する際の参考となるでしょう。ここでは、注文住宅における坪単価の相場を、住宅単体の場合と土地を購入して建てた場合、構造別にみた場合に分けて紹介します。

フラット35利用者を対象とした、2022年度における注文住宅の坪単価は、以下の通りです。

注文住宅の平均坪単価は約99.9万円

建設費住宅面積坪単価
全国3,715万円122.8㎡37.2坪99.9万円
首都圏4,016万円123.4㎡37.4坪107.4万円
近畿圏3,991万円126.1㎡38.2坪104.5万円
東海圏3,788万円125.2㎡38.0坪99.7万円
その他地域3,502万円121.3㎡36.6坪95.7万円

引用:2022年度 フラット35利用者調査令和4年度 住宅市場動向調査|国土交通省

注文住宅の平均建築費は、2014年度から上昇傾向にある一方で、住宅面積は連続で縮小しています。

注文住宅の平均坪単価は、全国で約99.9万円です。エリア別の坪単価は、高い順に首都圏が約107.4万円、近畿圏では約104.5万円、東海圏で約99.7万円が相場です。

平均坪単価は需要の集中する首都圏が最も高くなるため、建築費も首都圏が最も高額となります。

土地付注文住宅の平均坪単価は約94.5万円

建設費土地取得費住宅面積坪単価
全国3,195万円1,500万円111.5㎡33.8坪94.5万円
首都圏3,118万円2,288万円107.7㎡32.6坪95.6万円
近畿圏3,133万円1,760万円112.5㎡34.0坪92.1万円
東海圏3,394万円1,300万円116.0㎡35.1坪96.7万円
その他地域3,224万円927万円112.5㎡34.0坪94.8万円

引用:2022年度 フラット35利用者調査

土地を購入して注文住宅を建てる場合の坪単価は、全国平均で約94.5万円です。エリア別の坪単価は、高い順で東海圏が約96.7万円、首都圏で約95.6万円と続き、近畿圏は全国平均よりも低い約92.1万円という結果になっています。

首都圏においては、土地を一緒に購入する場合、建物のみの場合に比べて住宅面積の平均が小さくなっており、その差は16㎡(約5坪)程度です。土地費用がかかる分、建物を小さくして全体の費用を抑えていると考えられます。

建築費と土地取得費の総額を比較するには、坪単価だけではなく、エリアによって土地価格が占める割合が異なる点を考慮する必要があるでしょう。

構造別の平均坪単価

注文住宅の建築費用は、建物の構造によっても異なります。建物の構造は、主に木造、鉄骨鉄筋コンクリ―ト造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造の4タイプです。

国税庁が公表した2023年における構造別の坪単価は、以下の通りです。

【構造別の平均坪単価】

木造鉄骨鉄筋コンクリート造鉄筋コンクリート造鉄骨造
全国平均1㎡あたり177,000円265,000円278,000円272,000円
坪単価584,100円874,500円917,400円897,600円
東京都1㎡あたり177,000円327,000円341,000円321,000円
坪単価584,100円1,202,200円1,125,300円1,059,300円
大阪府1㎡あたり177,000円265,000円278,000円272,000円
坪単価584,100円874,500円917,400円897,600円
愛知県1㎡あたり177,000円265,000円278,000円272,000円
坪単価584,100円874,500円917,400円897,600円

※調査結果にある1平方メートルの単価を坪単価に換算

引用:地域別・構造別の工事費用表(1m2当たり)【令和5年分用】|国税庁

坪単価の相場は、低い順に木造、鉄筋鉄骨コンクリート造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造です。ただし、鉄筋コンクリート造は耐久性や耐震性に優れており、耐用年数が長く資産価値を維持しやすいといったメリットがあります。

そのため、坪単価をもとに建築費用を検討する際には、希望する住宅構造の種類も踏まえて検討することが大切です。

坪単価を比較する4つのポイント

注文住宅の坪単価を左右するポイントがあり、比較する際にはこれらを踏まえておくことが大切です。

ここでは、以下の4つを確認しましょう。

  1. 建築会社によって坪単価の定義が異なることを理解する
  2. 坪単価に含まれるもの・含まれないものがある
  3. 本体工事にどこまで含まれるか
  4. 施工面積と延床面積の違い

1.建築会社によって坪単価の定義が異なる

注文住宅の建築費は、建築会社によって坪単価の相場が変わります。

テレビCMで見かける大手ハウスメーカーは、展開するエリアが広く、一定の品質を維持しています。工務店は地域密着型で、広告宣伝費を抑えている分、ハウスメーカーの方が坪単価は割高になるのが一般的です。そのため、工務店はコストパフォーマンスが良いことが多いといえます。

ただし、ローコスト住宅に注力するハウスメーカーは、注文住宅の中でも低い坪単価となります。

2.坪単価に含まれるもの・含まれないものがある

坪単価は、建築総費用のうち「本体工事費」を元にしています。

<本体工事費用><付帯工事費用><諸費用>
基礎工事木工事屋根工事建具工事防水工事外壁工事設備工事費内外装工事など解体工事(建て替えの場合)地盤工事(軟弱な地盤の場合)電設工事給水工事ガス工事家具工事外構工事植栽工事など 契約手数料収入印紙代ローン関連の手数料登記費用登録免許税不動産取得税固定資産税など

本体工事費は全体の約7割を占めており、「付帯工事費」「諸費用」は含まれていません。

しかし、建築会社によっては、建築確認や長期優良住宅認定などの申請手続き、設計料・工事監理費など、建築に欠かせない費用を坪単価に含める場合があります。

3.本体工事にどこまで含まれるか

本体工事にどこまで含まれるか、その詳細を確認する必要があります。

例えば、本体工事費(坪単価)に雨戸や網戸、照明器具、カーテンが入っていない場合があります。日常生活に必要な項目が、オプションとなるケースです。

追加料金が加算されると、当初の坪単価が安くても、オプションを選択することで予算オーバーにつながる場合も少なくありません。坪単価を提示されたら、項目を確認しましょう。

4.施工面積と延床面積の違い

坪単価は、「建物の本体価格÷延床面積」で算出されるのが一般的です。建築会社によって延床面積か施工面積かといった点も異なるので、どのように坪単価の値を出しているか確認しておきましょう。

延床面積建物の床面積をすべて合計した面積
施工面積延床面積に含まれない施工部分を加えた面積

延床面積には、ベランダやバルコニー、ビルトインガレージなどは含まれません。施工面積の場合は、これらを含むため坪数が大きくなります。坪数が大きくなるほど単価は下がるため、施工面積を用いて算出した坪単価の方が安くなるわけです。

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注文住宅の坪単価を抑える方法

注文住宅の坪単価を抑えるには、コストダウンの可能性がある項目を整理し、優先順位をつけることが大切です。譲れない部分は残しておいて、優先度の低い項目を中心にコストダウンを図りましょう。

注文住宅の坪単価を抑えるポイントは、以下の5つです。

  1. 凹凸のないシンプルな外観にする
  2. オープンな間取りにする
  3. 屋根形状をシンプルにする
  4. 設備のグレードを下げる
  5. ランニングコストも考慮する

凹凸のないシンプルな外観にする

坪単価を抑えるには、凹凸のないシンプルな外観にしましょう。正方形に近いキューブ型が代表例です。

同じ規模の住宅でも外観が複雑なデザインであれば、施工部分が増えるため、本体工事費は高くなります。一方で、シンプルな外観は外壁面積が少なく済むため、建材や施工数、工期が減り、トータルで坪単価を抑えられます。

オープンな間取りにする

オープンな間取りを採用するのも、坪単価を抑える有効な方法です。

  • 大開口の部屋づくり
  • 廊下を作らない
  • 壁の仕切りを少なくする

例えば、LDKをそれぞれ個室にするのではなく、オープンな間取りにしてリビングを広く使うイメージです。

ただし、オープンな間取りはプライバシーを確保しにくい側面があります。取り外し可能なパーティションの設置やインテリアの配置を工夫し、適度に視線を遮る対策を取り入れましょう。

屋根形状をシンプルにする

坪単価を抑えられる屋根は、片流れ屋根や陸屋根があります。シンプルな形状ほど費用を抑えることが可能です。

屋根の種類特徴
切妻屋根2枚の板を左右対称に合わせて作る屋根・コストが比較的安い・雨や雪に強い・屋根で覆われていない三角の側面が劣化しやすい
寄棟屋根屋根の中央部分に棟があり、四方向に流れる形状・風に強い・デザイン性が高い・メンテナンスに費用がかかる・雨漏りが発生しやすい
片流れ屋根片方に流れる構造の屋根・コストが最も安い・デザイン性が高い・雨漏りが発生する可能性がある
陸屋根屋根勾配のない平面な屋根・屋根スペースを有効活用できる・コストが安い・夏場は最上階が蒸し暑くなりやすい・雨漏りが発生しやすい

屋根は、形状の他にも、屋根勾配の傾斜がきつい場合に施工面積が増えるため、コストアップにつながります。

設備のグレードを見直す

設備のグレードを下げることで、坪単価を抑えられます。家づくりにおいて、譲れないないポイントが多いと、予算の兼ね合いが難しいものです。

キッチンやバス、トイレなど水回り設備のほか、照明器具、窓の防火指定の有無、窓枠の仕様をグレードダウンすれば坪単価は下がります。

設備に欲しい機能を考えておき、予算と相談しながら設備のグレードを検討すると良いでしょう。

ランニングコストも考慮する

注文住宅の建築費を坪単価で比較するときには、ランニングコスト(建物や設備を維持するために必要となるコスト)を考慮しましょう。

坪単価を重視するあまり品質を軽視すると、劣化しやすく多くの費用がかかる可能性があるからです。

住宅産業協議会のメンテナンスに関する資料によると、一般的な戸建住宅では以下の費用が必要になります。

  • 屋根(120平方メートル)に40〜50万円
  • 外壁(170平方メートル)の表面塗装に60〜80万円

   ※足場代も別途必要

家づくりのランニングコストに注目した上で、坪単価を抑えられるよう検討しましょう。

引用:住まいのメンテナンススケジュール|住宅産業協議会

注文住宅は坪単価でなく総額で比較する

注文住宅の坪単価は、建物の規模や構造によって大きく異なり、依頼する建築会社によって算出方法も変わります。

そのため、以下の2つを意識して坪単価の総額を比較しましょう。

  • 複数社に見積もりを依頼する
  • 建築の専門家にアドバイスをもらう

複数社に見積もりを依頼する

建築会社によって坪単価の基準が異なるので、複数社に見積もりを依頼しましょう。

見積書は、項目が詳細で明確であるほど、信用度が高いと判断できます。よく分からない項目があれば、担当者に質問しながら、不安を解消していきましょう。

建築会社とは、完成まで何度もやりとりをしなければならないため、担当者の対応も重要なポイントです。分かりにくい点をいかに理解できるよう丁寧に教えてくれるかどうかで、会社の信用度や姿勢を確認できるのです。

建築の専門家にアドバイスをもらう

見積もりを比較する場合、相場やコストに対して、適切な価格なのかを判断するのは難しいかもしれません。資金計画表で本体工事費以外に、付帯工事費や諸経費も含めた総額を提示してもらうのもひとつの方法です。

その場合は、事前に建築の専門家に相談しておきましょう。

坪単価は、条件が変われば金額も変動します。実は、注文住宅の正確な費用は、詳細設計が完了するまで分かりません。専門家であれば過去の事例を参考にして、アドバイスしてもらえるでしょう。

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最後に

坪単価は、建物の構造や建築会社によって異なります。また、坪単価に含まれるものや本体工事費に含める範囲、算出に用いる面積が違う場合もあるため、注意が必要です。

そのため、建築会社が提示する坪単価を単純に比較できません。必要な費用を知りたいのであれば、要望を明確にした上で、見積もりを出してもらうと良いでしょう。

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