高級住宅街「田園調布」「成城」、土地の地価相場を分析
1.はじめに
東京には全国的に有名な高級住宅街が存在しますが、高級住宅街の中でも名を馳せる大田区「田園調布」、世田谷区「成城」は誰もが聞いたことがあるかと思います。昨今は都心のタワーマンションブームで押され気味のイメージがある田園調布や成城といった高級住宅街ですが、街全体で景観を美しく保つ取り組みは受け継がれ高級住宅街としてのブランド力は今も健在です。今回は高級住宅街の代名詞「田園調布」「成城」の地価をデータ分析して傾向を観察してみました。
2.高級住宅街の定義とは
高級住宅街の定義は曖昧でこれといった定義はありませんが、眺望・景観に優れ、整備された街並みに広い敷地の住宅が立ち並んでいるイメージがあるかと思います。広い敷地に高級感漂う住宅が立ち並んでいる街並みは誰もが憧れる住環境と言えるでしょう。高級住宅街と言われるエリアはルールに沿った街づくりがされていることが多く、「○○㎡以上で建築可能」などのルールを地域住民が遵守することにより、気品のある美しい住環境が維持されてることが特徴とも言えるでしょう。
3.田園調布とはどんな街?
自然豊かな国分寺崖線の良好な地盤に位置する田園調布は、関東大震災を機に多くの富裕層が移り住んだ街です。大正7年に渋沢栄一などを中心に田園都市株式会社(現在の東急電鉄の母体企業)が設立され、鉄道の整備と同時進行で理想的な高級住宅街として開発・分譲された田園都市は今日に至るまでブランドタウンとして歴史に名を刻んでいます。田園調布駅の西側に広がる住宅街が田園「都市」とされており、この特殊な形状はフランスのパリのエトワール型道路を参考に区画整備されました。今でも立派な邸宅が立ち並ぶ田園調布では独自に定められた「田園調布憲章」を尊重することで美しい街並みが保たれています。
4.成城とはどんな街?
成城は大正14年の小田急線の開業をきっかけに「成城学園前」駅を作り、もともと新宿区にあった「成城学園」を移転させるために学校の建設費用を賄う目的で区画整備された街です。学園都市として発展した成城は、成城幼稚園から成城大学まで成城6丁目に集合しており、現在も多くの学生で賑わいます。現在、成城で住宅を建てる際は「成城憲章」によってある程度のルールが決められていますが、その発端は学園都市に相応しい街になるよう当時の保護者や教職員が決めたとされており、受け継がれてきた美しい街並みは多くの文化人や著名人を魅了しています。
土地探しに疲れたら
希望条件を登録してあとは待つだけ。
土地探しのプロが希望に叶う土地をご提案いたします。
5.田園調布と成城の地価傾向は?
田園調布駅周辺と成城学園前駅周辺の地価はどのような傾向を示しているでしょうか。2019年9月に分譲されているそれぞれの売地を集計すると、田園調布の売地は31件、平均価格:11,525万円、平均坪単価:229万円、平均土地面積:174㎡でした。一方、成城学園前の売地は28件、平均価格:12,902万円、平均坪単価:220万円、平均土地面積:196㎡となっていました。田園調布、成城共に広い土地面積で分譲され平均価格が1億円を超えていることから、まさしく高級住宅街ならではの傾向を示していると言えます。
田園調布 | 現在の全売物件から比較 | 成城学園前 |
31件 | 物件件数 | 28件 |
229万円 | 平均坪単価 | 220万円 |
11,525万円 | 平均価格 | 12,902万円 |
174㎡ | 平均土地面積 | 196㎡ |
(2019年9月末の物件データより)
さらに、参考として徒歩10分以内に絞ったデータをまとめてみました。田園調布駅から徒歩10分以内の土地は16件、土地平均価格:13,120万円、平均坪単価:259万円、平均土地面積:169㎡でした。一方、成城学園前駅から徒歩10分以内にある土地は16件、土地平均価格:13,260万円、平均坪単価:229万円、平均土地面積:191㎡でした。やはり駅から近い物件につき、坪単価はそれぞれアップしています。
田園調布 | 徒歩10分以内を比較 | 成城学園前 |
16件 | 物件件数 | 16件 |
259万円 | 平均坪単価 | 229万円 |
13,120万円 | 平均価格 | 13,260万円 |
169㎡ | 平均土地面積 | 191㎡ |
(2019年9月の物件データより)
6.まとめ
データを分析した結果、田園調布・成城共に売地の平均価格が1憶円を超えており、まさしく高級住宅街ならではの価格帯と言える傾向を示していました。田園調布、成城で目立った傾向の差異は見られませんでしたが、2019年9月のデータからは、田園調布の方が坪単価が若干ではあるものの高い傾向を示し、分譲されている土地面積については成城の方が田園調布よりも若干広い傾向を示していました。
今回、東京を代表する高級住宅街「田園調布」「成城」の地価を分析しましたが、いずれも分譲されている平均土地面積が50坪を超えており、都心から近くてこれだけの広さの土地で優雅な暮らしが叶えられる田園調布や成城は、他のエリアにはない特徴を有していると言えるでしょう。東京が誇る高級住宅街「田園調布」「成城」が、次の世代にも美しい街並みと憧れのブランドエリアとして受け継がれていくことを期待したいと思います。