注目度が高い「賃貸併用」の注文住宅を建てる

 

1.はじめに

昨今の社会情勢や働き方の変化に伴い、注文住宅の在り方にも変化が起こっています。国内の景気はここ数十年横這いで、経済成長を実感できている人はごく一部でしかないかもしれません。この先の将来が不透明な中、高額な注文住宅を購入することが重荷と考える人もいるのではないでしょうか。そこで近年注目が高まっているのが、賃貸併用の注文住宅です。住宅の一部を賃貸として貸し出すことで将来への金銭的な不安を軽減しようとする動きが活発化しているようです。この記事では賃貸併用住宅について注意する点や、そのノウハウをご紹介していきます。

2.賃貸併用住宅が人気な訳

大手・大企業に勤めていれば老後も安泰という概念はもう古く、年金受給額の削減や年金受給開始時期の引き延ばしなど定年を迎えて年金が支給されるまでの間に空白の時間が生じる人もいるのではないでしょうか。また、子供が巣立ったあとの子供部屋をどう利用するのか、二世帯住宅で親世帯が居なくなった後のスペースはどう活用するのか、様々な将来的なビジョンを念頭に置いて注文住宅を建てる人が増加しています。賃貸併用住宅へのニーズの高まりは、企業に勤めながら30年もの長期ローンを組むことへの不安などから、ローンの一部を入居者に負担してもらおうという考え方が少しずつ広まっていることと関係があるのではないでしょうか。

3.賃貸併用住宅を建てる心構え

賃貸併用住宅でローンを組む場合は、延べ床面積の半分以上を自分が住む居住用面積にしなければなりません。また、賃貸併用住宅を建てたは良いが入居者がいなければ話になりません。そのため、設計の段階から借り手の気持ちになって建築する必要があります。どこにでもある普通の賃貸物件ではなく、そこにしかないオンリーワン物件として貸し出すなどの工夫も必要となります。立地的な付加価値はもちろんのことオシャレな装飾を施したり、収納スペースを増やしたり他にはない強みを生かしてその物件ならではの価値を高めたいものです。

4.賃貸併用住宅は縦割りにする

親世帯との二世帯住宅を建てる際は、居住区域を縦割りにすることを念頭に建築すると良いでしょう。一般的には親世帯が1階に住み、子世帯が2階に住むという傾向にあります。しかし木造建築の場合は上下階に響く騒音の対策に苦慮する人が多く、そのため賃貸住宅では縦割りの間取りで設計することをお薦めします。それでも隣世帯の生活音は発生してしまうので、その工夫や対策として用いられる方法が「クローゼット」「和室」「客室」など、普段使用頻度が低い部屋を隣世帯との間に「緩衝地帯」として設けるなどの工夫が取られることが多いです。

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5.離れに賃貸住宅を建てる

これからの賃貸需要を見越して土地探しをする人もいることでしょう。その場合、少し広めの土地を購入して「離れ」に賃貸用の建物を建ててそこに入居者を募集するという方法があります。また、同じ敷地に子世帯と親世帯の2世帯で住むことになった人も、親世帯には「離れ」を建ててそこに住んでもらい、いずれは賃貸物件として貸し出すことを想定して建てる人もいるようです。このように将来の変化にも柔軟に対応できる間取りやプランを検討すると良いのではないでしょうか。

6.まとめ

どのようなユーザー層をターゲットにして、どのような用途の賃貸併用住宅を建てれば良いのか、これは慎重に考える必要があります。立地が全てだった時代とは違い、近年ではどこに何の目的で賃貸住宅を建てるかが重要となっています。借り手側の価値観への多様化が進み、これが理由で新しい間取りや建築プランも誕生しています。これから賃貸併用住宅を建てる際は、その時代のニーズに合った建築を心がけるように注意しましょう。

この記事を書いた人

渡辺 知哉

設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。