開放感のある「吹き抜け」を徹底解説! メリット&デメリットの詳細や解決方法も
「吹き抜け」という言葉を聞いて、屋根まで天井のない大きな空間のリビングや玄関を思い描いたあなたは、きっと家づくりで何か特別なものを求めているのではないでしょうか?
開放感、自然光、そして何よりも家族が一体感を持てる空間。そう、吹き抜けは単なるの部屋の形ではありません。それは家族のコミュニケーションを豊かにし、日々の生活に小さな幸せをもたらす、ちょっとした魔法のような存在だったりします。
しかし、吹き抜けの設置を考えた時、前向きな良いイメージだけでなく、疑問や悩みも浮かんでくるかと思います。
そこでこの記事では、吹き抜けのある家での生活で起こったことを元に、そのメリットとデメリットをピックアップしています。そのため、この記事を読むことで、吹き抜けの良いことも悪いことも含めた全てを解説していきます。そして具体的なケーススタディを交えながら、吹き抜けがどのように家族の生活を豊かにするのかも説明していきます。
さらに、この記事では吹き抜けを取り入れることで得られる具体的なメリットも紹介します。自然光が豊富に入ることで心地よい一日を過ごせる、開放感があることでストレスが減少する、家族が自然と集まる共有空間ができるなど、吹き抜けがもたらすプラス面をイメージできるでしょう。
また、メリットだけでなく、あまり嬉しくないデメリットもしっかり開示し、その解決方法も提案していきます。
あなたが吹き抜けに興味を持っている理由はいろいろだと思います。
これから建てる注文住宅に吹き抜けを設けたいと少しでもお考えでしたら、ぜひこの記事を最後までお読みください。きっと吹き抜けの利点が整理されるだけでなく、吹き抜けに関する疑問や悩みに対して、解決の助けとなるはずです。
吹き抜けの基礎知識
「吹き抜け」とは?
吹き抜けとは、一般的には、「建物内で天井が開いている空間」「複数の階がひとつになっている大きな空間」を指します。
1970年代、欧米の住宅デザインではオープンプランが流行し始めました。このトレンドは住宅設計に影響を与え、次第に日本にも広まっていきました。それが現在の吹き抜けのある間取りに繋がっています。
このような流れで生まれた住宅における吹き抜けは、スペースが広く感じられることで心地よい生活空間を作り出します。また、窓の数や総面積が増えることで自然光が室内に多く入るだけでなく、風通しも良くなるため、健康的な生活が送りやすくなります。
一般的な吹き抜けのない家と比較して、吹き抜けのある家では、居住者が広く感じることが多い傾向となっています。また実際に、日中の点灯時間が減少しただけでなく、夏場のエアコンの使用時間も減少したというケースもあります。
この広々とした空間は、デザイン的な魅力だけでなく、機能的なメリットもあります。
例えば、明るさ、開放感、風通しが良くなるなどです。他には、家族間のコミュニケーション増加という効果もあります。
その一方で、デメリットも存在します。掃除が難しく、音などが伝わりやすいことなどが挙げられます。特に、吹き抜け部分の窓や照明器具は高い位置にあるため、掃除やメンテナンスが一般的な部屋よりも難易度が上がります。また、建築費やランニングコストも高くなることが多くなります。
以上のように、吹き抜けはいろいろなメリットがある反面、デメリットも存在します。それらを踏まえた上で、唯一無二の魅力的な空間と考え、今でも多くの人が吹き抜けのある家を建てています。
「吹き抜け」と「高天井」の違い
「吹き抜け」と「高天井」は、どちらも室内空間を広く感じさせる設計手法ですが、その目的と機能が異なります。
吹き抜けは複数の階をひとつの大きな空間としてつなげる設計であり、高天井はひとつの階層の天井を通常よりも高くする設計です。以下で、それぞれをもう少し詳しく違いを解説します。
吹き抜け
吹き抜けは通常、複数の階をつなげることで、開放感だけでなく、採光や通風などの向上も目的としています。さらに1階部分の快適さだけでなく、2階から1階への人の動きや視線の流れを意識し、家族間の交流が活発になることも狙って作ります。
高天井
高天井は、ひとつの階層だけの開放感や豪華さを追求する設計です。特にリビングなどの共有スペースで、より広く、より開放的な空間を純粋に楽しむことを目的としています。また、高天井は吹き抜けと違って、上下階が繋がっていないので、屋内での騒音やプライバシー問題の発生が少なくなります。
このように、「吹き抜け」と「高天井」はそれぞれ異なる目的と機能を持っています。
注文住宅を建てる際は、これらの違いを理解し、それぞれの設計がもたらすメリットとデメリットを考慮してプラン作りを進めると良いでしょう。
吹き抜けに適した土地や間取り
以下の例のように、吹き抜けを上手に活用することで、満足度の高い充実した空間となり、より楽しく、よりリラックスできる自宅になるはずです。
狭小住宅とも相性良し
吹き抜けは、広い土地に建てる住宅にだけでなく、狭小住宅にもとても相性が良いのです。
なぜなら、狭小住宅では明るさや開放感が求められるため、吹き抜けを取り入れることで、これらの要素を効果的に高めることができるからです。
例えば、住宅密集地にある狭い土地や旗竿地でも、吹き抜けを南東側に設けることで、自然光を効率よく取り込む設計が可能です。
高さ制限があり、天井が低くなりがちな家でも、吹き抜けによって心理的な圧迫感を受けにくくなり、狭さを感じさせない工夫として活用されています。また、リビングや玄関などの共有スペースに設けることによって、家自体が広々とした印象を与えることができます。
また、3階建ての住宅であれば、吹き抜けを中心に配置することで、各階が繋がり、家全体が一体感を持つようになります。
このように、吹き抜けは多くの間取りや土地条件に柔軟に対応できるため、狭小住宅でも十分にそのメリットを享受することができます。
狭小住宅で吹き抜けを取り入れる際のポイントは、自然光の取り込み方や、どの空間を繋げるか、ハウスメーカーの担当者や設計士と良く相談することです。そうして熟慮した結果、限られた空間でも快適な住環境を実現できるようになります。
※ 参考:「狭小住宅」を建てるコツを徹底解説! 小さな空間でも快適な生活を可能に、 実はお買い得?「旗竿地」のメリット&デメリットを徹底解説!
【吹き抜け×階段】リビングや玄関のスペースを効率的かつオシャレに
リビングや玄関に吹き抜けと階段を組み合わせることで、それぞれのスペースを効果的に見せることができます。さらに空間の高さが強調され、立体的な美しさが増し、スタイリッシュな雰囲気を演出することが可能です。
吹き抜けのリビングに階段を設けると、開放感を損なわずに、階段のスペースが省けます。
また、階の行き来が見えるので、家族の居場所が分かりやすくなり、家族間のコミュニケーションが促進されます。そして何より、スケルトン階段などのデザイン性の高い階段を設置すると、それだけで吹き抜けリビングのスタイリッシュ感がさらにアップします。
玄関を吹き抜けにして階段も作るには、一定のスペースが必要となりますが、訪問者が家に入った瞬間におしゃれで好印象を与える空間になります。また、玄関土間と組み合わせることによって、趣味の空間や子供の遊び場などにすることも可能です。設計次第では、玄関が薄暗い単なる出入り口のスペースでなく、内観の印象を変えるだけにとどまらず、家族が楽しめる明るいスペースに変えることもできるのです。
このように、吹き抜けと階段の組み合わせは、空間美、機能性、コミュニケーションなどがアップする多面的なメリットを持っているのです。
【吹き抜け×趣味】楽しい空間
吹き抜けを趣味の空間に活かすことも可能です。ただし、趣味が何であるかによって最適な設計が変わるので、以下で具体的に探っていきます。
音楽や映画鑑賞が趣味の場合、吹き抜けの高い天井は音響効果を高める素晴らしい要素となります。
この場合、吹き抜け空間の形状が重要なのはもちろんのこと、吹き抜けの壁面に適切な吸音材を使用することで音の反響を抑制し、スピーカーのポテンシャルを引き出し、より高品質な音響空間を作ることが可能になります。
絵画や写真、読書などが趣味の場合、吹き抜けの天井から自然光を取り込む設計はとても効果的です。
また、吹き抜けによって生まれる巨大な壁面に様々なアート作品を飾ることができます。
その他、北側に大きな窓を設置することで、柔らかい光が室内に差し込み、読書やアート作品の鑑賞に最適な環境を作り出すこともできます。
趣味がガーデニングや観葉植物の育成であれば、吹き抜けの下に小さな庭のようなスペースやプランターを配置することで、自然と一体感のある空間を作ることができます。また、吹き抜けの窓を南向きにすると、植物に十分な光が当たります。
スポーツやフィットネスが趣味の人にとって、吹き抜けの高い天井は、ヨガやストレッチがのびのび爽快にできるだけでなく、バスケットボールのゴールやボルダリングの壁(クライミングウォール)を設置するなど、多くのアクティビティに適しています。ただし、このような活動には床材選びにも注意が必要で、それぞれのスポーツに適した素材を選択する必要があります。
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吹き抜けのある家のメリット
開放感のある空間
吹き抜けのある家には多くのメリットがありますが、その中でも最も注目される特徴が「開放感」です。吹き抜けがあることで、天井が高くなり、空間そのものが広がる感じがします。この開放感は、居住者が心地よく過ごすためにとてもに重要な要素となります。
例えば、リビングとダイニングとキッチン(LDK)をひとつの大きな空間として設計し、そこを吹き抜けにすることで、家族が集まる空間が一層明るく、広々とした印象を受けます。横方向の広がりだけでなく、吹抜けを作ることによって縦方向への広がりを持たせることができます。これにより、家族それぞれが自由な距離感で過ごせる場所となる、贅沢な生活空間を作り出せるのです。
開放感が存分に味わえる大空間は、見た目がラグジュアリーな空間となるだけでなく、家族が自由でのびのびとした気持ちで過ごせるようになり、心の健康に良い影響を与え、生活の質を向上させることにも繋がります。
抜群の採光による明るさ
吹き抜けの大きな開口部に窓を設けることによって、多くの自然光を室内に取り入れることが可能となり、部屋全体が明るく心地よい空間となります。
基本的に一軒家における吹き抜けの設計は、1階と2階、あるいは1階から3階までのスペースが縦に続いているため、視線の抜けが良く、自然光が室内全体に広がります。これにより、昼間は照明を点ける必要がなくなり、電気代の節約にも繋がります。また、太陽光を浴びることで、肌の健康を保つビタミンDとメラトニンが体内で生成され、さらに心理的にも良い影響を与えるとされています。
しかし、夏場は直射日光が強くなるため、窓の向きによっては室内温度が大きく上がります。
そのため、カーテンなどによる遮光対策や熱線遮断ガラスの使用など、細かな設計調整が求められます。
吹き抜けのある家は、自然光を最大限に活用して明るい空間を作り出すことができる贅沢な住まいになります。これが居住者の心地よさや健康に良い影響を与えるとともに、省エネにも貢献します。
この抜群の採光による明るさが、開放感とともに大きなメリットと感じ、吹き抜けのある家が多くの人々に選ばれている主な理由のひとつとなっています。
空気が循環する換気や通風
吹き抜けがある家は、自然な空気の循環を促すことができ、室内の換気や風通しを効率的に行うことができます。
1階から2階にかけての吹き抜け部分で、煙突効果※により暖かい空気が上昇し、上部に設置した窓から自然と換気が行われるため風通しが良くなり、快適な空間を保てるのです。さらに吹き抜けに大きな窓を設置すると、より一層風通しが良くなります。
実際に多くの住宅展示場や分譲地のモデルハウスでも、吹き抜けの設計が取り入れられていますが、これは通風や換気を促進する効果が高いためでもあります。
日本のような四季があり、寒暖がはっきりとした気候においては、この煙突効果によって夏場の冷房や冬場の暖房の効率を高める点でも役立ちます。
例えば、夏場には煙突効果によって暖かい空気が効率よく排出されるため、エアコンの使用頻度を減らすことができます。逆に冬場には、暖房によって生じた暖かい空気を室内に均等に分散させることができます。
こういった適切な設計に基づいて作られる吹き抜けのある家は、省エネの面でも優れているので、エコな住まいを求める人たちにも人気となっています。
その他、設計によっては、吹き抜けに自然な風を取り込むための通風口を設けることも可能です。
これにより、自然な風の流れが家全体に広がり、より健康的な生活が送れます。
家族間のコミュニケーションの増加
吹き抜けのある家では、人の動きが見えたり、家族間での会話が自然と発生する機会が増えるため、コミュニケーションが活発になります。
まず、吹き抜けがあると、家の各階が天井や床で遮断されずに繋がった状態になります。
これにより、家族が自然と上下階の間で会話ができたり、視線を合わすことが生まれやすくなり、コミュニケーションがスムーズに取れるようになります。
間取りや部屋の作りにもよりますが、例えば、リビングでテレビを見ている親が、2階の子供部屋で勉強している子供に声をかけやすくなったり、2階で家事をしている時でも、1階で遊ぶ子供の声や動きが聞こえてくるため、確認や声がけがしやすくなります。
さらに、吹き抜けの空間が広がることで、家全体がひとつの大きな「共有空間」となり、家族が自然と集まりやすくなります。
吹き抜け部分のリビングで家族が過ごす時間が増えれば、その分、家族間のコミュニケーションも増えるでしょう。これは現代社会で多忙な生活を送る家庭にとって、貴重な家族の時間を確保する手段となります。
このように吹き抜けのある家は家族間のコミュニケーションを促進に有効な設計要素であるため、家族の繋がりを大切にする人たちに推奨できるポイントです。
1階と2階の一体感
リビングなどに吹き抜けがあると、階間の隔たりが解消されて家族が移動しやすくなるだけでなく、天井がないので家族の気配が感じやすくなったり、誰がどこで何をしているのかがわかりやすくなります。また、1階と2階の間に視覚的な繋がりが作り出されることによっても、家全体の一体感を高めることができます。
さらに、吹き抜け部分に大型窓を設置することで、各階からの採光が得られ、時節ごとに様々な雰囲気が楽しめます。
吹き抜けに小上がりを作ったり、2階の廊下部分をオープンなフリースペースとすることによって、家族が誰でも自由に使えるようにする他、滑り台や遊具を設置して子供たちの遊び場として活用することもできます。
こういった設計の工夫をすることによって、家族同士が一緒に過ごす時間を増やし、家族の一体感を高める効果も期待できます。
デザイン性が高くなる内観
吹き抜けがあるというだけで、スタイリッシュな家の内観になり、住まいがより魅力的な空間となります。
住宅展示場や分譲地のモデルハウスも、おしゃれに見せたい場合は吹き抜けを設けた設計がよく見られます。
このように、ただ存在するだけでおしゃれに見える吹き抜けも、いろいろ工夫をすることで、もっとデザイン性を高めることができます。
例えば、吹抜けの壁一面を本棚にしたり、アート作品を飾ることによって、吹き抜け自体をインテリアの一部とする方法があります。
他には、壁に天然石のタイルを使用することで、自然な風合いや落ち着いた雰囲気を醸し出すことができます。照明もペンダントライトやスポットライトを効果的に使用しておしゃれに見せたり、シャンデリアを吊るすことによって、点灯時に豪華な雰囲気を作り出すことも可能です。
さらには、単に天井を高くするだけでなく、斜めとなる勾配天井にすることでダイナミックな印象を与えることもできます。
※ 参考:「勾配天井」の特徴と魅力を徹底解説!
吹き抜けがある家のデメリット
2階の間取りに制限
吹き抜けの大きなデメリットのひとつに、2階の間取りに制限がかかることが挙げられます。
当然ですが、吹き抜けがあると、その部分は2階に部屋を設けることができないため、有効な床面積が減少します。これは、特に家族が増えた場合や、将来的に部屋数を増やしたいと考えている場合に問題となり得ます。
例えば、吹き抜けをリビングに設けた場合、その上に当たる2階部分には居住スペースを作ることができません。もしその部分に子供部屋や書斎、ゲストルームなどを計画していた場合、部屋を狭くする、あるいは部屋そのものを作らないなど、その計画は大きく変更しなければならなくなります。さらに、吹き抜けの位置や形状によっては、2階の廊下などもその配置に影響を受ける可能性があります。
このように、2階の間取りが制限されるというデメリットは無視できません。
特に、家族構成の変化や将来的な生活スタイルの変更に柔軟に対応したい場合、吹き抜けの設置場所やサイズには慎重な検討が必要です。そのため、設計段階でしっかりとハウスメーカーや設計士と話し合った上で、総合的なプランニングの作成が求められます。
冷暖房の効率の悪さ
吹き抜けがもたらす冷暖房の効率の悪さも大きなデメリットと言えます。
吹き抜けの設計は、空間が縦に広がる形状をしているため、通常の部屋のように単純にエアコンを設置しただけでは、冷暖房の効果が均等に行き渡りにくいのです。
例えば、冬季に暖房を使用する場面で考えてみましょう。暖気は上昇する性質がありますが、吹き抜けの高い天井まで暖気が行ってしまい、1階部分の生活スペースに必要な暖かさがキープできなくなる可能性があります。逆に、夏季には冷気が下に留まり、2階の暑さが解消されないという問題が生じます。
このような状況は、エネルギーの無駄遣い、光熱費の増加を招き、省エネに逆行してしまいます。エコロジーとエネルギー効率が重視される現代においては、確実にデメリットとなります。さらに、不均等な温度分布は居住者の快適性を阻害する要素にもなり得ます。
したがって、吹き抜けを設計する際には、冷暖房の効率を高める工夫が必要です。
吹き抜けと抜群に相性が良いのが、家全体の温度を快適に保つ全館空調です。併せて高断熱と高気密の設計の採用などによって、増加しやすい光熱費を抑えることができます。
しかし、建築費やランニングコストが増える可能性は否定できず、室内温度の快適性と省エネの両立はなかなか難しい問題と言えるでしょう。
伝わりやすい音とニオイ
吹き抜けがあることによって、音やニオイが伝わりやすいという点は、プライバシーの観点から見ても問題となり得ます。
吹き抜けの設計は、階をまたがって空間が一体化しています。そのため、例えばリビングでの会話やテレビの音が、2階の寝室や書斎まで聞こえることがあります。これは、家族それぞれがプライベートな時間を過ごしている時に、他の家族によって生じる音が気になってしまい、集中力が削がれる可能性があります。
そのため、寝室などは吹き抜けから遠ざける配置にしたり、吸音材を使用するなど、設計段階での工夫が必須です。
また、キッチンで調理をしている際のニオイも、吹き抜けを通じて他の部屋に広がりやすいです。
例えば、夕食の準備をしている最中に、そのニオイが2階の各部屋に入っていく可能性があります。
そのため、キッチンの換気扇を強力なものにする、各部屋のドアの向きに配慮するなどの対応が必要です。
このような音やニオイの伝播は、設計段階での工夫によってある程度は緩和できます。しかし、完全に解消するのは難しく、プライバシー問題も絡んでくるため、しっかりと対策を練る必要があります。
メンテナンスがしにくい高所の設備
高所にある設備がメンテナンスしにくい、という日常的なデメリットもあります。
吹き抜けの天井部分や高所の窓は、日常的に手が届きにくいため、掃除やメンテナンスが難しくなり、無理に行うと怪我をするリスクも考えられます。
例えば、天井の照明器具の電球交換や、高所の窓ガラスの掃除は、特別な機材やプロの手を借りないと行うことが難しい場合があります。これらの高所の窓が汚れたり、照明器具などが故障したりすると、目立ちやすく感じます。また、エアコンやシーリングファンなどの空調や換気設備が故障した場合は、快適さが失われます。そして、それらが元に戻るまでの間、残念な気分で過ごすことになります。
このような問題に対応するために、吹き抜けの上部をぐるりとグレーティングの回廊で囲むデザインを採用する方法などが考えられます。この回廊は、メンテナンスの際の作業スペースとして利用でき、安全に高所の設備にアクセスすることができます。また、この回廊をデザインの一部として取り入れることで、吹き抜けのある家の魅力をさらに高めることも可能で、採光の妨げにもなりません。
しかし、グレーティングの回廊の設置にはコストがかかるほか、設計や施工にも専門的な知識が必要となります。したがって、吹き抜けのある家を設計や建築をする際は、高所のメンテナンスをしっかりと考慮し、その家に最適な対策を講じる必要があるだけでなく、その知見や経験が多い建築会社を選ぶことも大切になってきます。
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吹き抜けを設置する際の注意点や対策
吹き抜けを設置後に後悔しないためのポイントを7つほどご紹介します。
耐震性能
耐震性能については、しっかりと考える必要があります。
吹き抜けを設けることによって、天井と床が部分的になくなると、地震の揺れを分散する力が弱くなり、倒壊・崩壊の危険性が高まる可能性があります。また、柱や壁が少なくなると、その分、建物全体の耐震性が低下する可能性もあります。
そのため、吹き抜けを設計する際には、その周囲に配置する柱や壁の材質、太さ、間隔を工夫することが重要です。
例えば、耐震性に優れた材料を使用したり、柱の間隔を狭くすることで、耐震性を確保する方法があります。吹き抜けの床面積が大きい場合は、補強柱を設置することもひとつの解決策です。
さらに、最新の耐震技術を取り入れることも有効です。
例えば、基礎に特殊なダンパーを設置して、地震の揺れを吸収するシステムなどがあります。
こういった対策は、ハウスメーカーや工務店選びの段階から考慮に入れ、しっかりと話し合って設計や施工を進めることで、安全な吹き抜けのある家を手に入れることができます。
寝室や個室の配置やドアの向き
音やプライバシーの対策のため、寝室や個室の配置、さらにはドアの向きについても慎重に考慮する必要があります。
上記で述べたように、吹き抜けのある家では、音が広がりやすい傾向があります。このため、寝室や書斎は吹き抜けからできるだけ遠ざける配置を考えると良いでしょう。また、ドアの向きも重要です。吹き抜けに面してドアを設置せざるを得ない場合は、防音性の高いものをおすすめします。
プライバシーに関しても、吹き抜けからの視線を遮るような工夫が必要です。例えば、吹き抜けに面した部屋に小窓があるとおしゃれではありますが、視線を遮るようなカーテンやブラインドの設置も併せて考えても良いでしょう。
最後に、吹き抜けの位置や形状、窓のサイズや配置によっては、特定の部屋が外から見えやすくなる可能性もあります。このような場合は、窓の配置やカーテンの選び方、さらには植栽などで外からの視線を遮る工夫が必要です。
建築時における2階の増床対応
将来的に家族構成やスペースの用途に変更があった場合、吹き抜けのスペースに、新たな部屋やロフトを作成したいこともあるかと思います。そのような場合、予め2階に増床することを考慮した対策が考えられます。
設計時点で必要な対策として、施工時に吹き抜け部分に床を張ることができる構造にしておくことが重要です。これにより、将来的に家族構成が変わった際や、部屋が必要になった場合に、1階と2階を仕切って新たな部屋として使用することができます。このような構造を考慮することで、柔軟な間取り変更が可能となると同時に、増床リフォームの費用を結果的に低く抑えられる可能性が高いです。
また、このような構造にする場合は、吹き抜け部分の天井には照明やエアコンの設備を取り付けられるように配線やダクトの準備もしておくと良いでしょう。これにより、後から増床した場合でも、新しい部屋が快適なスペースになるように配慮できます。
また、通常の部屋でなくロフトにすれば、吹き抜けではなくなりますが、開放感をキープできる高天井とすることも可能です。
実際に増床のリフォームをする際は、吹き抜け部分は音や熱が上下階に移動しやすいため、床を張る際には、防音や断熱材をしっかりと施すことを推奨します。
以上のように、吹き抜けを設置する際に、将来的に2階の増床も視野に入れた設計も可能です。そのため、間取りを決める際には、しっかりとハウスメーカーや設計士に希望を伝えて話し合うことが大切です。
窓の種類や位置
吹き抜けを設置する際には、窓の種類や位置が非常に重要な要素となります。窓は吹き抜けの美観や開放感を高めるだけでなく、室内の温度や湿度の調整にも影響を与えます。特に、吹き抜けの場合、天井が高くなるため、2階部分や天井に窓を設置することが多くあります。このような高い位置に窓を設置する場合、掃除が困難になることがあるため、柄の長い高窓用の掃除グッズを用意するなどの対策が必要です。
また、窓の位置(方角)や種類によっては、日陰で通気が悪い場所となり、カビが発生しやすくなる可能性があります。このような場合には、窓の位置や種類を工夫することで、自然な換気を促し、カビの発生を防ぐことができます。
例えば、窓をスペースの対角線上に配置することで、風の流れを良くし、湿度を下げることが可能です。さらに、窓の種類にも工夫が必要です。
その他、掃除がしやすい窓、断熱性や気密性の高い窓、開閉が可能な窓を選ぶことで、室内の温度など管理がしやすくなり、カビの発生も抑えられます。
以上のように、吹き抜けを設置する際には、窓の種類や位置によって生じる問題点や対策をしっかりと考慮することが、後悔しないための重要なポイントとなります。
空調設備や断熱性能
吹き抜けを設置する際には、冷暖房の効率が落ちるというデメリットもあります。そのために、空調設備や断熱性能に特に注意が必要となり、いくつかの対策方法があります。
シーリングファンは、吹き抜けの空間でよく用いられる空調設備のひとつです。シーリングファンは、空気の循環を助けることで吹き抜け部分の高さによる温度差を緩和します。そのことがエアコンの使用時間を減らし、エネルギー消費を抑えることに繋がります。また、全館空調や高気密・高断熱との併用もおすすめです。
床下エアコンは、床下に空調設備を設置する方法で、冷暖房の効率を高めることができます。
特に、暖気が上に溜まりやすく1階の気温が低くなりがちな冬場には、足元の高さから暖めることができるので、暖房効率が良いです。また、床から伝わってくる冷気を防ぐ効果もあります。
全館空調は、家全体を一定の温度に保つシステムです。大空間がある場合は全館空調が特に有効で、吹き抜けの大空間でも、季節問わず快適な温度を維持することができます。ただし、予想以上に初期費用やランニングコストが掛かる場合があるので、事前に確認しておく必要があります。
断熱性能についても、吹き抜けの設計においては重要です。高気密・高断熱の家を設計することで、冷暖房の効率を高めることができ、省エネになります。
吹き抜けの温度調整には多くの選択肢がありますが、それぞれの特性を理解し、自分のニーズに最も合った方法を選ぶことによって、快適な生活を送ることができます。
工夫が必要な照明器具
照明器具の選び方と配置も注意が必要です。吹き抜けの空間は通常よりも2倍以上の高さがあり、縦方向に広がっているため、照明の配置や種類によっては、部屋全体の明るさやムードが大きく左右されます。
シーリングライトは光が全体に拡散しやすいため、吹き抜けの空間では効率的な照明が難しくなります。
そこで一般的には、ペンダントライトやブラケットライト、スポットライト、ダウンライトなどがよく用いられます。ペンダントライトは吹き抜けの高さを活かし、美しいデザインのものを選ぶことで、インテリアとしても楽しめます。しかし、光が一方向にしか照らさないため、他の照明と組み合わせる必要があります。
スポットライトやダウンライトは、特定の場所に光を集中させることができます。これは、例えばリビングのテーブル上やアート作品に光を当てるなど、特定の場所を強調するのに有効です。ただし、これらの照明だけでは、吹き抜け全体を明るくすることは難しいです。
シーリングファンと一体型の照明器具も一考の価値があります。これは、空調と照明をひとつの器具で賄うことができますが、ダウンライトのような指向性のある照明を選ぶことをおすすめします。
照明器具の選び方と配置に工夫を凝らすことで、夜の吹き抜け空間をよりスタイリッシュで美しいものにすることが可能です。
しかし、吹き抜けの照明は通常よりも高い位置に設置されるため、メンテナンスにも注意が必要です。例えば、電球の交換や掃除などは業者に依頼する必要があるなど、通常の照明よりも手間がかかる場合があります。このような点も考慮に入れ、最適な照明計画を立てることが重要です。
掃除やメンテナンスの対策
吹き抜けを設置する際の掃除やメンテナンスはとても重要な要素であり、この点を軽視すると後悔する可能性が高いです。
これまで書いてきたように、吹き抜けの特性上、高い位置に窓や照明が配置されることが多く、これらは通常の掃除では手が届かない場合があります。そのため、柄の長い高窓用の掃除グッズなど、特別な掃除グッズが必要になることが多いです。
また、照明器具のメンテナンスも重要です。吹き抜けの高さを活かして設置されるペンダントライトやシャンデリアは、高い位置にあるため、電球の交換や掃除が一般的な照明よりも困難です。このような場合には、長寿命のLED電球を使用する、または照明器具自体が下げられる仕組みを考慮すると良いでしょう。
このように、吹き抜けの掃除やメンテナンスには多くのポイントがありますが、デメリット項目で取り上げたように、グレーティングの回廊を設けるなどの方法もあります。
しかし、高所作業や電気設備の点検は専門の技術と設備が必要なため、業者に依頼することが推奨されます。
いずれにしても、事前にしっかりと計画することで、メンテナンスがしやすい吹き抜けを作ることができるでしょう。
よくあるご質問
Q:吹き抜けのある家はどのような家庭に最適ですか?
A:室内の開放感や家族間の一体感を重視する家庭、またはふんだんに自然光を取り入れたいと考える家庭に最適です。
Q:吹き抜けのコストはどれくらいかかりますか?
A:大半のハウスメーカーや工務店は延床面積をもとに建築費用を算出するため、吹き抜けにすると単純に2階部分の面積が減り、コストダウンに繋がるという側面もあります。しかしながら、実際には吹き抜けを作るには手間がかかることからコストが加算され、実際はコストダウンにはならないどころか、プラスになることが多々あります。
Q:吹き抜けのある家はリセールバリューが高いですか?
A:デザイン性が高く、オリジナリティのある吹き抜けであれば、リセールバリューが高くなる可能性があります。
Q:吹き抜けは後から作ることはできますか?
A:耐震強度の問題などあるため、基本的には、将来的に予め吹き抜けを設ける可能性を考慮した設計や施工を行う必要があります。
Q:吹き抜けの安全対策はどうすればいいですか?
A:2階や3階からの落下防止のために、適切な高さと強度の手すりやガラスなどを設置するなどの方法があります。
Q:吹き抜けにカーテンは必要ですか?
A:外部からのプライバシーを確保するために、窓の位置や向きによっては、カーテンが必要な場合もあります。
まとめ
吹き抜けのデザイン的な魅力とその実用性について、多くの方が興味を持っています。そして注文住宅を考える際に、吹き抜けを作ることはひとつの大きな選択肢となるでしょう。
この記事で何度も触れたように、吹き抜けは家全体に開放感と一体感をもたらします。特に、家族間のコミュニケーションが増えるというメリットは、現代の忙しい生活においてかなり価値のある住宅の要素なのは間違いありません。
しかし、どんな吹き抜けにも必ずデメリットが存在します。
例えば、冷暖房の効率が低下する可能性や、上下階の音が漏れやすいという点などです。これらの問題に対処するためには、適切な空調設備の選定や高性能な断熱材の使用、プライバシーに配慮した間取り設計が重要となります。
また、吹き抜けの設計には無数のバリエーションがあります。
間取りだけでなく、窓や照明、壁材や床材といった要素も、吹き抜けが持つ印象を大きく左右します。これらの要素は、注文住宅ならではの自由度で、各家庭の条件に合致した最適なものを選ぶことができます。
総じて、吹き抜けは注文住宅において多くの可能性やメリット、選択肢を提示してくれます。
その魅力を最大限に活かすためには、経験値の高いプロの提案や助言をしっかりと受け、計画的に進めることが重要となってきます。
注文住宅を建てる際に吹き抜けを検討される場合は、お気軽にsumuzuにご相談ください。ハウスメーカーなどの建築会社とは異なる第三者的な視点から、弊社Landix所属の一級建築士をはじめとするスタッフが吹き抜けのある間取り計画に対して、お客様に寄り添ったアドバイスをさせていただきます。
家族全員がご機嫌な「吹き抜け」のある家を建てたいのなら、 sumuzu にご相談ください!