家族が喜ぶ! 「小上がり和室」を徹底解説

 

あなたの家には和室がありますか? もしあるなら、それは通常のフラットな和室でしょうか?
一見すると似ているように思えるこれら2つのスタイルの和室ですが、実はその違いは大きく、それぞれに独自の魅力と機能があるのです。

この記事では、「小上がり和室」という独特なスタイルの和室に焦点を当て、その基本情報、設計要素、適切な広さと高さ、メリットやデメリット、さらには乳幼児や高齢者がいる家庭での配慮点など、あなたが知りたい全てを詳しく解説します。

小上がり和室は、収納力と和の雰囲気を同時に享受できる、実用性と美しさを兼ね備えた空間です。もし、あなたが新築を考えているなら、またはリフォームを検討しているなら、この記事は必見です。あなたのライフスタイルにぴったりな小上がり和室を一緒に探っていきましょう。

目 次

1. 「小上がり和室」の基本

「小上がり和室」についての基本的な知識となります。これらの情報を頭に入れてから、ご自身のライフスタイルや好みに合った小上がり和室を考えてみてはいかがでしょうか。

1-1. 小上がり和室とは何か?

小上がり和室とは、文字通り床が少し高くなっている和室のことを指します。その高さは数十センチで、一段または二段ほど上がった場所に畳が敷かれています。この高さの違いがあることで、部屋全体の印象や使い勝手が大きく変わります。
例えば、リビングに設けると、小上がりの部分を別の特別な空間として使うことができると同時に、視覚的には一体感のある空間と見せることが可能です。

1-2. 小上がり和室の歴史と意義

小上がり和室の起源は、日本古来の住宅構造に遡ることができます。伝統的な日本家居においては、床の間や縁側など、異なる機能を持つエリアが一部分だけ床上げされていました。これは空間の区切りだけでなく、冬季の寒さから守るという practicalな機能も果たしていました。小上がり和室はこの伝統を受け継ぎつつ、現代の生活スタイルに合わせたアレンジが加えられています。

小上がり和室の特別感や重要な点は様々な要素に見られます。
まず、一段高くなることで部屋に立体感が出て、空間に奥行き感が生まれます。
また、和室という少し特別な空間を形成し、そこでのリラックスタイムをより有意義のあるものにします。
さらに、物理的な高さの変化は視覚的なアクセントとなり、装飾的な要素としても優れた効果を発揮します。

1-3. 小上がり和室の基本的な設計要素

小上がり和室を設計する際に考えるべき主な要素がいくつかあります。

まず、どれほどの高さにするかという点です。一般的には、床から30cm〜40cm程度が目安とされています。これは上り下りのしやすさだけでなく、段差に腰掛けたり立ち上がったりする時の負担が少ない高さでもあります。
しかし、この30cm〜40cmという高さは、部屋の広さや天井の高さ、設置する家具など、その他の要素とのバランスを考えて決める必要があります。

畳の選び方も小上がり和室のデザインを決める重要な要素のひとつです。
伝統的な縁付きの長方形の畳を並べるだけでなく、最近では畳の形やサイズを自由にカスタマイズできるので、縁なしの正方形を選ぶと和洋のモダンなデザインに良く合います。また、畳とその他の床材との組み合わせによっても、空間の雰囲気や使い勝手が変わります。

照明も空間のイメージを左右する大きな要素のひとつです。
小上がり和室はその特性上、影の出方が一般的な部屋とは異なります。そのため、適切な照明計画により、小上がり和室の魅力を最大限に引き立てることが可能です。和風の照明器具を用いることで和室らしい雰囲気を演出できる一方、天井に埋込式の照明を配置すればモダンな仕上がりとなり、小上がり以外の空間との違和感をなくすこともできます。

2. 「小上がり和室」の適切な広さや高さ

この章は「小上がり和室」を設ける上で快適さの鍵となる、適切な広さや高さについての解説となります。

2-1. 一般的な小上がり和室の広さと高さの基準

小上がり和室を設ける際の広さと高さの基準は、その用途や設ける空間の大きさによりますが、一般的には以下のような基準が参考になります。

高さについては、一般的には床から30cm〜40cm程度が目安とされています。これは、ちょうど座ったときに足が自然につく高さに相当します。また、この高さは畳の上がったり、畳の上で過ごす際の快適さにも関わるため、試しに上り下りしたり、座ったりしてみて、自分や家族にとって快適な高さを見つけると良いでしょう。

小上がり和室の広さは3〜4.5畳が一般的ですが、これはあくまで目安です。家族の人数や生活スタイルにより適切な広さは変わります。ただし、6畳以上になるとリビングの延長上のスペースというより、独立した一部屋という扱いになることが多いかと思います。

2-2. 広さや高さを決定する際の考慮点

「小上がり和室」の広さや高さを決定する際には、以下のような点を考慮すると良いでしょう。

まず、小上がり和室の使用目的を明確にすることが重要です。リラクゼーションスペースとして使うのか、食事をとるダイニングスペースとして使うのか、それともゲストを招くためのおもてなしスペースとして使うのかによって、必要な広さや高さは変わってきます。

次に、家族構成やライフスタイルも重要な要素です。例えば、小さいお子さんがいる家庭では、子どもが安全に過ごせるように床の高さを低めに設定することを検討しても良いでしょう。

また、和室の広さを決める際には、家具や家電の配置も考える必要があります。こたつや掘りごたつ、テレビやソファなど、置きたい家具などがある場合、それらを配置した上で十分な動線が確保できる広さが必要となります。

部屋の天井高も予め考慮しておきましょう。小上がり部分は一段上がるので、その分天井までの高さが低くなります。そのため、天井が低い部屋では、小上がり部分の高さを高くしてしまうと圧迫感を感じる可能性が高いです。反対に天井が高い部屋では、高さをあまり低く設定すると、部屋全体のデザインバランスが損なわれてしまうかもしれません。

2-3. ルームサイズと生活スタイルのマッチング

作る部屋のサイズと生活スタイルのマッチングも大切な要素です。
例えば、広々としたリビングに小上がり和室を設ける場合、大人数が集まる家族や頻繁にゲストを招く生活スタイルなら、少し大きめの広さを確保しておくと良いでしょう。

一方、静かなリラックススペースや読書スペースとして使用するのであれば、自分ひとりまたは2〜3人が過ごすためだけの広さを確保するだけ十分だと思います。

また、広さだけでなく高さも生活スタイルに合わせて考えることが必要です。たとえば、趣味で茶道や華道を楽しむ方や、こどもと一緒に遊ぶ空間として利用する場合などは、床の高さをあまり高くしない方が安全かつ利便性が高いです。

これらの観点から、自分の生活スタイルに最適な小上がり和室の広さと高さを見つけることが大切です。とはいえ、これらはあくまで一つの指針であり、最終的には自分自身や家族が過ごしやすいと感じる空間を作ることが最も大切です。

3. 「小上がり和室」のメリットとデメリット

「小上がり和室」のメリットとデメリットについての解説となります。これを参考に、あなたにとって最適な住まいの形を見つけてください。

3-1. 「小上がり和室」のメリット

まず、「小上がり和室」には多くのメリットがあります。

3-1-1. 空間を分けることで落ち着いた雰囲気を作り出す

小上がり和室は一部のフロアを高くすることで、リビングやダイニングとは異なる空間をつくることができます。これにより、リラクゼーションスペースやゲストエリアとして利用でき、リビング全体の雰囲気を落ち着かせる効果もあります。

3-1-2. 日本の伝統文化を日常に

和室に敷かれた畳の香りや感触、そして部屋の全体の雰囲気は、最も身近に感じられる日本文化の要素です。これは日本人なら心地よく感じる心安らぐ時間を過ごすことができる空間となります。

3-1-3. 節約スペースとしての役割

小上がり和室は、床面積を多くとらないため、限られたスペースを有効利用することが可能です。
例えば、畳部分は座卓やこたつを置くスペースとして、そして下がり部分はソファーやテレビを置くスペースとして利用します。このことによって、省スペースながら効果的に、かつ狭さを感じることなく、用途別に空間を分けることができます。

3-1-4. 豊富な床下収納スペース

小上がり和室の特性上、畳の下には大量の収納スペースを確保することが可能です。
これにより、日常生活で使用しない季節の洋服や防災グッズなどが視界に入らない場所に収納できるなど、整理整頓がしやすくなり、部屋全体をスッキリとした印象に保つことができます。

3-2. 「小上がり和室」のデメリット

「小上がり和室」には以下のようなデメリットもあります。

3-2-1. 移動に制限がある

高さの違うフロア間の移動は、特に高齢者や身体的な制約がある人にとっては、できるだけ避けたい場所となりやすいです。
また、お掃除ロボットは段差を上がれないので、小上がり部分を掃除できません。

3-2-2. 畳のメンテナンス

畳は湿気を吸いやすく、カビやダニの発生源になる可能性があるため、設置場所によっては定期的なお手入れが必要となります。

3-2-3. リフォームが難しい

基本的に小上がり和室は、その高さや床材の特性からリフォームが難しく、特に洋室から和室への変更は大がかりな工事となる可能性があります。

3-2-4. 家具の設置に制限

床下に収納スペースを設けた場合、荷物の出し入れがあるため、その上に家具を置くのを避けた方が良いです。
また、収納を設けることにより、強度的な問題で、重い家具を設置できない場合もあります。

3-3. メリットとデメリットの評価

このようなメリットとデメリットを考慮した上で、小上がり和室を設けるかどうかを決めることが大切です。それはあなたの生活スタイル、家族構成、趣味、そして何よりも、自分自身がその空間でどのように過ごしたいかによります。

例えば、お茶などの日本文化を愛し、和の雰囲気を楽しむことを好む方や、小さな子供や高齢者がいる家庭にとっては、小上がり和室を設けるのはとても魅力的な選択肢となるでしょう。また、限られたスペースを有効に活用したいと考える方にも適しています。

一方、畳の手入れが煩わしい、頻繁に模様替えやインテリアの変更をしたい、という方や、身体的な制約がある人にとっては、他の間取りを考えた方が良いかもしれません。

何を優先するかは、一人ひとりの生活スタイルやニーズによります。どちらの選択も間違いではありません。重要なのは、自分自身が心地よく、快適に過ごすことができる空間をつくることです。
小上がり和室は、その独特な魅力と機能性で、日本の家庭において長年にわたって親しまれてきました。そのメリットとデメリットを理解した上で、あなた自身のライフスタイルに最もマッチした選択をすることが大切です。

4. 乳幼児や老人と「小上がり和室」

乳幼児や老人がいる家庭で「小上がり和室」を設けることを考えている方は、下記のポイントを参考に、どのような設計が最適なのか、また、どのような安全対策を講じるべきなのかを考えてみてください。そして、家族それぞれのライフスタイルに合った、心地よい「小上がり和室」を作り上げてみてはいかがでしょうか。

4-1. 乳幼児や老人の使い勝手

乳幼児や老人がいる家庭では、生活空間の安全性や使い勝手が特に重要です。「小上がり和室」は、その特性上、これらの家庭にメリットをもたらす場面が多いです。

乳幼児にとって、「小上がり和室」は安全な遊び場となることが多いです。
畳は柔らかいため、転んでも怪我のリスクが低く、また裸足で遊ぶことが可能で、子供にとって快適な環境を提供します。また、畳部分で寝かせたり、段差を利用してオムツ替えもできるため、広々としたベビーベッドとしての機能も果たします。

一方、高齢者にとっても「小上がり和室」は多くのメリットがあります。
まず、畳の上は座って過ごすのに適しています。畳の硬さは体に負担をかけず、座り心地が良いため、長時間過ごすことが可能です。また、昔ながらのこたつを置いたり、予め掘りごたつを設置しておくことも可能です。
また、床下に設けられた収納スペースは、比較的大きなものも安全にすぐに出し入れできて便利です。

しかし、小上がりの部分と下がりの部分との間には段差が存在し、これは乳幼児や高齢者にとって転落や転倒のリスクがあります。これを解消するためは工夫が必要となるので、設計時にしっかり安全性を検討してください。

4-2. 乳幼児や老人がいる場合の注意点

乳幼児や老人がいる家庭で「小上がり和室」を設ける場合、以下のポイントを考慮すると良いでしょう。

4-2-1. 段差の安全対策

小上がり和室は段差がありますが、これは乳幼児や高齢者にとって転倒のリスクとなる可能性があります。そのため、手すりの設置や段差を低くするなどの安全対策が必要になるでしょう。

4-2-2. 畳の種類

畳は素材や厚さによって座り心地が異なります。特に高齢者の方や乳幼児がいる家庭では、やさしい触感で座り心地が良い素材、あるいは衛生的な樹脂製を選ぶことをおすすめします。

4-2-3. 収納の工夫

小上がり和室の下に収納を設けることで、乳幼児のおもちゃや高齢者の趣味の道具など、日常生活でよく使うものをすぐに取り出せるようになります。ただし、家具の設置にはいろいろ考慮しなければいけません。

4-3. 安全対策

「小上がり和室」を設ける際の安全対策について具体的に見てみましょう。

4-3-1. 手すりの設置

歩行が不安定な高齢者や、まだしっかりと歩けない乳幼児に対して、小上がりと下がり部分の間に手すりや掴まれる柱などを設置することで、転倒のリスクを軽減することができます。

4-3-2. 滑り止め対策

段差の部分に滑り止めの素材を使用することで、転倒事故を防ぐことが可能です。
また、畳部分にも滑りにくい素材を選ぶと、さらに安全性を高めることができます。

4-3-3. 収納の安全設計

収納スペースを設ける際も、安全に使用できるように考慮することが重要です。
例えば、蓋や引き出しが頑丈で開閉がスムーズなものや、角で怪我しないような商品選びや造作を作ってもらうなどの配慮をしてください。

5. 「通常の和室」と「小上がり和室」の比較

和室は、日本の家庭にとって伝統的で馴染みのある部屋です。
しかし「小上がり和室」と「通常の和室」は、その存在感と利用法に大きな違いがあります。それぞれの特性を理解した上で、自分たちのライフスタイルや家族構成を考えて、「通常の和室」と「小上がり和室」のどちらを選ぶべきかを決めると良いでしょう。
どちらの和室も、その特性を活かして適切に利用すれば、心地良い生活空間を実現することが可能です。

5-1. 「通常の和室」の主な特徴

床面は廊下やリビングからフラットに続いている、畳が敷かれている部屋です。
必ず襖などの間仕切りがあり、布団を敷いて寝たり、食事をしたりなど、寝室や客間として様々な生活シーンを過ごす部屋として利用します。また、床の間や押入れがある場合もあります。
そのため、昔ながらの伝統的な生活スタイルを楽しみたい方や、茶道や華道などの日本の伝統芸術を楽しむため方に適しています。

5-2. 「小上がり和室」の主な特徴

その名の通り、部屋自体が少し高くなっている特徴があります。
子どもの遊び場やリラクゼーションスペースを使用しつつ、その下には収納が設けられます。これにより、限られた空間を効率的に活用することが可能となっています。
そのため、スペースが限られた都市型の住宅や、一部屋で複数の機能を求める場合に適しています。

6. よくある質問

Q:小上がり和室は設置にコストが掛かりますか?

A:一見、工事が複雑に見える「小上がり和室」ですが、実はフラットな和室と比べてコストが大幅に増えるわけではありません。設計段階で「小上がり和室」を予定しておけば、特別な工事をする必要も少なく、フラットな和室と比較しても大きくコストは変わりません。

Q:「小上がり和室」は新築時にしか設けられませんか?

A:新築時に設置するのが最もスマートではありますが、リフォームでも可能です。例えば、パナソニックの「畳が丘」を使用すれば、手軽に後付で小上がり和室を設けることができます。ただし、リフォームの場合、既存の構造や配管などの位置により設けられる場所や形状に制限が出ることもあるので、注意が必要です。

Q:小上がり和室の床暖房は可能ですか?

A:可能ですが、設置する場合は床下の通気性や保温性に注意が必要です。また、床下収納を設けることができなくなります。

Q:小上がり和室の畳は通常の畳を使用しますか?

A:通常の畳と同じものが使用可能です。その他、様々な畳を敷くことも可能なので、設計時にご相談ください。

7. まとめ

「小上がり和室」について詳しく解説しました。この記事を通じて、その利点、欠点、利用方法、そして老人や乳幼児がいる場合の注意点など、様々な観点から小上がり和室について理解していただけたかと思います。

小上がり和室は、和の雰囲気と収納力を同時に享受できるため、日本的な美しさと機能性を兼ね備えた空間と言えます。しかし、個々の生活スタイルや家族構成によって、設計や利用方法は多岐にわたります。そして、その全てを考慮した上で最適な設計を行うためには、専門的な知識と経験が求められます。
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この記事を書いた人

渡辺知哉

設計事務所・大手ハウスメーカー・不動産ベンチャーを渡り歩き、ランディックスにジョイン。 設計事務所時代は戸建住宅をメインに設計しつつ、その他はビル・マンション・オフィス・ショップ等広く設計業務を担当。 ハウスメーカーでは営業・設計・IC業務を兼務。ベンチャーではリノベーションのワンストップサービス業務を担当。営業・設計の両面からサポートします。