自然災害と向き合う注文住宅

 

1.はじめに

家づくりを考える上で、安心や安全について気にしないという人はいないでしょう。安心、安全で、快適に暮らせる家づくりを実現させるためには「自然災害に強い家」について知っておく事が大切です。これから家づくりを考える方は、まずは情報収集などからスタートされると思いますが、今回は「自然災害に強い家」というテーマで家づくりのポイントをまとまてみましたので、是非ご参考にしてください。

2.日本は災害を受けやすい!?

地震大国などと言われている日本ですが、内閣府の防災情報「我が国の災害状況」によると、日本は位置や地形、地質、気象などの自然的条件により「台風・豪雨・豪雪・洪水・土砂災害・地震・津波・火山噴火」などの災害が発生しやすいとされています。世界に占める日本の災害発生や、災害被害額の割合も高くなっています。世界に占める日本の国土面積0.25%に対して、マグニチュード6.0以上の地震回数の日本の割合は20.8%、活火山数7.0%、災害被害額18.3%と大きな割合です。世界的にみても日本は自然災害の多い国であるという事はおさえておいた方が良いでしょう。

3.まずはインターネットで情報収集をする

情報収集にはインターネットが欠かせない時代になっています。日本では「台風・豪雨・豪雪・洪水・土砂災害・地震・津波・火山噴火」などの災害が発生しやすいという事を踏まえると、災害が発生しやすい区域かどうかを知っておくことが重要と言えるでしょう。「地盤の強さ」や「自然災害で被害が出やすい地域」などはインターネットでも簡単に調べる事ができます。正確な情報は実際に現地調査をしなければ分かりませんが、おおよその目安にする事ができます。その結果を踏まえて対策を検討することも必要でしょう。

2019年の台風15号、19号による被害では、地域によってはで河川の氾濫などもあり、床上・床下浸水の被害を受けました。ゲリラ豪雨のような大雨で洪水が起きる可能性など、浸水が予想される区域であるのか、ハザードマップなどでチェックしておく事が有効です。ハザードマップについては【ハザードマップで後悔しない土地選び】でもご紹介していますのでよろしければご参考にしてください。また、地盤が強い地域なのかをチェックしておく事も大切です。家を作るときには地盤調査が義務付けられています。地盤の強さによって建物の基礎も変わってきます。地盤は国土交通省の地盤検索サイトで全国の検索ができます。GODASなどでも近隣の地盤がどのよう地盤なのかが分かるので、参考にしてみると良いでしょう。

※国土交通省(国土地盤情報検索サイト)
http://www.kunijiban.pwri.go.jp/jp/service.html

※GEODAS(地盤情報)
http://www.jiban.co.jp/geodas/

4.地震に強い家で安全を守る

近年では地震保険に加入する人が増えてきていますが、地震に強い家にするには、「免震」「制振」「耐震」などの方法があります。免震とは免震装置を設置する事で揺れを伝えにくくする構造です。制震とはダンパーなどを組み込んで揺れを吸収する構造で、耐震は建物の強度を上げて揺れに耐える構造です。耐震等級は1〜3まであり、耐震等級1は建築基準法での最低限の耐震性能で、耐震等級2は耐震等級1の1.25倍の耐震強度です。耐震等級3は耐震等級1の1.5倍の耐震強度で耐震性能の中では最も高いレベルになります。安全性などを考慮して耐震等級などで決めていったり、予算なども考慮しながら地震に強い家についても検討をしてみると良いでしょう。

5.浸水に強い家で浸水対策をする

水は高所から低所に流れますので、道路や敷地よりも自宅の敷地を高くする事が効果的です。敷地が低所である場合や、地下や半地下がある場合には集中豪雨などで水が流れ込みやすくなります。このような敷地では、ハザードマップの浸水予想を参考にしながら敷地の高さを調整したり、ウォーターシャッター等の止水板を取り付けたり、防水に強い造りにしたりしっかりと打ち合わせをしながら調整していきましょう。耐水性の高い材料や水に強い断熱材などを使用するなど、さまざまな方法がありますのでコストなども踏まえながらできる限り防水について対応をしておけば、後で追加の工事をするよりも効率が良いのではないかと思います。

6.自然災害と向き合う注文住宅まとめ

アメリカの地質調査所のデータによると、西暦2000年を境に世界中で地震の数が急増しています。その中でもマグニチュード6以上の地震の5分の1以上が日本で起こっています。自然災害はいつ起こるかわからないため不安に感じることが多いのですが、備えあれば憂いなしです。昨今の異常気象や地震の多さなどを考えて、実際の家づくりでも自然災害などについて考えておくことで、安心、安全に長く住める家づくりができるのです。ぜひ本コラムの内容を家づくりにもお役立ていただければと思います。また、2020年4月より、改正民法が適用となりこれまでよりも契約の内容が重要視されるようになります。家づくりにおいても契約の内容をしっかりと理解した上で、納得する契約をしておきましょう。

この記事を書いた人

渡辺 知哉

設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。