渡辺知哉
設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。
この記事の監修者
渡辺知哉
設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。
RC(鉄筋コンクリート造)住宅とは、鉄筋とコンクリートを組み合わせて造られる建物です。RC住宅と聞いて思い浮かぶのは、夏は暑く冬は寒そうというイメージではないでしょうか。頑丈でおしゃれな建物に魅力を感じる一方で、断熱性が心配という声も聞かれます。
しかし、適切な工法によって建てられたRC住宅は、一年を通して快適な室内空間の実現が可能です。
この記事では、RC住宅における断熱性の必要性や断熱工法を解説します。さらに、RC住宅の断熱性と気密性も合わせて高めるポイントも紹介するので、断熱性が心配という方はぜひ参考にしてください。
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古いRC住宅では、夏は熱がこもって夜になっても冷めず、西日が当たるとさらに暑くなるケースは少なくありません。また、冬はコンクリートが冷たくなり、室内を冷ますだけでなく窓からの冷気の侵入によって寒くなる状況がありました。
RC住宅に断熱性が必要になる理由について、順番に解説します。
RC住宅では、コンクリートの熱伝導率が高いため、外気の温度変化の影響を受けやすくなっています。熱伝導とは、物体内部に温度差が生じるときに熱が移動する現象を指し、熱の伝わりやすさを数値で表したものが熱伝導率です。
コンクリート壁に触れると、人の手の熱がコンクリートへと移動します。同じ温度の壁でも、コンクリ―トと木材で体感温度が異なるのは、素材によって熱伝導率が違うからです。
<コンクリートと木材の熱伝導率>
コンクリートは熱伝導率が高いので、触った瞬間は冷たく感じます。一方で、木材はコンクリートよりも熱伝導率が低いため、熱がゆっくりと移動して冷たく感じにくいのです。
参照:長期優良住宅認定等に係る技術的審査マニュアル|一般社団法人 住宅性能評価・表示協会
RC住宅ではコールドドラフト現象により、エアコンを使用しているのに寒く、足元が冷えてしまいます。コールドドラフト現象とは、室内の暖かい空気が外気で冷えた窓に触れることで冷たくなり、冷気が床へと流れる現象です。
コールドドラフト現象は、以下のケースで起こりやすくなります。
大きな温度差が生じるときに、室内が暖まるまでは相応の時間がかかってしまうのです。
RC住宅は、断熱性を高めることで気密性がさらに向上します。コンクリートは、気密性に優れているのが特徴のひとつです。気密性とは、外部と室内の空気の出入りによる熱の移動を少なくする性能を指します。
RC住宅に断熱材を活用して断熱処理を施すことで、室温が一定に保たれ、結果的に床から天井までの温度差をなくすことができるのです。
2025年度以降は全ての新築住宅に「断熱性能等級4以上」が義務化されるため、今後も断熱の重要性が高まります。これまで最高水準の断熱性能等級4は最低等級となるため、より高い断熱効果が求められるのです。
さらに、2030年には省エネ基準が引き上げられ、断熱等級5が最も低い等級になることが予定されています。断熱性能等級4を目指した場合、2030年にはRC住宅の資産価値が下がってしまうといえるでしょう。
RC住宅の建築を機会に、法改正を見据えた高い断熱効果を目指す考え方が大切です。
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RC造の断熱には、内断熱と外断熱に分けられます。適切に断熱処理をおこなえば、室温が外気に左右されにくくなるので、一年を通して快適に過ごすことが期待できます。そのためには、建物にあった断熱工法を選ぶことが大切です。
ここでは、内断熱工法と外断熱工法の特徴を解説します。
内断熱は、建物の室内側から断熱材を入れる工法です。室内側から柱と柱の間、壁の内側に断熱材を埋め込んでいきます。日本では昔から取り入れられている断熱工法です。
内断熱には、以下のメリットがあります。
ただし、構造材の部分で断熱材に切れ目ができることで空気が出入りしやすくなり、建物の内外で温度差が出ます。そのため、壁内部の結露対策が必須です。
外断熱は、建物の外側全体を断熱材で覆う工法です。コンクリートの躯体を外気に直接触れさせることが、室内環境を悪化させる一番の原因となるため、高い断熱性と気密性を実現できます。
外断熱を施工することで、以下のメリットが得られます。
外壁が厚くなるため、狭小住宅や複雑なデザインの場合には適しません。また、外観はコンクリート打ちっぱなしではなく、別の外壁材を貼るか、もしくは塗装をすることになります。
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RC住宅では、断熱性と気密性は切り離して考えられません。なぜなら、どんなに断熱性を上げても、外気の出入りがあれば意味をなさないからです。
RC住宅の気密断熱を高める家づくりのポイントは、以下の5つです。
RC住宅の気密断熱を高める家づくりには、適切な断熱材選びが重要です。断熱材には様々な種類があり、構造によって選ぶべき断熱材が異なります。
RC住宅に使われる主な断熱材は、硬質ウレタンフォームやポリスチレンフォーム、グラスウール、ロックウールの4種類です。
RC住宅の断熱材として、もっとも使用されているのが硬質ウレタンフォームです。ポリイソシアネートとポリオールを主原料とし、発泡剤や触媒を混ぜてスポンジ状になっています。発泡した瞬間に硬化し、内断熱でもつなぎ目のない施工が可能です。
硬質ウレタンフォームは、工場で成形されるボード状になったタイプのほか、現場で吹き付けるタイプがあります。RC造は柱や梁、壁にも厚みがあるので、断熱材が薄くても高い性能が発揮できる吹き付けて発砲させるタイプが向いているでしょう。
ポリスチレンフォームは、ポリスチレン樹脂に難燃剤と発泡剤を混ぜ合わせた断熱材です。ビーズ状にしたものを蒸気で発泡させるタイプと、発泡させながら押し出して板状に成形するタイプがあります。
外断熱に適しており、水に強く吸湿しにくい特性があります。コンクリート打設前の型枠に断熱材をセットすることで、コンクリートと一体化して高い断熱性を発揮します。
グラスウールはリサイクルガラスを主原料に、細い繊維状に加工した断熱材です。袋詰めされてそのまま施工できるタイプのものが主流で、床や壁、天井などに使用します。
ただし、グラスウールは湿気を通す性質があるため、繊維に水分が入り込むと体積が小さくなり、断熱効果が減少するので注意が必要です。
ロックウールは、高炉スラグや玄武岩などを主原料として作られる繊維状の断熱材です。鉱物由来の素材になるため、燃えにくく湿気に強い性質があります。
水や熱、シロアリによる繊維の劣化が少なく、長期にわたって断熱効果を維持します。外断熱と内断熱のどちらにも施工可能です。
RC住宅の気密断熱を高める際には、窓に樹脂サッシのペアガラスを取り入れる方法があります。住宅で、最も熱の出入りが大きいのは「窓周り」です。
すでに紹介した通り、コールドドラフト現象は断熱性の低い窓によって引き起こされます。
そのため、アルミサッシの一枚ガラスではなく、樹脂サッシのペアガラスがおすすめです。
ペアガラスは、ガラスとガラスの間に空気層があるため、外気温が伝わりにくくなっています。断熱効果に加えて結露を防止する機能が特徴です。一枚ガラスより重く、窓の開け閉めがしにくいという声も聞かれます。高い位置に設置する場合は負担になりやすいでしょう。
RC住宅の気密断熱を高めるには、日照シミュレーションを実施しながら窓を配置することが大切です。窓は日射熱を取り入れる開口部であり、室内の温熱環境に影響します。南面に窓を設置すると、夏には周囲に太陽光をさえぎる建物がなければ日射量を確保できるでしょう。
一方で、冬の日射量は貴重です。冬に得られる日射量が多ければ、コンクリートのもつ蓄熱性により室内の暖かさを維持できるため、暖房の使用量が抑えられます。
居住地域の気候と日射量とその角度をシミュレーションして、窓の設置の仕方を検討してください。
RC住宅の気密断熱を高めるのであれば、施工実績が豊富な建築会社に依頼しましょう。そのような会社は、予算と要望の兼ね合いから、快適な暮らしを手に入れるための提案力を強みとしているからです。
断熱材の種類は豊富にあり、断熱性が高いほど価格も高くなります。また、断熱材の種類によって特徴が異なるため、必ずしも断熱性が優れた種類が最適になるわけではありません。重要なのは、断熱材の施工技術の高さです。高気密高断熱のRC住宅に関する施工実績が豊富な会社を選ぶことが大切になるといえます。
建築会社を選ぶ際に確認したいのが、断熱性能を示すUA値(外皮平均熱貫流率)です。UA値は熱の逃げやすさを示す数値で、UA値が低いほど断熱性の高い住宅であると判断できます。
国土交通省が定めたUA値基準や地域ごとのエネルギー消費性能基準を参考に、建築会社のホームページでUA値を確認してみてください。
高気密高断熱のRC住宅を目指すには専門的な知識も必要ですから、家づくりのプロへの相談が重要です。一年を通して快適に過ごせる断熱材を取り入れる際は、ぜひアドバイスを受けましょう。
家づくりのプロであれば、カタログや住宅展示場では分かりにくい気密断熱についても分かりやすく説明してもらえます。また、断熱性以外にも耐震性やメンテナンスなど、住宅性能の様々な要素も検討しなければなりません。
気密断熱といった住宅性能は、建ててからの変更が難しいからこそ、家づくりのプロと求める住宅性能について相談しながら検討することをおすすめします。
sumuzuは、高気密高断熱のRC住宅を建てたい方へ、ご要望を反映させた家づくりに様々なご提案が可能です。
家を建てる人が悩みやすい資金計画や土地探し、建築会社選びをワンストップで対応いたします。一級建築士のサポートが可能なため、安心してお任せいただけます。
RC住宅をご検討の方は、ぜひお気軽にお問合せください。
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この記事では、RC住宅における断熱性の必要性や断熱工法、気密断熱を高めるポイントを解説しました。RC住宅の断熱性は、一年を通して快適に暮らすために重要なポイントです。断熱工法は、コンクリート打ちっぱなしを活かすかどうかで異なるので、要望に合わせた工法を選びましょう。
ただし、断熱性だけではなく機密性もセットで向上させなければなりません。RC住宅の気密断熱を高める家づくりのポイントを押さえておくと良いでしょう。
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