ウッドショックの原因と注文住宅に与える影響とは?

 

1.はじめに

ウッドショックとは、住宅を建築する際に使用する木材の不足や価格の高騰により、新築住宅の相場が上がっている現象を言い、1970年代に発生した「オイルショック」になぞられてそのような呼称となったそうです。日本では住宅を新築する際に使用する木材の約7割を外国産輸入に頼っており、新型コロナウイルスの流行も相まって木材の輸入価格が高騰し、新築住宅の価格にも影響を及ぼしています。

2.ウッドショックの原因について

海外での住宅需要の増加

アメリカや中国では新型コロナウイルスの影響からリモートワークが増え、地方都市や郊外で仕事をする人が増えてきました。これにより、郊外での住宅需要が高まり新たに新築を建てる人が増加しました。また、アメリカでは政府による積極財政出動などの住宅ローン政策も加わり、より一層住宅需要が高まったと言えます。このため、世界の木材需要のバランスが崩れ、日本の輸入木材の不足や木材価格の高騰に繋がったと言われています。

コロナ禍による影響

ウッドショックを引き起こした原因として、労働従事者の不足やコンテナ船の不足、コロナ禍による工場稼働率の低下、山火事やロシア産木材の輸出禁止措置など様々な要因が絡み合ってウッドショックを引き起こしました。つまり、ウッドショック最大の原因はコロナ禍による住宅ニーズの変化と、国際的な輸送滞りに原因があったとされています。

3.建築会社への影響

木材の不足や高騰によりどの建築会社も新築価格の高騰が目立っています。中には大手ハウスメーカーのように1年分の木材を仕入れている企業もあり、価格の維持に尽力してはいますがウッドショックが始まって約2年が過ぎようとしている昨今では限界があるかもしれません。仮に1坪5万円の上昇があった場合、建坪が40坪の家では200万円も価格が上がってしまうことになります。これは購入者からするととても大きな問題となるのではないでしょうか。

価格の高騰もさることながら、輸入木材が入ってこないことによる工期の遅れが憂慮されています。工期の遅れについては施主側に追加費用が発生することはないと思いますが、これから新築を検討される方は着工自体が遅れることや、工期の遅れについても予め念頭に入れておくと安心かもしれません。

4.日本の住宅メーカーが輸入木材に依存する理由

日本の国土の多くは森林が面積を占めていますが、なぜ約7割もの輸入木材に頼らなければならないのでしょうか。それは日本の歴史が物語っており、戦時中の日本では軍事物資を確保するために大量の木材を伐採していました。戦後の復興時にも大量の国産木材を伐採したことで多くの山林が荒廃していきました。そこで新たに植林に力を入れるのですが、実際に木材として使用できるまでには約30年ほどの月日がかかってしまいます。

そのため苗が成長するまでの間は輸入木材に頼らざるを得なくなりました。しかし、木材の成長を待つ30年の間、林業従事者の減少や林業自体が大きく衰退してしまったので、輸入木材への依存は一層高まってしまいました。国内の新築需要が高まる中、国産木材の供給が少ない上、輸入木材の調達まで困難になったことが一連のウッドショック騒ぎの背景にあると言えるでしょう。

5.ウッドショックの影響はいつまで続くのか

現状、ウッドショックがいつ終わるのか様々な意見が専門家から提言されています。しかし、世界的に見ても木材だけの高騰が続いているわけではなく、食物や鋼板・金属製品・半導体なども不足しています。これらの連鎖が続く限り建築資材の高止まりは続くのではないでしょうか。

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6.まとめ

ウッドショックはコロナ禍等による一過性の現象なので少なからず解決する日は来るでしょう。しかし、職人不足や物価の上昇は今後も継続的に続く見通しなので、しばらくは住宅市場の相場が下がることはないでしょう。住宅の購入や新築戸建てを検討している人は工事の遅れや価格の高騰、それにハウスメーカーの状態をしっかりと把握した上で検討してみると良いのではないでしょうか。

この記事を書いた人

渡辺 知哉

設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。