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日本政策金融公庫で融資を受けて上手に行うアパート経営

 

1.はじめに

ここ最近のコロナショックや円安により、事業経営に苦しむ人や、民間の金融機関では融資を受けられない人などが頼りにしている融資先として日本政策金融公庫が注目されています。この機関は国が運営しており、経済活動の推進や地域の活性化などを目的とした金融機関となります。このため、事業の創業から運転資金の確保まで、多くの人々が利用している金融機関となります。今回は、この日本政策金融公庫の融資制度を上手に利用して、少ない自己資金からアパート経営が行える方法をご説明していきたいと思います。

2.日本政策金融公庫とは

「日本政策金融公庫」とは、国が100%出資している公的金融機関のことです。都銀や地銀、信用金庫などの民間金融機関とは違い、利益を追求する経営ではなく、「国民一般、中小企業者、農林水産業者の資金調達を支援する」ことを目的としています。国が経営をしているため倒産することはなく、同じ融資でも「営利目的」の民間金融機関と「非営利目的」の日本政策金融公庫とでは大きな違いがあります。また、基本理念として「民間金融機関の補完」という項目があるため、一般的な銀行では融資されないようなリスクがある融資も通してくれることがあります。(もちろんビジネスモデルを見ての判断だと思います。)日本政策金融公庫の真の狙いは、融資により日本経済の成長や地域活性化を融資の力で後押しする機関となります。

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3.融資を受けるにあたり

日本政策金融公庫で不動産投資の融資を受けるには、「不動産賃貸業としての借入であること」「取得する予定の物件を担保として提供すること」という2つの条件があり、原則として以下の書類を揃える必要があります。

※アパート経営などの賃貸業を営む場合

・過去3年分の確定申告書
・身分証
・該当物件概要書
・レントロール(現在の入居情報)
・ビジネスモデル企画書
・日本政策金融公庫指定の申込書

賃貸用不動産の融資期間は概ね10~15年と決まっているので、毎月の返済額は10年~15年を目処に決まります。その毎月の返済額と毎月の家賃収入できちんとしたビジネスモデルが承認されることで初めて融資を受けることが出来ます。

例えば、以下の物件の条件でビジネスモデルを描いてみましょう。

築年数 30年
販売価格 700万円
頭金 100万円
戸数 4部屋
現状 満室
駅徒歩 7分
家賃 3万円/1部屋

■ 毎月の返済額
(700万円-100万円) ÷ 10年 ÷ 12ヶ月 = 5万円

■ 家賃
3万円 × 4部屋 = 12万円

■ 家賃収入
12万円 – 5万円 = 7万円

この計算だと1ヶ月の家賃収入は返済金額を差し引いても7万円となります。


仮にアパートの借り手が2/4(半分)になったとして計算してみましょう。

■ 毎月の返済額
(700万円-100万円) ÷ 10年 ÷ 12ヶ月 = 5万円

■ 家賃
3万円 × 2部屋 = 6万円

■ 家賃収入
6万円 – 5万円 = 1万円

この計算だと2部屋に空きが出てもなお収益はプラスとなる計算になります。これほどのリスクを回避できるようなビジネスモデルだと、日本政策金融公庫などでも融資の審査が通ることが多いです。是非、ご参考にしてみて下さい。

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4.物件の探し方

少ない自己資金から都内近郊で収益アパートを探すことはとても困難なことでしょう。一方、地方では予算も少なくアパートを購入することも可能です。しかし、地方の場合は地方が故に入居率や空室のリスクも都会よりは高まってしまいます。車社会の地方では駅からの距離が離れている物件も多く、そのような物件は金融機関からの資産価値も低く見られてしまいます。このため、販売価格(売値)と金融機関が弾いた物件の資産価値が大きく乖離されていることもあり、実際に融資が下りないというケースもあります。

■ 地方で探す理想の物件とは
・駅から徒歩15分以内
・築年数が40年以内(できれば30年以内)
・売値が概ね2000万円以内
・利回りは15%以上

日本政策金融公庫は、賃貸用不動産の融資期間が概ね10年~15年と決まっています。このため、毎月の返済額を上回る賃貸収入がなければ賃貸業の意味がありません。この10年~15年縛りというのも日本政策金融公庫で融資を受ける際の足かせになってしまうこともありますのでご注意ください。

5.利回りの計算

5-1.賃貸併用住宅の利回り

利回りとは年間収益を物件価格に対する割合で求める数値をいいます。賃貸併用住宅の場合は、年間の賃貸収入における賃貸併用住宅の購入金額に対する割合となります。一般的なアパートやマンションでは8~10%前後の利回りが一つの目安とされていますが、賃貸併用住宅の場合は初期費用が高いという側面もあり5%前後が一般的とされています。そう考えると利回りを考える上では、建築費用をいかに安く建てるかが重要なポイントとなります。利回りには諸経費を考慮しない「表面利回り」と諸経費も含めた「実質利回り」の2つがあります。

5-2.表面利回り

例えば、家賃が10万円(2戸)で物件価格が4,000万円だった場合は、毎月の収入は20万円となり年収ベースでは240万円となります。これを計算すると以下の計算式となります。

(240万円 ÷ 4,000万円)×100 = 6%

上記のように諸経費を鑑みない計算式が表面利回りとなります。

5-3.実質利回り

一方、諸経費や年間支出を差し引いた利回りを実質利回りと呼び、表面利回りとは計算式が違ってきます。※毎月の収入が20万円(年収ベースで240万円)。物件価格が4,000万円、諸費用や年間支出が40万円の場合で計算してみたいと思います。

((240万円 – 40万円)÷ 4,000万円)×100 = 5%

上記のように諸経費や年間支出を考慮した計算式が実質利回りとなり、表面利回りだけに目を奪われて安易に賃貸経営に手を出すと思わぬ失敗を招くことになります。是非、賃貸併用住宅を検討される際は「実質利回り」をベースに検討するようにしましょう。

6.上手なアパート経営方法

一般的にアパートなどの賃貸経営では自己資金を少なく、金融機関からの返済期間を長く借り入れをしたほうが月々の返済金額が下がり収益もアップするので良いとされています。返済期間が長いということはそもそも築年数が40年も50年も経ているものに対しては融資が下りないかもしれません。そのため、立地や築年数、販売価格などそれぞれのバランスが非常に重要で、不動産賃貸業の成功はこれらを兼ね備えた不動産との出会いにかかっていると言っても過言ではありません。

上手なアパート経営は、金融機関から長く融資を受けて月単位の利益を高くし、それでいて自分が返済できるタイミングで繰り上げ返済をしていき融資返済期間より前に完済させてしまう。これを繰り返すことで上手なアパート経営ができるのではないでしょか。

7.まとめ

アパート経営と聞くと最初に数千万円の頭金や仲介手数料などが発生するから自分には無理だと思いこんでしまう人も多いのではないでしょうか。しかし、日本政策金融公庫のような金融機関を利用すれば高額な自己資金を用意しなくてもアパート経営を行えることもあります。日本政策金融公庫の融資基準はあくまでその融資にビジネスモデルがきちんと成立しているのかが基準となりますので、最初から諦めるのはではなくまずは日本政策金融公庫の相談窓口に行って話を聞いてみると良いのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

渡辺 知哉

設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。