注文住宅で人気の平屋住宅、そのメリットとデメリットを解説

 

1.はじめに

近年の注文住宅では、平屋への注目が集まりその需要も増えつつあります。老後の生活を考えて平屋を検討している方も多いのではないでしょうか。しかし、平屋の生活はシニア層に限らず若い世代からも多くの支持を得ており、人気も高まっています。この記事では平屋を建てる上で押さえておくべきポイントや、メリット・デメリットについて解説をしていきたいと思います。

2.平屋住宅とは?

平屋住宅と聞けばひと昔前の日本の住宅というイメージが強いかもしれませんが、近年ではオシャレで個性のある住宅として注目されています。その最大の魅力は生活のしやすさにあると言えるでしょう。1階のワンフロアに全ての生活空間がまとまり、上下の動線がないためマンションの間取りをイメージするとわかりやすいかもしれません。

3.平屋のメリット

■ 生活のしやすさ
平屋は全ての生活空間が1階にあるためマンションと同様に上下階の動線がなく、リビングやキッチン、寝室から水回りまで全ての移動が楽になります。そのため、小さなお子様から足腰の弱いシニア世代にとても優しい構造となります。

■ コミュニケーションの取りやすさ
同じフロアで空間が完結しているため家族間でのコミュニケーションが取りやすくなります。常に目の届く距離にお子様がいたり、年配のご両親の介護なども行いやすくなるでしょう。平屋は上下階での運動がないためどこにいても家族の気配を感じることができるというメリットがあります。

■ スムーズな家事動線
洗濯場からバルコニーまで階段を使わないことや、リビングから寝室への移動も同フロアとなるため利便性の高い住宅が平屋住宅となります。上下移動がない平屋では買い物をした後の荷物運びも負担が少なく、効率の良い生活動線を作ることができます。

■ ライフステージへの対応力
全ての部屋が同じフロアにあるため、子供が巣立った後の部屋が物置部屋になることもなく有効的に活用することができます。若い時は苦にならなかった階段の上り下りも歳を重ねると何かと疲れてくるものですが、平屋の場合はこれらの負担を軽減して安心・安全に生活することができます。

■ 自然災害への強さ
一般的に平屋は災害に強い住宅として知られています。また、通常の住宅よりも高さがなく重心が低いため耐震性が高く、台風などの強風にも強いという特徴があります。地面と接面している面積も広いため基礎部分もしっかりしているため地震に対する安定感も高まります。

4.平屋のデメリット

■ 日当たりの確保
平屋では延べ床面積が広ければ広いほど中心部の風通しや日当たりが悪くなることがあります。そのため、周囲の建物が2階建て・3階建ての場合は日当たりの確保に配慮する必要があります。平屋そのものが悪いわけではありませんが、周りの環境により採光の確保を工夫する必要があることを頭に入れておく必要があります。

■ 坪単価が高くなりやすい
一般的に平屋は2階建てや3階建てよりも坪単価が高いと言われています。その理由として、平屋は1階に全ての住宅空間を取り入れるため2階建てよりも1階床面積が広くなりやすい傾向にあります。このため、地面と接面している部分が多くなり、建築費用の中で大きな割合を占める「基礎工事」が増えるため工事費が高くなります。また、同時に屋根の面積も増えるのでコストが増えてしまう傾向にあります。

■ ある程度の土地面積が必要となる
平屋住宅を検討する場合は、ワンフロアに全ての生活空間が必要となるためある程度の広さの土地面積が必要となります。2階建てや3階建てを検討するのであれば有効な広さでも平屋住宅となると相応の面積が必要となります。このため、東京などの都心部で土地を探す場合は坪単価が高い分、条件が狭まることは否めないでしょう。

■ 規格建材が少ない
ほとんどのメーカーにある建材や資材の規格は2階建てや3階建てを想定して作られています。平屋の場合は規格商品が少ない分、造作や特注建材を使用する可能性が高くなりコスト増となることがあります。

5.まとめ

注文住宅で平屋を検討するのであればそのメリット・デメリットを理解した上で検討することをおすすめします。平屋での生活は「お子様の面倒が見やすい」「災害に強い」「生活動線の確保が楽」など多くのメリットがあります。他にも、老後の暮らしを考える「ライフステージ」の側面でもメリットがあります。その一方で、ワンフロアに全ての生活空間が必要となるため広い敷地が必要になったり、基礎工事でコストが増加する可能性があるなど理解しておく必要があります。平屋暮らしを検討する際は、平屋の構造や特徴を十分理解した上で最適な家づくりを行ってください。

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この記事を書いた人

渡辺 知哉

設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。