他人ごとではない不動産売却にまつわるトラブル

 

1. はじめに

不動産の売却を考えた時、できるだけ高く、そしてできるだけスムーズに売却したいと考えるのが一般的ではないでしょうか。不動産を売却する人の理由は人それぞれです。「住み替え」や「不動産相続」、「資産の整理」などなど。不動産の売却は一見単純なように見えますが、実は奥深く、知れば知るほど慎重に売却活動をしようと思うようになるかもしれません。ここでは不動産の売却で良くあるトラブルについて、いくつかの事例を取り上げて書いていきたいと思います。

2. 相場よりも高すぎる査定額には要注意

不動産の査定を依頼する上で注意する点は、「提示された査定額=実際に売れる価格とは限らない」ということです。査定の算出法はあくまで過去の事例や予測に基づいた価格となっており、根拠のない査定価格を提示してくる不動産仲介会社には注意が必要です。不動産仲介会社は契約を取りたいがため、意図的に査定価格を高く見積もるということも稀にあるということを頭に入れて置いて下さい。

仮に査定価格が高い不動産仲介会社と媒介契約を結んでしまい、売却活動を開始したは良いが長い間売れない状態が続き、最終的には大幅な値下げとなってしまうこともあります。結局のところ、適正な価格で売却活動をしない限り、物件は売れ残ってしまうという状況に陥るのです。

3. 手数料や広告料のトラブル

1) 手数料のトラブル

不動産仲介会社と媒介契約を結び、実際に不動産が売れると仲介手数料が発生します。そして、不動産仲介手数料は法律で上限が定められています。

【仲介手数料】

200万円以下の金額取引額の5% + 6万円
200〜400万円の金額取引額の4% + 6万円
400万円を超える金額取引額の3% + 6万円

400万円以上の物件が多い都心部の不動産は、「物件価格×3%+6万円+消費税」で算出することが多くなります。純粋な不動産仲介会社の利益はこの仲介手数料だけとなり、逆に上記以上の請求をされた場合は必ず指摘をするようにしましょう。中には素人に知識がないことをいいことに仲介手数料を違法に割増しする不動産仲介会社もいるかもしれません。最近では仲介手数料を値引きする不動産仲介会社や、仲介手数料を無料にする不動産仲介会社も出てきました。手数料の高低だけで不動産仲介会社を選ぶのではなく、本質を見極めて選ぶように心がけると良いでしょう。

2) 広告料のトラブル

不動産仲介会社が決まるとネットやSNSなどを利用した販促活動を行ってくれます。その販売活動は通常、無料で行ってくれます。どこかに広告費をかけるとしても売主に相談するのが一般的です。しかし、売主に確認をすることもなく、広告費をかけたと言われその費用の請求をされても支払う必要はありません。これは法律で「売主の依頼によって広告を行った場合、その費用を売主に請求できる」と決められており、この法律文を悪用したケースとなりますのでご注意下さい。

4. 重要事項の説明に関するトラブル

不動産の売買では契約までの間に不動産についての重要事項を説明(重要事項の説明義務)する必要があります。例えば近隣の騒音や事故のあった物件などは買主にその旨を伝える義務があります。買主が実際に住んでから初めてこの事実を知り、トラブルになるケースもあるので不動産売買の契約時は特に注意が必要です。

5. 契約の解除

物件を購入するつもりで買主が手付金を売主に支払った上で、購入を解約した場合はその手付金は「解約手付金」として売主側のものになります。しかし、不動産の売買契約書には「特約」を設けることが出来ます。例えば、「住宅ローンの審査が通過しなかった場合は解約できる」といった特約が代表的です。この特約は「期限付き」となりますので期限が過ぎた場合は「解約手付金」として売主のものになります。この「解約手付金」に関する問題でトラブルになることもあるのです。

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6. まとめ

売主としては出来るだけ高値で不動産を売りたいものです。しかし、査定額が高いからといって必ずしもその不動産仲介会社が信頼できる業者とは限りません。不動産の査定依頼をする際は査定額の高低だけで選ぶのではなく、根拠ある査定額を提示してくれて、且つ信頼できる業者を選び、その中で自身が希望する価格と相場価格を照らし合わせて売却活動を行って下さい。査定価格はあくまで判断基準の一つとして捉え、相場感の合う適正な価格で売却することが一番ベストと言えるのではないでしょうか。