注文住宅の間取りや見積りを正しく比較する方法

 

1.はじめに

注文住宅を検討する際は、さまざまな検討事項を1つずつ順を追って決めていかなければなりません。そのためには、注文住宅の「流れ」や「進め方」を理解すると共に、建築会社の選び方を間違えないことがとても重要となります。そこで、建築会社を選ぶ基準として大切なことは、建築プラン(間取り)や見積もりをそれぞれのハウスメーカーや工務店から入手して「比較」検討することです。この記事では注文住宅を建てる上で最も重要な「建築会社」と「間取り」や「見積り」の比較方法について書いてみたいと思います。

2.注文住宅を建てる流れを知る

注文住宅はマンションや建売戸建てと違い、土地探しから始めなければなりません。建売やマンションの場合は、内覧をして気に入ればローンの申請を行い購入するといった分かりやすい流れとなりますが、注文住宅の場合はそう簡単にはいきません。それでは注文住宅の流れについて大まかな流れを見てみましょう。

土地探し
(半年~1年)→
建築会社探し
(3ヶ月)→
プランと見積もり調整
(3ヶ月)→
設計契約と建築申請
(1ヶ月)→
着工工事
(3ヶ月~6ヶ月)→
完成・引き渡し
(1ヶ月)→

2-1.土地探し
理想の注文住宅を建てる上で土地探しはとても重要です。長く暮らすことになる土地周辺の環境はとても大切で、さらに土地のスペックにより希望条件の建物が建つかどうかも決まってきます。これらをしっかりと考慮した上で、土地探しをしましょう。

2-2.建築会社探し
建築会社と一括りで言っても、実際には「ハウスメーカー」「工務店」「建築家」など大きく3つに分けることができます。これらの特長をそれぞれ比較して理想の注文住宅を叶えてくれる建築会社を選ぶ必要があります。

2-3.プランと見積もり調整
建築会社を選ぶ段階で建築プラン(間取り)や見積もりを各社に提案していただき、そのプランを比較した上で建築会社を選ぶことが一般的な流れとなります。実際に建築会社が決まると、より現実的で細かなプラン調整と最終的な見積もりが決まります。

2-4.設計契約と建築申請
プラン(間取り)や見積もりの調整が終わると建築会社との間で「建築工事請負契約」を締結します。建築プランには国の基準があるので最終的なプランを建築申請に出す必要があります。この申請が通って初めて工事が着工します。

2-5.着工工事
建築申請が完了すると実際に工事が着工します。ウッドショックや特に何らかの影響がない限り、概ね「3ヶ月~6ヶ月」が一般的な工事期間と言えます。

2-6.完成・引き渡し
無事に工事が終わり引き渡しの段階になると、金融機関へ住宅ローンの実行(残代金決済)や各種登記手続き、そして鍵の引き渡しといった手順を経て名実ともにマイホームということになります。

3.建築会社の種類と特長

3-1.工務店
工務店の多くは地域に密着していて、その土地の特長を生かした建築を得意とし、工事の施工だけではなく設計から施工までの工事全体を請け負います。また、形態や規模にも大きな違いがあり、街の小さな工務店からフランチャイズに加盟している工務店や、建材・設備を商品化している大型の工務店なども存在します。一般的には多くの住宅が工務店を利用して建てられており、予め予備知識や特長を把握した上で工務店での注文住宅を検討してみると良いでしょう。

3-2.ハウスメーカー
ハウスメーカーと工務店を正確に区別する標準的な基準はありませんが、一般的には会社の規模やエリアの範囲、商品化された製品の有無などによって分けられていることが多いようです。大手ハウスメーカーになると、日本全国に拠点を置いており、年間の販売棟数も相当な数にのぼります。

商品の製品化により仕様が統一されている分、建物のイメージが持ちやすく商品の供給も安定していてます。また、品質にも一定の安定感があります。規格化された商品やブランドの中からプランを選ぶため、住宅のイメージが明確ではない人にはハウスメーカーが向いているかもしれません。その他にも、商品が規格化されている分、工期が早いといったメリットや品質に一定の安定感があることで安心感を得られるといった特長があります。

3-3.建築家(設計事務所)
設計事務所(建築家)では、商品規格化されているハウスメーカーや地域密着型の工務店とは異なり、独自性の高い唯一無二の設計プランの実現が可能となるため一定の人気を保っています。自分だけのオンリーワン住宅を建てたいという人には魅力的な建築方法と言えるでしょう。ハウスメーカーや工務店との大きな違いは、設計事務所(建築家)は設計だけを行い実際の施工に関しては工務店などの施工会社が行うという点です。わかりやすく記載すると、設計事務所(建築家)は施主の希望に沿った設計・設計監理を行い、施工自体は行わないということです。設計事務所(建築家)に注文住宅の依頼をする最大のメリットは、自由度が高くデザイン性の優れた住宅が建てられるという点にあると言えるでしょう。

4.建築会社を比較するメリット

建築会社を選ぶには、まず自身がどのような注文住宅を建てたいのかを明確にして可視化する必要があります。建築会社には「ハウスメーカー」や「工務店」「建築家」など様々な特長を持った専門家が存在します。これらの特長を理解した上で、一度自分が思い描く建築プランを専門家に依頼をしてみるのも良いでしょう。

その上で、建築プランや見積もりを比較して初めて分かる内容や事例があったり、同等のスペックでも見積もり金額が大きくかけ離れていたりと注文住宅では何が起こるか分かりません。このような不利益となることを少しでも減らす意味でも、建築会社を比較することには大きなメリットがあると言えます。

5.建築会社を比較する方法

建築会社を比較する上で指標となる項目がいくつかありますが、ここでは比較する項目として「間取り」「見積もり」「保証」「担当者」について書いてみたいと思います。

5-1.間取りで比較する
ハウスメーカーや工務店に建築プランの設計を依頼した上で、複数の間取りを比較します。プランによっては斬新なレイアウトだったり、デッドスペースを上手く利用してくれるようなアイディアなど新しい発見もあります。方位や面積、形状、建ぺい/容積率など縛られた制限の中でいかにして最大限のパフォーマンスを引き出せるかが設計者に問われる腕の見せどころとなります。

5-2.見積もりで比較する
同じような建築プランや間取りでも使用する建材や設備によっては大きく見積り額に差が出ることがあります。また、見積もりに含まれている項目も各社相違がある場合があります。見積もりに含まれていない項目も他社には含まれていたりと見積もりのフォーマットは多種多様です。このため複数の建築会社の見積もりを比較することで初めて分かることや、新しい気づきがあることもゼロではありません。

5-3.保証で比較する
新築の住宅は引き渡しから10年間は必ず保証を受ける事ができるようになりました。これは国が定めた法律の上での保証となっており、これとは別に建築会社が独自に設けた保証やアフターメンテナンスといったサービスが存在します。例えば、大手ハウスメーカーなどでは「引き渡し後○○年間は無料で保証します。」といった謳い文句があるかと思います。住宅の設備はどれだけ丁寧に使用しても必ずどこかのタイミングで故障してしまうものです。このような保証に関する比較については、保証の中身までしっかりと把握した上で各社比較をしてみると良いでしょう。

5-4.担当者とのフィーリングで比較する
担当者との相性やフィーリングについては何も住宅に限った話ではないと思います。例えば、自動車の購入やアパレルの洋服などの購入時にも言えることではないでしょうか。前述したとおり、「ハウスメーカー」や「工務店」の比較や、「間取り」や「見積もり」の比較も確かに大切なことです。しかし、最終的には担当の営業マンや建築士をどれだけ信頼できるかということも住宅購入の決め手となるのではないでしょうか。

6.建築会社を比較する上での注意点

満足のいく家づくりを成功させるためには、自身が理想とする住宅を実現してくれる建築会社と出会うことが大切です。とは言え、建築会社と言ってもたくさんの会社があり、それぞれが工法やデザインに特徴を持ち、各々の強みとなる技術やサービスも違います。では、何を基準に建築会社を比較して選べば良いのでしょうか。

6-1.建築費用だけで決めない
建築費用の安さだけを最優先にして、建築会社を決めてしまうことはあまりおすすめできません。建築プランの作成フォーマットは全国一律といった決まったものがありません。このため、建築費用を安く見せるためだけのプランを作る建築会社がないとも限らず、追加でオプション費用がかかるケースが発生するかもしれません。どのような構造・工法なのか仕様やデザインのグレードなどを確認し、オプションや追加費用の有無なども慎重に確認して比較することをおすすめします。

6-2.ブランド力だけでは決めない
大手のハウスメーカーはテレビCMやさまざまな宣伝広告を打っているので、皆さんが日常的に目にすることも多いことでしょう。知名度が高く会社の規模も大きく安定感があることも周知の事実です。ブランドは確かに魅力的ですが、自分が望む住宅を建ててくれる建築会社であるかが最も重要ですので、ブランド名だけに捉われることなくしっかりと建築会社を見極めた上で本質的な部分を比較して決められると良いでしょう。

6-3.何でも相談できる建築会社を見つける
住宅を建てる際には、打ち合わせからプランの作成を経て施工が始まり、引き渡しの時期まで長期に及びます。このため、家が完成するまでしっかりとリードしてくれて、何でも相談できるような建築会社を選ぶことをおすすめします。一生に一度あるかないかの家づくりの中で、打ち合わせに多くの時間を費やし、家が完成したあともアフターサービスが続いていきます。建築会社とは本当に長い付き合いになるので、会社や担当者との信頼関係はとても大切です。結果、一生の付き合いをすると思えるような建築会社を選ぶことが望ましいのではないでしょうか。

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7.まとめ

注文住宅を建てる際はあらゆるものを比較して決めていくことがとても重要です。「ハウスメーカー」や「工務店」、「間取り」や「見積り」など、比較して初めて見えてくるものも複数あります。逆に比較をしないことで見つけられなかった不利益な情報なども発生する可能性があるので、注文住宅を建てる際はしっかりと精査した上で、比較検討してみて下さい。

この記事を書いた人

渡辺 知哉

設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。